『新たな旅立ち』
「それは……
今は隠棲されている方も含まれているのではないのですか?」
一番年長の方はオフェーリアより、なんと300歳も年上である。
「年頃に無理がなく、独り身のものを選んだのじゃ。
皆、一度は嫁いだことのあるものたちばかり」
そう、その3名は人間の元で出産経験がある。
だがオフェーリアは別だ。
「私は……未婚です」
「そうじゃな、これも義務と思って堪えておくれ」
マザーにそうまで言われては、覚悟を決めるしかない。
「でも、相手の国には条件があります。
それが聞き入れない事には、破談にしてくださいませ」
そのあと指定された条件は、普段ならとても認められるものではないが、この状況ではあちらも呑むしかないだろう。
オフェーリアの嫁ぎ先が常識的なら、何の差し障りもない条件なのだから。
オフェーリアが向かったのは、なんと今いるダンジョン都市がある国とは別の大陸にある国だった。
今回はまず、婚家とは違う高位貴族の元に養女という形で入り、そこから嫁ぐ事になっている。
オフェーリアは前回と同じように、ダンジョン都市の誰にも何も言わずに、ある夜突然姿を消した。
そして翌日には都経由で、通称【東亜大陸】と呼ばれるその地、ルバングル王国の神殿にマザーの力で転移して来た。
もちろん本来の姿は晒さず、ハイエルフの金髪、紫瞳の慣れた姿だ。
「ようこそおいで下さいました」
眼前で跪いていた神官が恭しく礼をする。
そしてようやく光を発することがなくなった魔法陣の中に足を踏み入れて来た。
「改めまして、ようこそ高貴なお方。
どうぞこちらへ」
だが、彼らが恭しいのは最初だけだとオフェーリアは知っていた。




