過去と繋がる
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「・・・どうして」
「・・・・・・」
僕の問いに、父さんは答えない。
「・・・俺は、銀行員をやっていた。」
無視、ではなさそうだ。
いったん冷静になろう。
もう少し、聞く。父さんの表情や゛事業゛,゛銀行員゛という言葉でハッとしたからだ。
「・・・紅羽ちゃんの親父さんの会社は…お世辞にも業績がいいとは言えなかった。・・・そして、当時銀行員俺は、親父さんの会社に飛ばされた。」
父さんとは、この手の会話はしたことがなかった。
仕事を変えていたことも。だから、以前どこに勤めていたのかも知らなかった。
だけど、動揺も驚愕も薄い。
今僕が知りたいのは゛何故゛なのかの、理由だけ。
「経営状態を、向上させるためだ…。」
心臓のドキドキが止まらない。
体から出る音がうるさくてしょうがない。
「初めのうち俺は、無駄が多いだとか、サービスをもっと削ろうだとか銀行員らしいことをしていたんだが……親父さんは、頑固でな…全く聞く耳も持ってくれなかったんだよ。…」
頑固…あの力強い字なら想像できなくもない。
「・・・ただ、俺も会社の一員として働いて気付かされた。」
過去を語る父さんは、どこか懐かしそうに薄っすら嬉しそうにな表情をしている。
「親父さんの会社は、古くからある会社だ。そして、…俺の勤めていた銀行ともそこそこ縁があったことから、贔屓にされていたんだと思う。…経営は、ギリギリで、本当にきつい仕事だった。…ただ、俺の銀行も諦めてはいなかったから、最後まで努力はしたんだけど……だけど、俺は親父さんの意見を尊重した。」
落ち込んでいた父さんの目が、キリッとなる。
「本当は、未来のある会社だったのだけど……最後までサービスの過剰で倒れてしまった。……俺が止める役目だったんだけどな…。古賀さんの誇りは眩しかった。……」
目に涙をため込んでいるのがわかる。
だが、ここにいる全員が感情移入しているのは、それぞれの顔を見れば明らかだった。
「・・・それから、会社はどんどん落ち込んで、……個人の借金まで抱えるようになった。」
話しが繋がった。
あの日、帰る家が無くなった古賀さん。
差し押さえられた家とともに家族は、消えてしまった。
僕と出会ったのは何の巡り合わせか、偶然にも歩いていた僕は古賀さんを家に招いた。
これが、後日談。
「結果は…紅羽ちゃんが体感している通り…さ。家族には内緒で家…財産の差し押さえを了承し、その後の事も聞かされた…。」
゛その後の事゛とは、つまるところ、夜逃げの事だろう。
「・・・紅羽ちゃんの事も聞かされたよ。…ただ、何も要求はされていないけれど…。」
古賀さんのお父さんが、僕のお父さんに全面的に信頼しているのが解る。
父さんは間接的に、古賀さんを託されたようなものだ。
でも、あれは本当に偶然。
僕は、適当に歩いていただけだ。
「真也…お前が紅羽ちゃんを連れてきたのは、偶然だよ。」
父さんは、僕の感情を読み取ったのか、優しく教えてくれる。
「古賀さんは…タイミングを教えてくれなかったからな。」
「・・・・・・あの、…聞いてもいいですか?」
古賀さんは、今までずっと閉ざしていた口を開く。
「もちろん」
「・・・では、お父さんたちの所在は…?」
やはり、だが、気になってしまうのは仕方のないことだろう。
でも、古賀さんは、それを知ってどうするのだろう。
ただ、一つ言えるのは、できれば、僕の近くから居なくならないで欲しい。
身勝手な願いだった。
どうでしょうか?
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