『愚者たち』
そもそもオフェーリアがこのルバングル王国にやってきたのは、この国の高位貴族と婚姻し魔法を使うことのできる血脈授けるためだったわけだが、実は一番最初に選択された公爵家と今第4王子と争っている公爵家は別の家だった。
これはオフェーリアがこの国に到着した直後、先に選択されていた公爵家の、オフェーリアの夫になるはずだった青年が不慮の事故で故人となり、この家には他に候補になる男子がいなかったため、急遽カレメイン家のネペナーゼに白羽の矢が立ったのだ。
この時行われた身辺調査では、彼には婚約者はもちろん特定の相手もいなかったのである。
「この蛮族が!!
おまえなどと婚約しているなど恥にしかならんわ!
我、ネペナーゼ・カレメインはこの場でおまえとの婚約を破棄し、このフルーラ・バントレ男爵令嬢と婚約することを宣言する!」
そしてネペナーゼに腕を絡ませて密着している女子がいきなり、ワイングラスを持った手を動かしてワインをオフェーリアのドレスにかけてきた。
「!!」
もうこの時点でそれなりに騒動になっていて衆目を集めていたその時、オフェーリアの見事なドレスに散ったシミに周りはどよめいた。
「蛮族には似合いだな」
そんなことを言ってふんぞりかえっていたネペナーゼが突然後ろに吹っ飛んだ。
ちょうど後ろは壁際だったのだが彼がぶち当たった壁は凹みヒビが入っている。
腕を組んでいたため一緒に飛ばされたフルーラは床に座り込んで呆然としていた。




