表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/62

メイドとNINGYA?

「ようこそベルモンディアス家へ」


 私は無言で佇み、殺意を飛ばしてくる銀狐へてスカートの裾を掴んでの礼を行います。あ、手にしていた毒付きのナイフならすでに放り投げました。流石にナイフを手にしたまま礼をするのは失礼に値すると思いますので。

 頭を上げ、ご主人様ご執心の銀狐のほうへと眼をやります。

 パッと見た感じでは無傷。腰には長さの違う恐らくは剣であろうものがふた振り下げられています。服は以前、母様の屋敷を襲撃してきた時同様に真っ黒けで幾つものマントを着ているかのようになっています。

 ご主人様の屋敷の庭には母様の屋敷ほどではありませんが私お手製のトラップを仕掛けていたのですがそれらが発動した形跡はありませんし、それらで傷を負ったという様子もみられません。

 強いて言うならば、母様がぶちかました爆裂魔法が組み込まれた銃弾を受けたであろう腕がぎこちない動きをしているくらいでしょうか?


「……貴様らが俺に馬鹿げた文を送ってきた奴らか?」


 銀狐がぐしゃぐしゃに握りつぶされたであろう便箋を私に見えるように掲げます。

 確かにあの花柄の便箋はご主人様が闇ギルドで取り出した物で間違いはないようです。


「はい、そちらは私の主人が出した物で間違いはありません」

「そうか……」


 抑えているようですがわかります。あれは怒ってますね。何かわかりませんが体からユラユラと立ち上がってます。外は体から湯気が上がるほどに暑くはないはずなのですが……

 もしかすると私のセンサーが壊れている可能性があるのかもしれません。


「なら死ね」


 低く、しかし離れているにも関わらず私にその声が聞こえると同時に銀狐が腰に吊るしてある武器を抜き放ちます。


 あれは? なんでしょうか?


 銀狐が抜いた武器は確かに剣です。ですが刃は片側にしかなく剣先は反り返すようになっています。さらに言うならば細い。

 私が握れば軽くへし折れてしまいそうな位に細い剣です。

 銀狐が握りしめていた便箋を宙へと放り投げます。突然わけのわからない動きをされたので思わず放り投げられた便箋を目で追ってしまいます。そして私が確実にみていたはずの便箋が銀狐が手にしていた剣を振るわれると同時に粉々に切り裂かれ、一瞬にして燃え尽くされました。


 どう見ても、というかやる気満々です。


 後ろのパラソルの下でこちらを見ているであろうご主人様の方を見ると手にしているカップへフィルにお茶を注がしているところでした。そして私の視線に気づいたのか私の方を見ると笑顔で手をひらひらと振ってきます。


「殺しちゃだめだよ〜」


 ご主人様、向こうはこちらを本気で潰す気満々だというのにこちらは殺してはいけないというのはかなり制限されるのですが……


 ですがあのご主人様の屈託のない笑顔! あの笑顔を曇らせないためにもこのリップス! 全力で銀狐の相手をやらさしていただきます!

 そう決心した私は勢いよく銀狐のほうへと振り返り、


「へ?」


 間抜けな声を上げながらも慌てて頭を下げ、体を屈めます。

 だって眼前に燃え盛る刃があればとりあえずは避けるというものですからね。

 炎剣は私の数本の髪と空気を焼きながら振り抜かれます。そして瞬く間に引き戻され、一体いつの間にと思う速度で私へと詰め寄っていた銀狐が再び炎剣で屈んだ私の体を両断すべく猛威をふるいます。

 さすがにご主人様成長日記を書き上げていないので死ぬわけにはいきません。

 銀狐はさらに炎剣を繰り出し、そして轟! と空気を燃やし尽くすかのように突き出された炎剣をブリッジをするようにして躱します。

 私のメイド服のお腹部分にかなり熱量を感じとりましたがなんとか回避成功。

 しかし、突き出された炎剣は急に停止、まるで重量を思い出したかのように私に向けて軌道を変えて落下してきます。


 躱せない。


 とっさにそう判断した私は地面を勢いよく蹴りつけ、手で地面を掴むとと腕の力と地面を蹴った勢いから魔導液体(マジカルリキッド)を脚に纒わすと振り下ろされる炎剣へ向け、下から蹴りを叩き込みます。


「熱っ!」


 魔導液体(マジカルリキッド)を纏った私の美脚と炎剣とがぶつかり合い、一瞬だけ青白い火花を散らしますが交錯したのはわずかな間。

 そして次の瞬間には、私は炎剣へと蹴りを入れた反動から幾度もバク転を決めながら後ろへと下り、銀狐はというと庭の地面を削る様にして後ろへと下がっていきます。そうして反発するようにして私と銀狐は距離を取り合う羽目となったのでした。


「おー、これが東の国のNINGYAってやつなんだね!」


 ご主人様がキラキラした目で何か言っていますが多分違うと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