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お次はスイーツ販売ですね。4

 歯茎が痛むので歯医者へ行きました。

 腫れている部分をぐりぐりと消毒されたのですが、地味に痛いのです……。

 明日で三日間連続通院ですよ。

 毎日消毒してもらっています。

 早く完治してほしいものです。

 


 指定した三日後にイベントは開催された。

 バルヒエット夫妻は顔色が悪かった。

 二人とも徹夜続きだったのかもしれない。

 イグナーツは二人よりも顔色が悪かった。

 う、うん。

 三日後で開催される規模のイベントじゃないもんね、これ!


 遠い目をしている三人に、ノワール特製の疲労回復ポーションを渡す。

 その場で三人揃って腰に手をあてて飲み干した。

 男性二人はさて置き、クレメンティーネはマズかったのではなかろうか。

 それでも飲み干した三人の疲れは綺麗さっぱり払拭されたようだ。


「……すばらしいですね、このポーション」


「ええ。肌艶まで良くなった気がしますわ」


「て、定期的に購入するわけにはいかないだろうか、ノワール殿!」


 エックハルトがそのまま交渉にかかりたい気持ちはわかるが、今は開会の挨拶が先だろう。

 私がわざとらしい溜め息を吐けば、クレメンティーネはエックハルトの背中を押した。


「イグナーツはお店を出したの?」


「最愛様の店を手伝う手配となっております」


「あ、イグナーツが頑張ってくれるんだ。それなら安心だね」


「恐れ入ります。では、自分はこれで失礼いたします」


「はい、よろしくお願いします」


 二人で頭を下げあって別れた。


「……しかし凄まじい規模になったものよのぅ」


「年に一度の祝祭を思わせる規模だもんねー」


「……王都から高貴な客人が急ぎ馬車を走らせていると聞いております」


「高貴な方は奥方の手から、氷ダンジョンでドロップした全てのスイーツを購入する予定じゃとか」


 ふっとローザリンデの顔が浮かぶ。

 来るのか……来るんだろうなぁ。

 高貴な身でありながら理不尽に不遇な目にあった彼女に対して周囲は甘い。


「王都の拠点を任せている皆からも、行きたいです! と打診があったので許可をしたぞ」


「そうなの? あードロシアが地縛霊じゃなくて、屋敷を守護する霊に進化したんだっけ? キャンベルもちょこちょこ顔を出すって言ってるし。大丈夫でしょう」


 し、知らない話がありますよ。

 ただそれだけでドロシアが私たちを守るためにある種の決断を下したのだと理解できた。

 良い母であった彼女は子供たちの代わりに、私たちを守り抜くと決めたのかもしれない。

 嬉しいが無茶はしないでほしいと思う。


「どちらも最終日には到着すると思われます」


「一緒に来るみたいじゃぞ。高貴な方はリス族の三姉妹を殊の外気に入っておったからのぅ」


 普通の馬車であれば間に合わない。

 しかし彼女の側には魔法狂いの彼がいる。

 もしかしたら今日中に到着するかもしれない。


 うん。

 覚悟だけはしておこう。


 彩絲と雪華は私と一緒に屋台をやり、ノワールはイートインの店を手伝う。

 ランディーニはどちらの様子も見つつ、手を貸すつもりらしい。

 ペーシュは表には出ず、私の影に潜んで駄目な奴らをこっそりと粛正して回ると言っていた。

 ……過剰防衛の気もするが、高貴な方が来るなら、彼女たち狙いの暗殺者なども出そうなので大げさな手配ではなさそうだ。


「しかし……この格好。目立つわね」


「今更じゃろ?」


「いいじゃん、お揃い。色違いの花柄違い!」


 彩絲は呆れ気味、雪華は嬉しそうな返事をする。

 

 そう、三人は色違いで花柄違いのワンピースを着ていたのだ。

 ボリューム感のあるバルーン袖に、すとんと長いフレアーライン。

 スクエアネックで開いた胸元には、それぞれの花をモチーフにしたネックレスをしている。

 彩絲、水色でネモフィラ。

 雪華、黄色で向日葵。

 私、ピンクで桜。

靴下は穿かずに編み上げサンダルを履いていた。

 幅広のシルクリボンを使ったサンダルは履き心地も良い

 ネックレス以外のアクセサリーはイヤリングとトゥーリング。

 セット物としてありがちな指輪とブレスレットは、販売業には向かないよねー、という判断でつけなかった。

 ちなみに一通り揃ってはいる。

 違う機会になら出番もあるだろう。


「それにしてもショーケース付の屋台って凄いね。初めて見たよ」


 氷ダンジョンドロップアイテム販売専用屋台はショーケース付でした。

 ショーケースの中は勿論よく冷えています。

 氷系のアイテムを売るには必須だと思うけど……。

 氷ダンジョンのドロップ品だと専用保管庫があるから、なくても大丈夫なんだよね。

 見栄えはするけど。

 あ!

