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咲いた恋の花の名は。  作者: しっちぃ


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スミレ―『あどけない恋』

スミレの花言葉はほかにも「あなたの事で頭がいっぱいです」(紫)「あどけない恋」(白)なんてのもあったりします。

「実は私、好きな人ができて、……ずっと、その人のことしか、考えられなくなるんです」


勇気を振り絞って出した言葉。自分でも恥ずかしくなってうつむいた言葉に、先輩たちも驚いたような声をあげる。


「意外やねぇ、智恵ちゃん、そんなキャラに見えへんのに」

「本当ね、でもそれだと智恵がいきなりおかしくなるのも納得がいくわね」


私らしくないって、どういうことだろう。私だって人間だし、恋だってするのに。口には出せないけども、ちょっとむっとする。


「ほら、智恵ちゃんはなんか公私きちんとわきまえてそうな感じあるもん」

「私もそう思ってたのよ、だからそんな拗ねないの」

「そ、そうですか……」


表に出さないようにはしてたのに、一瞬で気づかれてしまう。やぱり、先輩たちには敵わないや。


「でもさ、智恵ちゃん一人で思い詰めても、何も解決せんやろ?」

「うっ……」


マノン先輩の何気ない言葉が胸に突き刺さって、なんにも言えなくなる。


「気にしないでいいわ、ゆっくり食べなさい?」

「は、はい……」


相変わらず食欲はないけど、食べないと心配されてしまうし、残すのもなんか申し訳ないからちょっとずつすする。全然味のしないのも、胃が受け付けてくれなくなって吐きそうになるのも麺が伸びたからだって言い訳して、無理やり水で流す。


「食べられへんの?そんなら無理せんでもええんよ?」

「残すの嫌なら、私たちで食べるし」

「そ、それならお願いします……」


結局、その助け舟に乗ってしまう。こんなにご飯が食べられないのも、邑先生が頭の中でちらつくようになってからは初めて。

邑先生のこと、知りたい。その気持ちを閉じ込めてた心から出してしまったから、叶わなくなった気持ちが、余計に恋の病を重くしたのかもしれない。


「じゃあ、うちが食べるから、姫ちゃんと一緒にうちの分戻してくれへん?」

「は、はいっ」

「私、智恵と一緒にいつものとこ行ってるから」

「はいよー」


マノン先輩の前にあったプレートを取って、姫奏先輩と一緒に洗い場まで持っていく。ご飯を取りに行ったときと同じで人がいっぱい溢れていて、洗い場に流すのだけでもけっこう時間がかかった。

マノン先輩のとこに戻ろうとした私を、姫奏先輩が手を引っ張ってくる。


「大丈夫、マノンもすぐ来るから」


その手に引っ張られて着いたのは、高等部の校舎と共通棟の間にある中庭。園芸部が管理してる花壇とベンチがあるくらいで、正装じゃちょっと熱くなるこの時期だと、誰も寄らないような場所。


「ここなら、落ち着いて話せるわね」

「は、はい、ありがとうございます」


隣り合わせにベンチで座って、さっきの話の続きを切り出される。


「最近、ずっと何も食べられないの?」

「そうじゃないですけど……最近食欲なくて、あんなに食べられなかったのは今日が初めてですけど」

「あら、けっこう重症ね……」

「うぅ……、すみません……」


なぜだか責められてるような気がして、謝る言葉が、自然の口をついて出る。

うつむいた私の頭に、頭がポンと乗る。


「大丈夫、怒ってないわ、それに、智恵は、自分で思ってるより、ずっと素敵よ?」

「あ、ありがとうございます……っ」


その言葉に、優しさに、キュンてなりそうな私がいる。その手の優しさに、邑先生にそうされたときを思い出してしまうくらい。


「ふふ、やっぱりここにいた」

「あらマノン、おかえり」

「あ、おかえりなさい」

「もー、ここは二人の家と違うやん?」


そんな軽口を叩きながら、マノン先輩が、私と姫奏先輩の間を挟むような形で座る。


「マノンも来たことだし、もうちょっと話してみる?」

「あ、……はい」


先輩たちに告白するわけでもないのに、溢れてしまった思いを伝えようとすると、どうしても顔が熱くなる。


「その人の事、いつも頭に浮かんで、今何してるんだろうとか、そんな事ばっかりで」

「ふふ、……智恵ってば、その人の事、大好きなのね」

「智恵ちゃん、けっこう純愛やなぁ」


からかうような先輩たちの言葉に、顔から火が出てしまいそうなくらい熱さが増していく。

うつむいた私の頭を、姫奏先輩がぽんぽんと叩く。その優しさに、邑先生に初めて会ったときのことを思い出してドキっとする。

どうしたって、邑先生のことに頭がいっぱいになる。今は、この悩みをどうにかしようって先輩たちに相談してるのに。

胸を侵すほどの恋は、もう止められないって、気づかされたような気がした。


まだまだ生徒会関連の方々が絡んできます。

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