六十三話 「隠し通路」
未だに霧が晴れることはなかったが、一先ず後続の魔物来ないようだったのでアッシュは倒した魔物の元へ向かった
襲いかかってきた魔物はゾイレインセクトという魔物だった
鋏のような尖った二本の角を相手に刺すと自らその角を折り、折れたところから強力な酸を放出して溶かしてくる
返しがついている為抜くのに手間取っていると、刺さった箇所が悪いとあっという間に肉体から切り離されてしまう
『クウ、この魔物を吸収しておいてくれるかな』
クウに魔石ごと魔物の吸収をお願いしていると、イズナが声をかけてくる
『おーい、アッシュ。霧を出して奴が分かったぞー。こいつらが原因だったみたいだ』
そう言うとイズナは手にしていた魔物をこちらに放り投げてきた
イズナが倒した魔物はマジックマッシュというキノコの形をした魔物
攻撃能力は皆無だが先程のミストジャミングのように相手の攻撃手段を封じたりして戦闘の妨害をしてくる魔物だ
それをイズナが場所を突き止めて倒してくれてきたようだ
お陰アッシュ達を覆っていた霧は晴れていった
一応この魔物もクウに吸収しておいてもらおう
『よしっ、じゃあ移動を再開しよう・・・ん?』
戦闘を終えダンジョンボス探しを続行しようとすると地面に違和感を覚える
視線を下に向けてみるとある一部分だけ土の地面ではなく幾重にも蔦や根が複雑に絡み合っていた
『なんだろう、ここだけ少し空洞になってるみたい。僅かだけど隙間から空気が抜けてくるよ』
『ん?この下から魔力を感じるな』
『本当ベル?』
『あぁ、さっきの霧が無くなったお陰だろうな』
ミストジャミングが晴れたお陰でベルの探知が使えるようになりこの下に何かいるということが分かった
もしかしたらマジックマッシュはここを知られない為に見張っていたのかもしれない
そう思うとかなりこの場所がかなり怪しく思えてきた
『ベル、破壊することできる?』
『これ位朝飯前だぜ』
そう言うとベルは一瞬にして絡み合っていた蔦や根を細断していった
破壊した場所からは予想していた通り空洞があり、下を覗いてみたが真っ暗で状況を確認できない
どれ位の深さがあるのかとそこら辺にあった石を落としてみると、結構な秒数が経ってから反響してきた
この下に行くには中々骨が折れそうだ
『これどうやって降りようか。手持ちにあるロープじゃとてもじゃないけど届かなそうだし』
『ここは私に任しておけ』
『え?何か方法があるのイズナ』
この下に降りる方法が思いついたのかイズナが名乗り出てきた
一体どんな方法を使うのかと様子を見守っていると、突然イズナはアッシュとアレッサの二人を抱きかかえ始める
そこでようやくイズナがこのまま下に飛び降りようとしていることが分かった
『イズナちょっと待ってまだ心の準備が・・・』
『いいか、ちゃんと掴まっていろよ。ほっ』
『きゃああああああ!!!』
心の準備をする暇もなくイズナは穴の中へと飛び降りていった
それに続いてクウとベルが飛び降りてくる
実際の落下時間は十秒位だったろう。だが体感ではそれ以上に感じた
地面に着地した瞬間、かなりの衝撃を覚悟したがアッシュ達は地面に深く沈み込み衝撃が吸収され無傷で着地することができた
『二人共大丈夫?』
『うん、下がクッションみたいになっててよかったね』
『でも真っ暗で何も見えないね。明かりを点けないと、鞄はっと・・・』
『私は夜目が利くから問題ない。ほら鞄はこっちだぞ』
イズナの声がする方にアッシュが鞄に手を伸ばす
しかしアッシュが掴んだのは鞄ではなく別の感触がするものだった
ふわふわと綿毛のような癒される手触りでその中に芯のようなものがあるのを感じる
なんだろうと思いつつ暫くその感触を堪能していると、イズナが突然艶かしい声をあげた
『ふにゃん!?アッシュ!お前なんてところを触ってるんだ!』
『いったぁ!え、なに?僕は何を触ったの?暗いから分からないんだよ。なんだか手触りが良かったけど・・・』
『アッシュ君最低です・・・』
『なんでっ!?』
イズナには殴られ何故かアレッサにまで貶される始末
その状況に困惑していると遅れてクウを携えて降下してきたベルが到着した
『何をやってるんだお前達は』
『あっ、ベルちょうどよかった。明かりって点けられる?』
『ほい、灯火』
ベルが魔法を唱えると周囲が明るくなり視界が確保され、先に道がある事が確認された
下に目を向けるとアッシュ達が落ちた先は地面等ではなくバルーンリーフという巨大な葉っぱの上だった
これがクッションとなってくれたお陰で何事もなく来れたということか
イズナの方を見ると顔を紅潮させながらこちらを睨んでいた
本当に何を掴んでしまったんだ・・・
若干の気まずい空気が流れるも、アッシュ達はこの先に続く道へと歩を進めた
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