『調理中』
ハズレの町を出発して5日目、その夜はこの旅で初めての野営だった。
そして当然のように夕食はオフェーリアの担当となっていた。
「申し訳ないです、お嬢さん」
御者が済まなそうに言う。
「まあ、当然のことよね。
昼食は毎日作っているし、野営なら夕食もってことになるのは当たり前だわ」
御者の彼が恐縮するのは訳がある。
実はオフェーリアは御者とその助手の2人に割引き価格で昼食を提供していた。
2人とも冒険者の連中ほどの量を食べないので材料費と手間賃ほどの金額をもらっている。
そして助手の方は多少料理の経験があるようなので下ごしらえなどを手伝ってくれていた。
「とりあえずあの人たちはお腹を膨らせることが大事なの。
だからこれを使うわ」
異空間収納から取り出したのはショートパスタの大袋だ。
それを魔導コンロにかけられた大鍋で煮込まれた野菜やベーコンなどの中に投入する。
「今夜のスープは根菜と芋とベーコンのシンプルな味付けのパスタスープよ。
それとメインはこれよ」
次々と取り出される大皿には明るい茶色のものが山盛りに盛られている。
「これもとりあえず3皿。
足りなかったらまだまだあるから」
「あの〜見たことないものですが、これなんですか?」
助手くんは見慣れないものに興味半分おっかなびっくり半分といったところだ。
「これはロックバードのから揚げよ。
ひとつ味見してごらんなさい?
あ、熱いから気をつけて」
「ロ、ロックバードですか?!」
世間では言わずと知れた高級食材ロックバード。
その料理をこんなに無造作に積み上げているのを見て、助手くんは尻込みしてしまった。
「なぁに〜大袈裟ね。
ほら、美味しいわよ、食べてごらんなさい」
オフェーリアは今夜の食事は、とにかく揚げものとパスタでお腹いっぱいにする作戦でいた。
そしてそれでもダメなら……
「めちゃくちゃいい匂いがするぞ〜」
象人のファントがのっしのっしと近づいてきた。




