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第六十話 オーク市場

 〈黒犬〉は伯都に帰還すると、真っ直ぐに辺境伯の下へ向かった。

 そして、〈魔王〉との接触に成功したこと、その〈魔王〉から令嬢捜索の約束を取り付けたことを簡潔に報告する。

 この日もたまたま居合わせた――実のところ見舞いと称して辺境伯の下に入り浸っていた――常備連隊長が、その様子を黙って見つめていた。


 辺境伯は〈黒犬〉のもう何日も水浴びすらしていない汚れた手を取って、涙を流しながら感謝の言葉を述べた。

 心の底から喜んでいる様子だった。

 どうしてこうも手放しで信じてしまえるのかと〈黒犬〉は訝しんだ。

 無論、報告内容に嘘は何一つとしてないし、今後もつくつもりはない。

 これまでの働きが信用に一役買っているのもわかる。

 だが、それにしてもだ。

 〈黒犬〉の証言以外は何一つとして証拠の無い話だ。

 それを疑いもしないのは、広大な辺境伯領を預かる統治者としていかがなものか。


 そこまで考えてふと気づく。

 自分の手を握る、辺境伯の節くれだった指は今にも折れそうなほど細くなっていた。

 肩はかすかに震え、いつもピシッと伸ばしていた背中もすっかり曲がってしまっている。


 そのあまりの急速な老いっぷりに、〈黒犬〉はうろたえた。

 救いを求めて常備連隊長に視線を移す。

 だが、常備連隊長も静かに頭を振って応えるばかりだ。


 〈黒犬〉は悟った。

 何があろうと、あの偉大な北方辺境伯はもう戻ってこないのだと。

 この老オークの時代は、もう終わってしまったのだと。



 辺境伯の部屋を出てすぐに、〈黒犬〉は大きく息を吐いた。


 辺境伯はもう死ぬ。

 娘が戻ってこようが、こなかろうが結果は同じだ。

 失意のうちに死ぬか、あるいは慰めを得て死ぬか。

 それだけが違う。


 〈黒犬〉はあの元侍女のことを思った。

 別れ際、彼は彼女に声をかけていた。


『辺境伯は、貴女の身も案じておられた。

 いましばらく待たれよ。

 この件が片付いたなら、必ずや貴女のこともお助けくださるだろう』


 それに対し、彼女は〈魔王〉を振り返りながら悲しげに答えたものだった。


『どれほどのお金を積まれようとも、あのお方は私を手放さないでしょう』


 あのお方、とは〈魔王〉のことで間違いあるまい。

 それに、と彼女は続けた。


『あのお方が学び始めたばかりのころ、「平和」や「和睦」といった言葉を盛んに知りたがっておいででした。

 それが意味するところに賭けてみたいと考えております。

 それこそが、お嬢様をお守りすることができなかった、不甲斐ない私に与えられた命の意味ではないかと思いますの』


 答えに窮している間に、彼女は〈魔王〉の下へと戻っていった。


 平和を望んでいるかもしれないだと!

 あの、戦を誰よりも楽しんでいるとしか見えない怪物が?


