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空桜
よく晴れ渡る空。
それはまるで、海を思わせる青。
空を見上げながら、深い鈍色の溜め息を吐く。
すると、空から。
ひらり。
軽くて青色とは違う何かがひらひらと落ちてきた。
掌を空に向けると、それは掌に降りた。
桜色。
桜の花弁だ。
けど、この辺にはまだ桜は咲いていない。
再度空を見上げると。
ひらり。
ひらひらり。
桜の花弁が、空の高いところから降ってくる。
風に乗って大地を辿ってきているのではなく。
その花弁は確実に、空から降ってきている。
花弁が降ってくる先には、矢鱈真っ白な雲が佇む。
その周りの雲は煙のように薄く流れていっているのに。
その真っ白い雲は微動だにせず、そこに在る。
──もしかしたら、その雲の上で桜が咲いている?
そう思うとわくわくしてきた。
ひらり。
ひらひらり。
降ってくる桜の花弁を見上げながら。
さっきの鈍色の溜め息は、透明な溜め息になっていた。




