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咲いた恋の花の名は。  作者: しっちぃ


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ユリ―『純粋な心』

最終回です。

「みんな、今日はお疲れ様」

「「お疲れさまです、会長」」


 生徒会選挙が終わって、仕事の引継ぎもなんとか済む。

 この前の選挙で晴れて生徒会長になれたけど、責任も副会長のときからはずっと重くなる。信頼できる仲間と一緒に、これから一年間学園の顔になるんだ。


「あの、……先輩は帰らないんですか?」

「あ、私は会長室掃除してから帰るから、先行っていいよ」

「わかりました、お先、失礼します」


 今年から、新しく副会長になった文花ちゃんに声をかけられて、そうやってあしらう。去年、私が姫奏先輩にそんなことを言ってたのを思い出す。もう、1年になるんだ。生徒会に入ってから、……そして、邑先生に初めて出会ったときから。


 軽く会長室に掃除機をかけて、わざとみんなと帰るタイミングをずらしてから階段を下りる。吹奏楽部の練習の音が、遠くから聞こえるくらいで、静かな廊下を歩く私の足音だけがこつこつと聞こえる。

 1階に降りてから高等部側に曲がって、ちょうど校舎の真ん中くらいのとこで、立ち止まってドアをノックする。


「……どうした、江川」

「ちょっと、会いたかっただけです」


 そう言うと、頬を緩めて、中に入れてくれる。滅多に笑わない人だって分かってるから、その顔を見れただけで心がキュンと疼く。


「今日は遅かったな」

「ちょっと、生徒会の引継ぎがあって」


 毎日とは言わないけど、邑先生とお付き合いを始めた日から、よくこの部屋に来るようになった。


「そうか、生徒会長だもんな、……たまには休めよ?」

「邑先生だって、たまにはゆっくりしてくださいね?……私には、邑先生しかいないんですから」

「それはこっちの台詞だ、バカ」


 邑先生には、私しかいない。そっくりそのまま返された言葉を頭に浮かべて、頭が蕩けそうになる。

 邑先生の過去を聞いてしまったせいで、その言葉はぎゅっと重みを増す。誰にも、恋なんてできなかった邑先生が、私の想いを受けてくれた。これは、邑先生の全部、私に預けてくれたのと同じことだから。

 こつんと、頭を軽く叩かれる。全然痛くもないそれは、不器用な邑先生ができる、精一杯のこと。そんなの分かってるけど、……もっと恋人らしいこと、したい。


「邑先生……っ」


 でも、まだ、ちょっとだけ勇気が足りない。もっと進みたい。その欲望が、邑先生の気持ちを壊してしまうかもしれないから。


「……どうした」

「……キスしても、いいですか?」


 これだけ言うので、もう喉がからからに乾く。この気持ちが、もし邑先生を傷つけたら、……もう一生、邑先生は誰かに恋できないのかもしれない。

 そんなの、嫌だよ。好きな人のこと、好きだから壊してしまうなんて。


「……わかった、……じゃあ、どうすればいい?」


 この気持ち、受け入れてもらえた。誰にも恋できなかった邑先生だから、きっと初めてなんだっていうのもわかって、……胸の奥が、高く鳴る。

 眼鏡、外したほうがいいよね。眼鏡を取って、ポケットにしまうと、周りがぼんやりして、顔を近づけてるから、……邑先生しか見えなくなる。


「目、閉じてください」


 その言葉で、邑先生がぎゅっと目をつぶる。キスの仕方も分からないくらい、恋というものに無縁だったって、改めて気づかされる。ちゃんと、できるかな。これが、邑先生にとって、初めてなんだから。

 ちょっとずつ、顔を寄せていく、ちょっと顔をかしげて、鼻先がぶつからないように。少しすぼめた唇が、邑先生のそばまで来て、私も目を閉じる。


……ちゅ。


 重ねるだけの一瞬で、心が限界になってしまう。私も、恋人同士がそういうことをしてるシーンなら見たことがあるけど、誰かとするのはこれが初めてだから。

 紙一重の距離で、目が合ってしまう。睫毛が、触れ合いそうなくらいの距離は、肌から香るにおいすら伝わってくる。。

 

「どう、でした?」

「……なんだろう、すっごく、ドキドキする」

「私もですよ」


 離す言葉の吐息一つ一つががかかる距離。嫌じゃないのは、言われなくてもわかる。


「江川……、好きだ」


 相変わらずの低い声で、囁かれた言葉。その言葉に、どうしても胸が高鳴って止まらない。

 お付き合いしてるけど、まだ、『好き』って言葉は言われたことがないから。


「私も、……好きです、邑先生」


 二人きりでいると、いつも言ってるような気がする。でも、何度言ったって、足りないくらい好き。

 その度に、邑先生が、髪を撫でてくれる。今回も、優しい手の温もりが、髪から伝わる。

 

 邑先生のこと、ずっと、好きでいます。

 その言葉はきっと、もう心には伝わってる。

ようやく、二人の物語に幕を下ろせました。この物語は、多くの方々の支えがあっても無事に完結させられました。


星花女子プロジェクト主催の登美司つかさ様

完結が遅くなって、本当に申し訳ありませんでした。まさか、これに1年もかかってしまうなんて。2期以降は、もうちょっと早く書きたいです。


倉田邑さんを作って頂いた壊れ始めたラジオ様

魅力的なキャラクターと闇の深すぎる設定を作っていただき、ありがとうごさいました。邑さんを、ちゃんとラジオ先生の思ってたように動かせていたなら嬉しいです。


登場して頂いた他作品のキャラクター達(名前(登場作の作者『登場作品』))


北川かおりさん(登美司 つかさ様作『恋は芽吹いて百合が咲く』)

倉田楓さん(壊れ始めたラジオ様作『百合ing A to Z 〜ゆりんぐ・えー・とぅー・ぜっと〜』)

木隠墨子さん(壊れ始めたラジオ様作『百合ing A to Z 〜ゆりんぐ・えー・とぅー・ぜっと〜』)

五行姫奏さん(五月雨葉月様作『あなたと夢見しこの百合の花』)

河瀨マノンさん(斉藤なめたけ様作『純情チラリズム』)

赤石燐さん(壊れ始めたラジオ様作『燐火の響き』)

(もし漏れてたら修正します)


この書き物……というか智恵さんを支えていただき、ありがとうございました。皆様がいたからこそ、智恵さんが勇気を出すことができました。


そして最後に、


この作品を読んでくださった全ての皆様

きっと、皆様がいなければ、このように終わらせることはできなかったでしょう。長い間、お待たせしてしまいすみませんでした。今まで支えていただき、本当にありがとうございました。



それはともかく、いちゃいちゃさせ足りないです(((((((((((((

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