『冬のこと』
「冬籠りくらい、中大陸でもありますから。
でも、どんな感じですか?」
「普通の経済活動はほとんど停止するな」
「ハズレの辺りは結構雪が積もるんだ。
雪が降ってくれば何もかも止まる」
2人は思いつく順に話し始めた。
「今はもう晩秋に近づいていて、農家はほとんど収穫を終えている。
それを市場で売っているんだが、それもいつまでやら……」
「冒険者も移動する奴はすでに移動済みだし、残る奴らも決まった宿で落ち着いている。
なのでお嬢さん、これからの宿探しは苦労するんだ」
「この町の近くにダンジョンは無いのかしら?」
「馬車で2日ほどのところにあるが?
どうするつもりだ?」
「いえ、私が居たことのあるダンジョン都市ではダンジョン内で冬を越す者もいたから」
3人の会話は盛り上がっている。
特にオフェーリアの言った『ダンジョン内での冬籠り』は関心を誘ったようだ。
「なるほどな。
ありえんことでは無いが……もう少し攻略が進み、浅い層の整備が整わんと、ちとキツいな」
どうやらここのダンジョンは比較的新しいようだ。
「それでは冬の間、あの極彩色の森はどうなるんです?それと魔獣も」
「極彩色?ああ、毒の森か。
あそこはもう少ししたらほとんどの葉が落ちる。
そうしたら間無しに雪が降り始める。
魔獣は木のウロなどで冬眠するようだな。
あそこに限らず、冬の間はほとんど姿を見ない」
それでは冒険者などは商売上がったりだろう。
「冬の間忙しいのは工業、それも手工業を営んでいる連中だな。
お嬢さんの持ってきたあの蛇も毒抜きして、どんな革製品に生まれ変わるやら」
とりあえず、身動きが取れなくなるのは決定のようだ。
「何かもう少し買い取ってもらって、手元を増やしておいた方が良いかしら。
どんなものなら高く買い取ってもらえる?」
「そりゃあ、さっきも言っていた魔導具のバッグとか、希少な魔獣の素材だな」
それなら何とかなりそうだ。




