十七話 「臨時パーティ解散」
ダンジョンから帰ってきたアッシュ達はその足でそのまま組合所へ行き魔石を換金
査定額は普段の額を優に超える額だったのでやはり引く手数多な役職だけあった
換金の方は滞りなく終わった。だがその後が大変だった
『では配分しましょうか。アレッサさんが7で僕が3で問題ないですか?』
『え?いえいえ、普通折半ではないんですか?寧ろ私の方が迷惑をかけてしまったんですから逆でも全然おかしくないですよ』
『でも魔物を倒した数はアレッサさんの方が多いですしここに来たばかりで色々と入り用になるじゃないですか。だからこの配分で・・・』
『でもそれじゃあアッシュさんが割に合わないじゃないですか。やっぱり均等に分けましょう!』
報酬の配分で揉めている光景は他のパーティでよく見かけたことはあったが、その大半は自分の報酬が少ないと不満があった時に起こるもので譲り合って揉めるという光景は傍から見たら新鮮なものだっただろう
結局配分の件は話し合いの末やはり7:3では貰いすぎだとアレッサが頑なに譲らなかったので6:4という形で折れてもらった
女性であるアレッサを自分のように納屋で泊まらせるわけにはいかないし、他にも女性の方が何かと必要な物が多いだろう
配分も終わりこれにてアレッサとのパーティは終了。明日からはまたクウのダンジョン攻略が待っている
最初は少し憂鬱な気持ちで引き受けたが、終わってみれば今回のダンジョン探索は満足のいく内容だった
『じゃあここで解散にしましょうか。今日は本当にありがとうございました!これからもお互い頑張りましょうね』
それだけ伝えてアッシュは去ろうとした
可能であればまたパーティを組んでみたい
アレッサに対してはそう思えることができた
だがアレッサはまだこの町に来たばり
これから色んな人達と組んでみたいだろうしその中できっと自分よりも立派な冒険者と巡り会うはず
今回はたまたま組む形となったがきっと次はないだろう
そんな事を考えつつアッシュがその場をあとにしようとしたその時、背後からアレッサが呼び止めてきた
『あのアッシュさん!この後って予定とかありますか?』
『予定ですか?この後は適当に夕飯食べて明日の準備してから寝る位なので・・・これといった予定はないですね』
『でしたら私も夕飯ご一緒していいですか?今日のお礼がしたいので』
『えっ!?そんないいですよ。魔石の報酬で十分受け取ってますから』
『いえ、迷惑をかけた分のお返しができていません。なのでお礼させて下さい!』
そう言うアレッサの顔からは一歩も引く様子が感じられなかった
あれは自分にも反省する点があったから本当に気にしなくていいと思っている
だがそれを言ったところで本人が納得しそうになかったのでアッシュはアレッサの言葉に素直に甘えて夕食をご馳走になることにした
アレッサはまだこの町の土地勘がない為アッシュが店を選ぶことに
自分だけであれば普段の安いセットメニューで終わらせてしまうが、それだと気を遣っていると思われてしまうだろうか
かといって高すぎるお店は論外だ
(どこか手頃で美味しいお店ってあったかな・・・あっ、この前見たあそこはどうだろ)
女性と食事に行ったことがないアッシュは頭を悩ませ、そこで一つ良さげな店があったのを思い出しアッシュはそこへ行ってみることにした
やって来たのは町はずれ。ここに落ち着いた雰囲気の店がある
以前通りかかった時に特別メニューを頼むことができるとの看板が置かれていたのが印象に残っていて覚えていた
『ここのお店は特別メニューを頼むと一緒にデザードもついてくるそうなんです。甘い物とか好きですか?』
『大好きです!』
甘いものと聞いた途端テンションが一気に上がるアレッサ
疲れて帰ってきた後は甘いものも欲しいかなと思いこの店を選択したがどうやら正解だったようだ
席に座り店員に特別メニューを注文
その際店員のこちらを見る顔がなんだかニヤニヤしていたのが気になったが、その理由は店員が料理を運んできた時に理解することとなった
『お待たせしました。こちらがカップル限定メニューになります』
『えっ?か、カップル限定?』
『はい、お客様がご注文したのはこちらのカップル限定特別メニューでお間違いないですよね?』
どうやらアッシュが話していた特別メニューというのはカップルのみが頼むことができる限定メニューだったらしい
それで店員もあんな顔をしていたのかと理解したアッシュはとても気まずい気持ちになった
『す、すみません。そういうメニューだったとは知らなくて・・・』
『い、いえ・・・あっ!冷めないうちに早く食べましょう!』
『そ、そうですね!』
気まずい雰囲気を無くす為に二人は食事に没頭した
正直変に意識してしまってあまり味は分からなかった
最後の最後まで締まらなかったが、アレッサの方は満足してくれていたようなのでそれで十分だ
食事を済ませ一息ついた二人は今度こそ解散、別れ際にアッシュは改めてお礼を言った
『今日は本当にありがとうございました。ご馳走までしてもらっちゃって』
『いえいえ、こちらこそありがとうございました。機会がありましたら是非またパーティ組みましょうね』
『はい、その時はよろしくお願いします』
そう言い残してアレッサは宿がある方へと消えていく
またパーティを組もう、それが建前であろうとそう言ってもらうことが初めてだったアッシュは気分良く帰路につくことができた
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