 ボールの中に入っていると正確なサイズ感がわからないから、ボールから出して展示しておけばいいか。


「うん。妾も初めてじゃぞ。たぶんこの世界でも初めてじゃろうなぁ」


「うわーん」


「何も泣くことはないじゃない? これから氷ダンジョンでレアドロップするかもしれないし」


「屋台そのものについての問い合わせは、エックハルトに聞くように言うのじゃぞ?」


「え、それで大丈夫なの?」


「大丈夫じゃよ。困ったことが起きたら全てエックハルトに持ち込むぞ! と伝えてあるからのぅ」


「それ、大丈夫じゃないやつ」


 イベント終了後に相談されるだろう。

 これも覚悟しておかないと。


「あ! 始まるみたいよ」


 拡声魔法なるものがあるらしく、広いイベント会場にエックハルトの声が響く。


『えー、本日は三日間開催予定の突発イベントに足をお運びいただきまして、誠にありがとうございます。氷ダンジョンや服ダンジョンよりドロップしましたアイテムを多く販売するイベントです。大いにお楽しみくださいませ!』


 シンプルで要点を得た開催の挨拶だ。

 この暑い中でだらだらと話をされても反感を買うだけだろう。

 すばらしい。


 エックハルトの声に続き大きな歓声が上がる。

 イベント会場で一番良い場所に設置された私の屋台を凝視する客の目は鋭く、恐ろしさすら覚えた。


「安心するがいい。そもそも問題のある客もどきは近づけぬように、子蜘蛛や子蛇たちが駆除にかかっておるからのぅ」


 言われればあちこちで、痛っ! へ、蛇? きゃあ、蜘蛛! と声が上がっている。

 悲鳴を上げているのは困った客もどきなのだろう。


「いらっしゃいませ!」


 三人が横並びで接客している中で、私の前に立ったのは一人の少女。

 しっかりとお財布を握り締めている。


「何をお買い求めですか?」


「こ、これで買えるだけください!」


 鉛貨五枚が入っていた。

 5ギル。

 頑張って貯めたお小遣いかな?

 ダンジョンドロップ品は安くない。

 通常物で10ギル、レア物は100ギルが一般的とのこと。

 特に氷ダンジョンのドロップアイテムは、専用保管庫に入っているから高くなりがちらしい。


 でもそれは一般的なお話。

 

 屋台の前には、値段は販売員が自由につけます。

 苦情は一切受け付けません! 

 ……と強気なコメントが書いてあるのだ。

 実際ドロップアイテムの買い取り額も販売額も都度変動するものだしね。

 さすがに同じイベントなのに違う値段で販売するのは問題ありかもしれないけれど。

 一生懸命頑張っている健気な子は贔屓したいじゃない?


「一人で食べるのかな?」


「弟と妹と三人で食べます」


「じゃあ、三個だね。お姉ちゃんが選んでもいいかな?」


「うん!」


 一応安価にしても、文句が出にくい一階のアイスクリームから選んだ。


「はい、どうぞ」


「うわぁ! どれも美味しそう。ありがとう、お姉ちゃん!」


「三人で仲良く食べてね」


「はーい!」


 良い子の返事をした少女は嬉しそうに走って行く。

 少女から専用保管庫を奪おうとした者は仲良く転んでいた。

 きっと無事に帰宅できるだろう。


 ちなみに選んだ三点はブーザ、シュパゲティ・アイス、ホーキー・ポーキー。

 器やお皿は食べ終わったあとも使えるので、是非今日の記念として末永く使ってほしい。


「お次の方どうぞ」


 次は青年。

 暑さの関係でゆるっとした衣装が多い中、彼は比較的きっちりとした服を着ている。

 富裕層の人かもしれない。


「アイスの天ぷらの詰め合わせとアイス大福の詰め合わせと葛アイスの詰め合わせを五個ずつお願いします」


 うん、富裕層確定。

 しかもよく調べている。

 全部レア物だからね。

 なかなか食べられない物ばかりだから、気合いが入っているようだ。


「それぞれ100ギルになるので、1500ギルちょうだいします」


「そ、そんなに安くて大丈夫ですか?」


「ええ、たくさんありますから。追加注文されますか?」


「……よろしいでしょうか?」


「勿論、仲良く、美味しく、食べていただけるなら」


「……独り占めしようかと思っていましたが、友人と食べようと思います」


「ふふふ。独り占めする物があってもいいと思いますよ?」


「そう言われると……誘惑に負けそうです」


 困ったように笑った青年だったが、最初から誰かと分け合うつもりだったようだ。

 そんな雰囲気を感じた。


「では、遠慮なく。ベイクド・アラスカとボンベ・アラスカを五個ずつお願いします」


「はい、こちらですね。追加で1000ギルお支払いください」


「……素敵なカトラリーまでついてくるんですね。食後は大切に使います」


「そう言っていただけると嬉しいですね。ありがとうございました」


 大量買いは禁止していないが、持ち運びの袋などは用意していない。

 青年はアイテムバッグに全部を詰め込んで、丁寧に頭を下げて歩いて行く。

 どうやらイートインも試すらしい。

 お店の方へ向かっていった。





 柊麻莉彩 ひいらぎまりさ


 HP ∞ 

 MP ∞ 

 SP ∞ 


 スキル 鑑定∞ 

     偽装∞

     威圧∞  


 奪取スキル 生活魔法 育児 統率 礼節 謀略 地図

      王宮料理 サバイバル料理 家庭料理 雷撃 慈悲 

      浄化 冷温送風 解呪 神との語らい(封印中)

      ウインドアロー ウインドカッター 


 固有スキル 弱点攻撃

       魔改造 

       簡単コピー 

      

 特殊装備品 *隠蔽中につき、他者には見えません。

 サファイアのネックレス

 サファイアの指輪

 サファイアのイヤリング


 特殊アイテム

 リゼット・バローのギルドカード

 魚屋紹介状

 衣類屋紹介状


 称号 時空制御師の最愛  



 全部違うチョコレートがいいと、パウパトロールのアドベントカレンダーを購入しました。

 味は一緒なのですが、形が違うのです!

 味も形も全部違うアドベントカレンダーは5000円近かったのですが、このカレンダーは700円程度。

 チョコレートも美味しく、毎日このチョコレートは何の形かな? と考えるのは思いの外楽しいです。

 もっと早く挑戦すれば良かったです、アドベントカレンダー。

 まだ試したことのない方はぜひ。


 次回は、 お次はスイーツ販売ですね。5(仮)の予定です。


 お読みいただいてありがとうございました。

 引き続きよろしくお願いいたします。 

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