二十四話 「因縁の相手」
レッサーアントの件から一夜が明け、アッシュ達は再び六階層へとやって来た
今度は別の道を選びレッサーアントがいる道を回避、現在七階層を目前にしていた
『この道を進んでいけばもうすぐ七階層ですね。ここまで順調に来れましたし行ってみますか?』
『そ、そうですね・・・』
『どうかしましたか?なんだか顔色が優れないみたいですけど』
『・・・実は』
アッシュは以前ミノタウロスが突然二階層にやって来て命を失いかけたこと、それがきっかけでミノタウロスに対してかなりの苦手意識があることをアレッサに明かした
『といった感じで九死に一生を得たというわけなんです。あの時は本当に死ぬかと思いました』
『アッシュさんを囮にして自分達だけ逃げようとするなんて酷いですねその人達・・・けど今回は私とクウちゃんがいますから!アッシュさんを見捨てて逃げるなんてことはしません』
『ありがとうございます。僕達がしっかりと連携すればきっと勝てますよね』
そう、あの時とは状況が違うんだ。今の自分にはちゃんと背中を預けられる仲間がいるし自分だって前よりも強くなれているはず
そう思うと少しだけミノタウロスに対しての恐怖心は薄れていった
アレッサの言葉に助けられアッシュはいよいよ七階層へと足を踏み入れた
七階層に到着するとすかさず周囲の索敵、入口近くに魔物の気配らしきものは感じられなかった
『流石に入ってすぐ現れるということはなかったですね』
『ですね、けどこの階層にいるのは確かなので慎重に進みましょう』
ミノタウロスもだが他の魔物も侮ることはできない
アッシュ達は警戒を続けながら七階層を進んでいった
情報では魔物の強さが他の階層より格段に上がってくるのはこの七階層から
連携も大切だがそれだけでは突破できない
ここからは個々の力量も試されることになる
地図を見ながら一先ず最短距離で八階層に行くことができる道を選んで進んでいくと、曲がり角からアッシュ達の前に魔物が現れた
『オークです!』
オーク、豚の頭部をしている人型の魔物
体格だけでいえばホブゴブリンと大差はないが、ホブと決定的に違うのはオークは武器を所持しているということ
武器といっても持っているのは太い木の棒で武器と呼んでいいかも微妙なレベル
それでも武器を手にするだけでリーチは増すし、オークの膂力で振り回すだけで十分脅威だ
オークの数は二体、既にこちらに向かって来ている
七階層での初戦、まずは相手の出方を窺い動きを把握してから反撃に出る
アレッサにはオークの間合いに入らぬよう後退してもらい相手が攻撃してくるのを待っていると、アッシュ達の目の前にいた一体のオークが突然壁の方に吹き飛んでいった
『なっ・・・!』
オークはもの凄い音を立てて壁に衝突するとそのまま動かなくなった
オーク以外の魔物が違う場所から出現したようだ
もう一体のオークがその魔物に対して威嚇をするが、先程のオーク同様あっけなく吹き飛ばされてしまった
一体目のオークの時は突然の事だったので何が起こったのか分からなかったが二体目ではしっかりと確認できた
オークを吹き飛ばしたのはアッシュが以前にも見たことがある棍棒の武器、つまり・・・
『ヴォオオオオオオオオ!!』
忘れもしない姿にこの雄叫び、アッシュ達の前に現れたのはあのミノタウロス
突然の登場にまだ心の準備が出来ていなかったアッシュは、ミノタウロスを見てあの時の事を思い出してしまい体が強張り動けなくなってしまった
そんなアッシュにアレッサが声をかける
『アッシュさん大丈夫です!私達なら勝てます!』
『アレッサさん・・・』
アレッサのその言葉を聞くと自然と体の硬直が解かれていった
一人じゃないとさっき言ってもらったばかりじゃないか
戦う準備だってできていたはずだ
心の方は・・・正直まだミノタウロスを恐れているがここで逃げていてはきっとこの先に進む資格なんてないだろう
アッシュは思い切り頬を叩き己を奮い立たせた
『アレッサさん!僕が先行してミノタウロスを引きつけるのでアレッサさんは適宜攻撃をお願いします。クウは僕と連動して常に相手を挟撃できる位置にいて!』
『はい!』
アレッサの力強い返事とクウの任せろというサインを皮切りにアッシュはミノタウロスに向かっていった
先程のオークの様にまず相手の出方を窺いところだったが、今の心情的に待つよりこちらから仕掛けた方が逆に腹を括ることができる
クウの方に目をやると指示した通りアッシュの動きに合わせてミノタウロスを挟撃できる位置を維持してくれている
その一瞬の隙を突かれミノタウロスが棍棒を使い横薙ぎの攻撃を繰り出してきた
『うわっ!?』
アッシュはギリギリのところで躱し一旦距離を取る
やはり他の魔物より知性があるのか相手の動きをよく見ているようだ
だがこちらに気を取られているのなら作戦通りだ
こちらには遠距離攻撃を得意とするアレッサがいるのだから
『ファイア・ボール!』
『ブモオオオオオ!!』
アレッサが放った意識外からの攻撃はミノタウロスの背中に命中
ミノタウロスは呻き声を上げると体が一瞬よろめいた
しかし流石に一撃で倒せる程相手は甘くはないか・・・けれど確実にダメージは与えられている
この調子でいけば倒すことができるはずだ
『アレッサさん、その調子でお願いします!』
『はい!』
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