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四十話 「ルルネの町」

ドラゴンと共に下山することになったアッシュ達は日没を過ぎてしまったが無事ルルネの町に到着

幸い魔物や獣と遭遇することは一度もなかった。きっとドラゴンの脅威を本能で感じ取って近づいてこれなかったのだろう



『では私は商品を卸さなくてはいけないのでこれで失礼します。ドラゴン様この度は本当にありがとうございました』



依頼人は町に着くとドラゴンに深々と頭を下げながら何度もお礼を述べ、遅れた理由や橋の件の報告なども含め卸先へと消えていった

ルルネの町を出るのは三日後。それまで特にやることがないアッシュ達は自由行動が許されているのでまずは宿の確保、の前に腹を空かせているドラゴンの為に食事ができる場所へと向かう

だがその前に言わなくてはならない事があった



『あのぉドラゴンさん』


『オイラの名前はリベルタスだ』


『えっとリベルタスさん、お願いがあるんですけど少しの間この鞄の中に隠れてもらうことはできますか?』



アッシュの持つ鞄を指差しながらここに入るよう促してみると、リベルタスはあからさまに嫌な表情で眉を(ひそ)めていた



『オイラがそこに?どうしてそんな狭苦しい場所に入らなくちゃいけないんだ』


『ドラゴンが堂々と飛んでいたら町が大騒ぎになっちゃいますから。お店に着くまでの間だけでもお願いできませんか?』


『いやだ』



アッシュの提案は即答で断られる

流石に鞄の中に隠れろというのは失礼だったか

だがこのまま引き下がるわけにもいかない



『うーん・・・何か町の人が驚かないようにする方法はないですか?』


『仕方がないな、つまりオイラの存在が認識されなくなればいいという事だろ?ならこれはどうだ』



そう言うとリベルタスは何らかの魔法を発動させた

一見何の変化も感じられなかったのでアッシュ達が首を傾げていると、リベルタスから魔法の説明がされた



『今使ったのは認識阻害という魔法だ。お前達にはオイラの姿が見えるようにしてあるけど他の人間には姿も見えないし声も聞こえてないぞ。ほらっ』



認識を阻害するという魔法を自身にかけたリベルタスが町中を飛び回る

確かにどれだけ町中を飛んでいようとアッシュ達以外の人間は誰一人気づいている様子はなかった

これなら騒ぎにならないだろうと問題が解決したところで店に入る

当然リベルタスは肉をご所望だったのでとびきりデカい肉を注文

自分と同じ位の塊肉がやって来るとリベルタスは目を輝かせ大喜びで齧りつき始めた



美味ぇ(うめ)!美味ぇ!やっぱり人間が焼いた肉は美味ぇな!オイラがやってもこうはならないぞ!』


『血抜きとか色々と手間暇をかけてますからね』


『おかわり!』



リベルタスはその小さな体のどこに入っているのかと不思議になる位肉を貪り続けた

満足してくれているようだしこれで少しは助けてもらった礼もできただろう



『そういえばリベルタスさんはいつからあの山に?ずっとあそこに住んでいたんですか?』


『モッチャモッチャ・・・いや、オイラがあそこを塒《ねぐら》にしたのは最近だぞ。オイラは気ままに世界中を飛び回って面白そうなことを探してるんだ。ドラゴンは基本暇だからな!』



何千、何万年と生きる長命なドラゴンならではの生き方というわけか

そんなドラゴンとあそこで出会えたのは本当に奇跡だったわけだ



『もう一つ気になっていたんですがリベルタスさんはなんという種族のドラゴンなんですか?本とかでも見たことがなくて』


『オイラは精霊龍(フェアリードラゴン)っていう種族だ。ドラゴンの中でも結構珍しい種族だから人間が知らなくても無理ないな』



精霊龍は成龍でリベルタス位のサイズが普通らしく、決して自分はチビなわけではないとそこだけ語気を強めに補足された

やはりアッシュの最初の発言を根に持っているようだ

せっかくのドラゴンとの対話だったのでその他にも色々聞いてみたかった事をアッシュが質問しようとすると、話を聞いているだけだったアレッサが唐突に口を開いた



『あの、リベルタスさん。お願いがあるんですが・・・』


『なんだ?』


『ぎゅ、ギュッってしてもいいですか!』


『あ、アレッサ!?』



突然何を血迷ったのかドラゴン相手に無謀とも思える申し入れをするアレッサ

流石にこれは反感を買うのではと心配したが、リベルタスはアッシュの予想とは裏腹に快くアレッサの願いを受け入れた



『別にそれ位いいぞ。あっ、翼には気をつけろよ』


『ありがとうございます!はぁ、可愛い・・・』


『当然だ、オイラは強さと可愛さの両方を兼ね備えた完璧なドラゴンだからな!他のドラゴンじゃこうはいかないぜ!』



恍惚の表情でリベルタスを抱くアレッサ

ドラゴンに抱きつこうなんて思いついてもまず行動に起こせないだろう



『それにしても人間に抱かれるなんて初めてだったが案外悪くないな。特にここがいい感じの弾力を出してるぞ』



そう言いながらリベルタスはアレッサの胸を手で押したり軽く叩いたりして弾力を確かめていた

それを見ていたアッシュは羨ましくなった。勿論ドラゴンを抱き締めている方にだ



『あ、あの。僕もいいですか?』


『んー?お前はこの柔らかいのが無くて固そうだからいやだ』



素気なく断られてしまったことにアッシュは床に膝をついて倒れ込む

それを見ていたクウが慰めにきてくれたのでアッシュは代わりにクウを抱き締めて癒された




ご拝読いただきありがとうございます!毎日20時に最新話を更新していますのでよろしければ次回もよろしくお願いします!

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