『ルバングル王国』
【東亜大陸】の雄、ルバングル王国。
この大陸には最近まで魔法士がおらず、それなりの均衡が保たれていた。
それが一気に崩れたのは、船に乗って非同盟国ラバタナンにやって来た、2人の魔法士によってである。
彼らのひとりは魔法族の男が戯れに人間の女に産ませた“野良魔法士”であり、もうひとりは数代前に野に降りた女魔法族の子孫である。
その2人は男女でありカップルであった。
彼らを得たラバタナンは、将来生まれてくるだろうその子供にも大きな期待をかけていた。
そんなことは知らない、知らされもしないオフェーリアは、神殿内の応接室で神官長から歓待を受けていた。
彼は初めて見る【エルフ】姿のオフェーリアを見て感激のあまりうち震えている。
神官長の従者として控えていた平神官などは両膝をつき、頭を伏せて感涙していた。
「申し訳ございません。
何しろここは王都からずいぶんと離れておりまして、辺境すぎて十分な歓待を行うことができません。
平にご容赦を」
かなりの年配の神官長の、あまりの腰の低さに辟易とするオフェーリアだったが、別に彼に対して不満はないのだ。
「神官長殿、私はあなたに対して何ら思うことはありません。
それよりもこの後の予定を知りたいと思います」
「はい、すでに王都からお迎えが参っております。
それらは別室にて姫君を歓迎せんと待っております」
「待たせているの?
駄目でしょう、先に言って下さい。
それよりも“姫君”って、何?」
「姫君は姫君です。
貴方様は妖精族の姫君でしょう?!」
どうやら、いささか勘違いがあるようだ。




