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メイドと愛の力

 魔力で漲る体ですが後が非常に怖いものです。

 魔力に侵食されたパーツは人間でいうところの筋肉痛に相当しますのでしばらくは休まさないと自己修復機能も作用しませんからね。

 何より一日に二度使うのは機械人形オートマタ的にも非常に体に悪いものですからね。

 そんなことを考えながら繰り出される巨拳を私の魔力を通した細腕でなんとか捌きます。ですがあまりにも大きさが違いすぎるものですから落ちたら拳の軌道を上に逸らすくらいしかできません。なにせ横にずらしたのならばご主人様に当たりますし、下に逸らせば魔導列車マギトレインを粉砕されてしまいまし、躱す、受け止めるという選択肢も同様に魔導列車マギトレインを壊す未来しか見えません。

 結果、上に跳ね上げるしかない訳なのですが…… そのせいで魔導列車マギトレインの屋根が吹き飛びました。


「ガハハハハハハ! どうしたチビっ子! ご自慢のパワァァはその程度か⁉︎」

「こいつ……」


 こちらが避けれないのをわかっているかどうかはわかりませんがいちいち言葉が癇に障ります。

 防ぐだけでもかなりの気を使うこの状況。あきらかに攻め手が足りません。たいしてあちらはやりたい放題。ストレスが溜まるというものです。


「ガハハハ! ガハハハ! ガハハハ!」


 バカみたいにうるさい声を上げながらマッスラーが両手を振り上げては私めがけて振り下ろしてきます。

 魔導列車マギトレインの超連射(ガトリング)砲も弾切れでない砲が攻撃をしていますがかすり傷が増えるくらいで全く効果が見られませんね。

 こちらに来る拳は捌いてはいますがその度に先程から床から怪しい音が響いています。

 これは下手したら沈みそうですよね?


「アオイ! 手を貸しなさい!」


 だからといって守るのをやめれば魔導列車マギトレインは壊れてご主人様が放り出されてしまいます。ですからアオイに斬り捨ててもらうのが最善手!

 アオイはロープで拳から振り落とされるのを回避していたはずですしね。


「アオ…… え〜」


 返事がないのでもう一度アオイが飛び乗っていたであろう方へと視線を向け、同時になんとも言えない声を上げてしまいました。

 アオイのほうを見ると壁にとどまっていたようなのですが、どうやらロープが絡まったようで首を締め付けられているのを必死に暴れながら解こうとしていました。


 無理!


 そんなことがわかる身振りをしてきますが呼吸ができないようで顔がどんどん青くなっていっています。そう考えると意外と余裕があるように見えますが戦力としては換算しようがないようですね。


 とりあえずは死なないことを祈りましょう。


「余所見とは余裕だな!」


 再び意識を目の前のドラム缶(マッスラー)へと戻します。

 ごつい拳がまた私に当たりそうになるのを躱し、魔力の籠もった腕でそれを跳ね上げます。

 今までと変わらない動きで捌いたにも関わらず、私の足に嫌な感触が伝わってきました。

 見たくありませんが恐る恐るその感触のした方へと視線を下ろしていくと床を完全に踏み抜いている私の足が目に入りました。


 あー、これはダメなやつですね。


 ついに魔導列車マギトレインのほうに限界がきましたか。横に移動しながらそんなことを考えます。

 予想はしていましたがかなり早いです。これは次の攻撃は私が耐えれても床が耐えれませんね。


「今度こそぉぉぉ!」


 また大きく振りかぶったマッスラーへと視線を合わせ、軽く膝に力を入れます。

 どうせこのままあね拳を捌いても床は壊れてしまうかもしれないわけですからね。

 ならば、


「先に潰します!」


 脚の魔力供給をマッスラーまでの跳躍距離を考え床を踏み抜かないギリギリに抑えておき、そしてそのまま跳躍。

 どうや床の方はかろうじて凹むだけでとどまったようです。

 メイド服をはためかせながら宙で回転。供給されていた魔力を完全に下半身へと移動させ、そのまま今まで溜まりに溜まったストレスと共に力を解放し、繰り出されたマッスラーの巨大な拳に向けて全力の蹴りをカウンター気味に放ってやります。

 壊れるものを考えずに放たれた私の蹴りは小細工など一切使っていない力技。マッスラーの拳と私の脚が宙でぶつかり合い拮抗!


「おぉぉぉぉぉぉぉ⁉︎」


 ……したのは僅かの間で私の蹴りは易々とマッスラーの拳を粉砕。瞬く間に拳は只の鉄くずへと変わっていき、蹴りの衝撃からマッスラーが上半身を仰け反らすようにして後ろへと下がります。

 蹴りを繰り出し落下するだけであった私ですが供給される魔力を体のあちこちから放出。さらに前へと加速し、今度は拳を振りかざし姿勢を保とうとするマッスラーへと襲い掛かります。


「なんのまだまたぁ!」


 壊れていない方の腕を振るいマッスラーが再び攻勢に出ようとしますが推進力を得た私は意にも介さず直進。私の体がぶつかった先からマッスラーの腕がひしゃげ、砕け、そして残骸へと変わっていきます。

 攻撃する手段を失ったらしいマッスラーがたじろぐようにしてさらに後ろに下がります。

 もちろん逃がしませんが。


「お前ぇぇぇ! 一体なにでできてるんだぁぁぁぁ!」


 逃げながら私に対して恐怖するような声音で下がり、肩や胸部が開きそこから超連射(ガトリング)砲の砲身が覗き、それらが私に向かい放たれます。

 しかし所詮は銃弾。

 大した脅威にはならないのでそのまま突っ込み、目に見えるほどの密度の魔力を集めた拳を振り上げ、


「ご主人様の愛の力です!」


 声高々に宣言しながら気持ち悪く動き続けるマッスラーの下半身へと叩き込んだのでした。

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