『陽西大陸での登録』
「ええ、あなたたちの言う【中大陸】から来たの」
彼は典型的な戦士である、知識層ではない。
なので外国語に明るくないが、冒険者レベルの等級を読み取ることくらいはできるのだ。
「【東亜大陸】はともかく【中大陸】では“Aランク”じゃないか!」
「採取をしていたらたまたまです。
それよりも、これでも駄目ですか?」
詳しいことを語りたがらないのは当然で、得てして冒険者は自分の手口を言いたがらない。
「いや、問題ない。
簡単な申請用紙に書き込んでもらわなきゃならんが、問題ないか?」
オフェーリアは自前の万年筆を手に頷いた。
「もう、こんなに疲れる新人登録は初めてだ」
ぼやきながらFランクのカードを魔導具の中に入れ、男は話し始めた。
「それと、素材の買い取りをお願いしたいの」
「買い取り?」
「私、この大陸の金子を持っていないので」
なるほど、と相づちを打った男はカードが出来上がるまで待つように言うと、自分の知識欲を満たしにかかる。
「【中大陸】には魔法使いがたくさんいるんだろう?
ここでは獣人と魔法の相性が悪いようで、あまり広がらなかったみたいだな」
「私、昔のことはよくわからないけど、それだから廃れたのかしら……」
「なあ、あんた、いやフェリアちゃん?
どうやってここに来た?」
いいおっさんにちゃん付けされたのも何だが、どうせかなりの魔力がないと、あの転移陣は作動させられない。
「極彩色の森の中に朽ちた神殿跡があってね。
そこまで転移してきたの。
でももうアレは劣化が酷くて使えないわね」
「極彩色の森って。
と言うことはフェリアちゃんはあそこの魔獣を狩ったのか?!」
「んーー」
オフェーリアは思い出そうとする。
そして手を叩いた。
「ええ、邪魔してきたヤツを」
「是非、そいつを見せてくれ!!」
「え?でもここじゃあ……」
オフェーリアは周りを見回している。
そんな彼女の前で男は、魔導具から出てきたカードを引っ掴みカウンターから出てきた。
「よし、行くぞ」
まるで子供のようにオフェーリアを抱え、男は奥の解体場に向かった。




