『報復』
オフェーリアはピクリとも動いていない。
だがその怒りを宿した目は無様ななりを晒している2人に向いている。
「よくも我らを蛮族などと……
これは完全に二国間の問題になりますわよ」
ジワリと魔力が溢れ出す。
それは殺気と言う圧となり2人に襲いかかった。
「うぅ……」
ネペナーゼは壁に激突したことにより半ば意識がなく、情けなく崩れ落ちている。
なのでオフェーリアのとりあえずの対象はフルーラだ。
「あなた、これの始末は己の命……いえ、それだけでは済まないわよ」
実は今回の舞踏会を、最新の魔導具を使ってダイアナがリアルタイムで観覧していた。
その彼女が自分の作品を汚されて黙っているはずがない。
「その前に落とし前をつけさせていただくわ」
ワインで汚れたドレスを一瞬で【洗浄】すると一切の汚れはなくなり、次はフルーラとの距離を詰め、手を伸ばして髪を掴んだ。
「2度と人前に出られなくして差し上げる」
フルーラの頭の上でメリ、といった。
「これって上手にするにはコツがあるのよ」
メリ、ブチッという音と共に凄まじい痛みが襲ってくる。フルーラは悶絶して逃れようとしていた。
「駄目駄目、動いては上手くいかないわ」
フルーラはうつ伏せに倒され、その背中をオフェーリアのハイヒールが踏みつける。
髪を引っ張られ顔をのけぞらせたフルーラは、顔に何か生暖かいものが垂れてきたのに気づいた。
プチっ、ブチブチ……メリメリ。
右のこめかみの上、敏感な部分を襲ったのは猛烈な痛みだ。
それとともに何かが持ち上がる気配がして、頭皮に冷たい空気が当たる気がした。
そんななか、あたりから悲鳴が聞こえてくる。
「これくらいにしておいて差し上げるわ。
もし治療にポーションを使ったら、この国へのポーションの供給は止めにするわよ」
後半は周りのものへの牽制だ。
オフェーリアは掴んでいた髪を離しフルーラを蹴り飛ばした。
「ああーっ、痛い痛い痛い」
這いつくばったまま震える手で頭を触ると、そこにあるはずの髪がない。
そして頭を動かすとブラブラと揺れるものに触れてみた。
「かみ……? え? なにこれ」
それはオフェーリアが皮ごと剥いだ髪だった。
「これで永久に生えてこないでしょう?
それを見て、自分のしたことを悔いるのね」




