『雪』
「しかしよく降るわね」
そうっとドアを開けてのぞいてみると、降り出してから何日も経たないのにもうオフェーリアの背丈より多く積もっていた。
「うちは色々魔導具があるから問題ないけど、そうじゃないところは拙いんじゃないの」
これは聞きしに勝る冬籠りである。
酷い時には二階建ての建物が埋まると聞いたが、そんなものでは収まらないだろう。
それなりに雪かきもするそうだが、大変そうだ。
「ここでも魔導ストーブを2台出してるんだもの、冬中暖炉に薪をくべるとしてどれだけの薪を用意するのかしら」
この時、オフェーリアは詳しく知らなかったがハズレの町には冬籠りの冒険者を含めて5000人ほどの人がいた。
そのほとんどが、冬の間家から一歩も出ない生活を送るのだが非常時には隣近所が助け合うよう取り決められていた。
その時には2〜3件の家が1カ所に集まり、薪や食料を持ち寄って春を待つのだ。
その他、門を守る兵士や憲兵なども一定数詰所で冬籠りし、必要に応じて雪かきなどを行う。
だが、陽西大陸でも特に寒さの厳しい辺境ハズレの町をこの冬襲った寒波は特に厳しいものだった。
「いくらなんでもこの吹雪は普通じゃないでしょ!?」
結界があるため直接雪と接しているわけでは無いが、その向こうで荒れ狂う風雪は森の中だというのにかなりの吹雪となっていた。
こうなるとオフェーリアにできることは多くない。
ハズレの町に行ってみてもいいが転移できる場所は限られている。
もし不用意に転移してそこに人がいた場合、騒ぎになるのが目に見えているので却下である。
好奇心を満たすために見せ物になるつもりはないのだ。




