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『顔合わせ』

 初めて頭部が蜥蜴そのものの獣人を見たオフェーリアは一瞬固まってしまった。

 そしてしげしげと見ないようにしようと思うのだが、どうしても視線がそっちに行ってしまう。

 それに気づいた蜥蜴人がクツクツと笑った。


「フェリアちゃん……だったか、大丈夫だぜ、慣れてるからな。

 何なら触ってみるか?」


 ピクリとして後退るオフェーリアを見てまた笑った。


「噛み付いたりしないからさ、道中仲良くしようぜ」


 オフェーリアはコクコクと頷いた。

 それを見ていた猫耳の半獣人が腹を抱えて大笑いしている。


「もうそのへんにしておけ。

 お嬢さん、悪かったな」


 巻き角の羊人が厳つい顔に笑顔をいっぱいに浮かべて近づいてきた。


「俺は【蒼穹団】のリーダー、ジニーだ。

 一応予定では20日間の旅になる。

 よろしくな」


 彼は背が高くがっしりとした体躯で厳つい顔をしている。そして注目すべきは巻き角だ。

 その他はまったく人間と同じなので、オフェーリアまたしみじみと見入ってしまった。


「おい、そろそろ時間だぞ。

 もうひとりはどうしたんだ?」


 御者がいささか苛立っている。

 だが【蒼穹団】の連中も戸惑っているようだ。


「あいつはギルドで数合わせとして入れられた奴で、俺らもよく知らないんだよ。

 もう、来なかったら置いて行ってもいいんじゃないか?」


「うちはどちらでもいいが……

 お嬢さんはそろそろ乗り込んでくれ。

 あんたたちも荷物を積み込んだらどうだ」


 この大陸には魔法使いが少なく、高度な魔導具を作成できるものも皆無に近い。

 なのでオフェーリアはかなり良い値でアイテムバッグを売ることができたのだが、それが一般に販売されることはほとんどない。

 なので彼らも私物がすべて入る背嚢を背負っているのだ。

 その大荷物を客用の荷物室に入れると、各自持ち場についた。


 御者台に上がったのは猫人のブランデルグだ。

 後部の荷台にはジニーと蜥蜴人のワラン。

 狼人のパンナは屋根の上に陣取った。


「さあ、出発だ!」


「おお〜い、待ってくれ〜」


 4頭立ての馬に鞭が入り、この春初めての長距離乗り合い馬車が動き出したところ、ひとりの男が追いかけてきた。


「済まない!寝過ごした!!」


「早く乗れ!!」


 見送っていた事務員に呆れられながらも、ギリギリ依頼不履行にならなかった男が客室に乗り込んできた。


「あれ?

 先日の話では客はいないってことだったが、お嬢さんお客さんだよな?」


 オフェーリアは今度こそ返事もできずに固まっていた。

 そう、目の前の獣人は【象】だったのだ。


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