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旦那様は時空制御師 まずは、現状把握ですね?

ローテーション更新です。

念願の異世界編に突入しました!

夫に溺愛されない分、もふもふとかに溺愛させたいものです。


 純白に染め上られた視界が、ゆっくりとクリアになってゆく。

 数度瞬きすれば、そこには日本人には見慣れない高い天井の部屋。ゴージャスな調度品の数々と、無駄に着飾った人々が映り込んできた。


 目を閉じてふうと息を吐き出す。

 すると。

 次に目を開いた時には、ゲームで良く見るステータスの画面が表示されていた。

 ご丁寧にも精緻に描かれた百合の花の飾り罫線で囲まれている。

 そこに表示されていたのは己のステータス画面ではなく、夫からのメッセージ。


最愛の妻へ


 色々と突っ込みたい気持ちは良く解かりますが、まずはイヤリングを装備して下さいね? 

 言語が解かるようになりますから。


 ちなみにペンダントは絶対防御機能がついています。

 どんな攻撃も無効化しますので、安心して下さい。

 寝ている時も外してはいけません。

 お風呂に入っている時も駄目です。


 指輪はアイテムボックスになっています。

 アイテムボックスの中には便利なアイテムを色々と仕込んでありますので、城を出てから確認してくださいね。


 貴女が首尾良く全てのクエストを果たせたら、帰還できるようになっていますので、その点も安心を。

 勿論、召喚時に召喚された場所へ帰還できるように手配済です。

 素敵にファンタジーな世界ですから、異世界トリップを存分に楽しんでから帰還して下さい。


                                     最愛の夫より


『たかひとさーん!』


 すかさず、心の中で突っ込みを入れる。

 やっぱり夫の仕業だったらしい。

 料理教室に不似合いなアクセサリーを身に着けさせたのには、こんな理由があったようだ。


 生温い微笑を浮かべつつ、夫の指示通りしまっておいたイヤリングを装着しようと、ポケットに手を入れる。


 と、同時に、真っ黒いローブを頭からかぶって、誰がどう見ても悪人ですよ! という雰囲気を纏う男が大きく杖を揮う。

 恐らく魔法を放ったのだと思うが、ペンダントの絶対防御機能が無事に働いたらしく、黒い煙のような一線は私の30センチ手前で霧散した。


 ローブの人物が愕然としている側で、玉座にふんぞり返っている男性やその隣に居る白塗りおばけレベルに化粧をした女性、重すぎて機敏な動きが出来るとは思えないフルプレートアーマーを装備した人物達が、何やらパニックを起こしかけて妙な動きや叫び声をあげているが、私の最優先はイヤリングの装備だ。


 無事に両耳につけた途端。

 あ、これ駄目な奴だ!

 と、首を振るしかない会話が聞こえてくる。


『……ありえない……僕の拘束魔法が効かないなんて、嘘だ』


 ローブの人物はどうやら男性だったらしい。

 僕っ娘は可愛ければ正義だが、どうだろう?

 拘束魔法は=隷属魔法なのかの方が今は気になるところだ。


『宮廷最高魔導師の魔法が効かないとは! 歴代召喚者にはいなかったぞ!』


 でっぷりとした腹を重たげに揺らして悶えるのは、王冠を見るにこの国の王なのだろう。

 歴代召喚と言うからには、何度も仕出かしているわけだ。


 本人の意思をまるっと無視をして、価値観が違い過ぎる可能性が高い異世界から無理やり拉致をしておいて、慰謝料は払っているのか。

 テンプレ的に、世界を救えだの、魔王を倒せだの御託を吐くのなら、その報奨はきちんと支払っているのか。

 最も重要なのは、元居た場所へタイムラグなく戻せるのか。

 聞きたい事はまだまだある。


『なんじゃ、あの宝石は! 見た事ないぞえ。我に献上させるしかないのう!』


 白塗りおばけは同じく王冠をつけているので、王妃で間違いなさそうだ。

 しかも、私の宝石に目を付けるとか、どれだけ私利私欲を満たす為に生きているのか解ろうというもの。


『落ち着かれてください! まずは隷属の首輪をさせて、話を聞き出しましょう。何か宮廷最高魔導師殿の魔法を無効化する魔法具などを持っているのかもしれません』


 フルプレートアーマーの中で一番頭飾りがゴージャスな人物が叫ぶ。

 一番冷静で頭も良さそうだ。

 言っている事は最悪なので、人間としての評価は下の下だが。


『うむ。それが良いのう。首飾りを献上させて、隷属の首輪をつけさせるのじゃ!』


 王妃の目が物欲に塗れて爛々と輝いている。

 紫の瞳とか大好物なのに、台無しだ!


 フルプレートアーマーの男が様子を伺いながらこちらへ向かってくる隙に、自分のステータス画面を確認する。


 自分のステータス宜しく!

 と頭の中で唱えれば、どこかで、待ってました! と声が聞こえたような気がして、目の前には先程の百合装飾な画面が出てきた。


「じちょうしてください……」


 柊麻莉彩 ひいらぎまりさ


 HP ∞ 絶対防御が働くので低くても良かったんですけどね?


 MP ∞ どんな魔法も使えますよ!


 SP ∞ 好きなだけ食べて下さい。太りません。


 スキル 鑑定∞ 貴女の前ではどんな秘密も暴かれますよ。


     偽装∞ 状況に相応しい偽装を勝手にしてくれます。


 固定スキル


 弱点攻撃 攻撃されると勝手に弱点攻撃してくれます。


 魔改造 料理用と思いましたが、アイテムにも使えます。

     色々と試してみてください。


 簡単コピー 一度鑑定もしくは実動を見たスキルを全てコピーできます。

       面白いスキルがたくさんありますよ。

       極度に方向音痴の貴方にはマッパーを早めに取ることをお勧めします。


 特殊装備品


 サファイアのネックレス

 攻撃無効化の絶対防御機能付。

 如何な場合でも外してはいけません。


 サファイアの指輪

 アイテムボックスです。

 状態維持の無限収納。

 更に食材や資材の解体機能付です。


 サファイアのイヤリング

 異世界後翻訳変換機能。異世界で使われている言語全て、日本語変換してくれます。

 読みだけでなく書きもばっちりですよ。

        

 称号 時空制御師の最愛 

 ~の最愛は、神様の加護的なものと思って下さい。

 王族でも逆らえません。


*尚、鑑定されて見える表示はHP、MP、SPと称号のみです。

 称号を盾に無理難題吹っかけるのも良いと思いませんか?


 チートすぎて一瞬ドン引きした私を責めないで欲しい。

 次の瞬間には、異世界トリップ、チートきたぁーとか思ったのも責めないで欲しい。


 次回は、旦那様は時空制御師 三聖女(笑)のステータス になります。


 お読みいただきありがとうございました。

 引き続きお楽しみいただければ幸いです。


 ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。

 とても励みになっています。

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