『裁断、染色』
いい加減読書にも飽きてきた頃に、ダイアナが我に返って話しかけてきた。
「フェリア、見たところ変わりないように見えるけど、念のためにサイズを測るわよ。
そこのフィッティングルームで服を脱いでちょうだい」
有無を言わさない迫力である。
オフェーリアは言われた通りすごすごと扉の向こうに消えていった。
「まあ!
バストが5mm増えているわよ。
よかったわね」
5mmくらいなんだというのだ。
オフェーリアは魔法族の女性らしくない貧乳だ。
「大丈夫。
ちゃんと寄せて上げて谷間を作ってあげるわ。
もちろん、あなたの嫌いな補正下着はなしよ。
……あら、ウエストが2cm細くてなっているわね。
ヒップは変わりなし、と。
相変わらず形の良いお尻ね、惚れ惚れするわ」
なんとも言えない手つきでお尻を撫でると、ダイアナは型紙の作成に入っていった。
「明後日の昼に仮縫いのチェックに来てちょうだい」
オフェーリアは有無を言わずに追い出されてしまった。
さすがに都でも名の通った“衣装狂い”のダイアナである。
彼女のアトリエからは濃厚な魔力が溢れ出ていた。
繊細なボディスだけは型紙を使うが、あとは布の上をハサミが滑るように動いている。
ダイアナの魔力が目一杯注ぎ込まれたハサミはまるで生き物のようにドレスのパーツを切り抜いていく。
染めも魔法を使って行う。
仮縫いのために大きめに裁断したパーツを、ダイアナ独特の染魔法で染色していった。
「フェリア……
私たちの愛しい子。
あなたのために、私は持てる技術のすべてを注ぐわ」