 〈黒犬〉には正気とは思えなかったが、同時にその背に強い敬意を覚えたのもまた確かだった。



 駐屯地へ戻る途中に、〈赤鷲〉の副長とすれ違った。

 同じく戦塵にまみれた姿だ。

 戦死した隊長に代わって、これから〈ドラ息子〉か、あるいは常備連隊長の下へ報告に向かうところらしかった。

 言葉を交わすでもなく、ただ互いに一礼して別れた。


 〈黒犬〉は、〈赤鷲〉隊との一件について何も報告していない。

 恐らくあいつも、少なくとも公の場では、何も話さないだろう。


 〈赤鷲〉に対して含むところはない。

 どちらも雇い主に忠実に従い、その結果衝突した。

 それだけのことだ。

 殺したのも殺されたのもお互い様だ。

 傭兵とはそういうものだった。


 問題は、黒幕に対してだ。

 見当はついているが、確たる証拠はない。

 なにより、今のあの辺境伯に息子を処罰する気力が残っているとは思えなかった。


 *


 〈ドラ息子〉は、〈赤鷲〉の副長の報告を聞いて青ざめた。

 〈黒犬〉の暗殺に失敗したことにではない。

 既に、〈黒犬〉が戻ったことも、奴が辺境伯に報告した内容のあらましも聞かされている。

 どういうわけか、奴は〈赤鷲〉に襲われた件について一言も話していないらしかった。

 仮に〈黒犬〉が訴え出たところで、なんとでも言い逃れられる。

 脱走兵や野盗と誤認したとでも言えばいいのだ。

 だから、それはいい。


 問題はその原因だ。

 〈赤鷲〉の副長によれば、〈黒犬〉をあと一歩まで追い詰めたところで、あろうことか人間どもが救援に現れたという。

 それだけではない。

 その際に白い竜を駆り、恐るべき戦闘力を持った人間が〈黒犬〉との間に立ち塞がったというではないか。


 これにより、〈黒犬〉の報告――〈魔王〉及びその通訳を務める元侍女の存在――の信憑性が格段に高まった。

 奴が人間どもの有力者と接触を持ったというのは恐らく事実だろう。

 そして、その〈黒犬〉めは人間が姉の捜索を約束したと辺境伯に伝えていた。

 もはや笑い飛ばすことはできない。


 なぜ父が今頃になって、一度は諦めたはずの姉に執着するのか。

 〈ドラ息子〉には、答えは一つしか思い浮かばなかった。

 とうとう父は自分を見限ったのだ。

 どうにかして姉を探し出し、自分の代わりに跡を継がせるつもりなのだ。


 法に定められた継承順位によるならば、姉がいようがいまいがその第一位は自分であった。

 だが、そのようなものは何とでもなる。

 上位者が消えればいいだけだ。


 姉が見つかってからでは遅い。

 早急に身の安全を図る必要がある。


『おい、護衛隊の件はどうなった』


 〈ドラ息子〉が声をかけると、すぐに〈腰巾着〉が答えた。


『順調でございます。閣下』


 護衛隊とは、近頃になって〈ドラ息子〉の主導で立ち上げた部隊である。

 辺境伯の護衛がその任務とされているが、実態は〈ドラ息子〉の私兵的性格が強い。

 彼の父によって辺境伯軍から追い出された帝国系の軍事貴族がその中核をなしている。


『常備連隊は信用ならん。

 どうだ、護衛隊は奴らに対抗できそうか』


『下賤な連中に率いられた今の常備連隊なぞ、敵ではありません。

 なにしろ、護衛隊は本物の貴族、つまり真の将校たちが率いておりますので。

 ただ……やはり数が違います。

 もし常備連隊が全力で襲い掛かってきた場合、閣下を守り切ることは難しいでしょう』


『そんなことは言われなくてもわかっている!』


 〈腰巾着〉を理不尽に怒鳴りつけながら、〈ドラ息子〉は肥えた指で神経質に机を叩いた。

 そんな様子を見かねてか、〈腰巾着〉は主の耳元にそっと囁いた。


『閣下、一つ提案がございます』


『なんだ』


『皇帝陛下に、本国軍の派遣を願ってみてはいかがでしょうか』


 机を叩く指が早くなった。


『名目は何とする』


『流民の流入により治安が悪化し、内乱の兆しがあるため援助を乞う、ということで』


『馬鹿な! そんなもの、自分では満足に統治もできぬ無能だと大声で叫ぶようなものではないか!』


『はい、閣下。そのような一面も確かにあります。

 しかし、如何に常備連隊長らと言えど、皇帝陛下の軍勢の面前で事を起こしはしないでしょう。

 それは帝国相手に戦を仕掛けるも同然ですから』


 〈腰巾着〉はさらに続ける。


『また、ご存知の通り、現辺境伯閣下の本国での評判は決して良くありません。

 強い独立志向を持った辺境伯として、警戒すらされています。

 陛下のご威光に縋り、本国軍を当地に招けば

 私どもが方針を転換しつつあるという姿勢を見せることができます』


 〈ドラ息子〉のせわしなく動いていた指が少し遅くなる。


『こちらが願ったところで、陛下は軍を派遣してくれるか?』


『おそらく。

 本国としても、我々への影響力を増したいと考えているはずです。

 なにより領邦からの救援を、斯様な形で乞われたにもかかわらず完全に無視したとあれば

 盟主たる皇帝の権威は損なわれます。

 ですから、少なくとも形ばかりは部隊が派遣されてくるでしょう。

 それこそが我々の望むところなのです』


 指の動きが止まった。

 〈ドラ息子〉はしばし考えた後、『よし、やれ』とだけ命じた。

 それから、命を受けいそいそと部屋を出ようとしていた〈腰巾着〉呼び止めて問うた。


『そういえば酒はどうなった。

 父上のお気に入りの奴だ。手に入ったか?』


 〈腰巾着〉はいかにも小物じみた動きで振り返り、せわしなく瞬きをしながら答えた。


『八方手を尽くしてはおりますが……産地が先の内乱で大きな被害を受けておりまして

 無論既に復興してはおりますが、古酒となるともうほとんど残っていないようです。

 好事家どももその辺りはよくわかっているようで、中々手放そうとはしません。

 そういうわけですから、今しばらくお待ち頂きたく……』


 そこで言葉を切り、僅かに逡巡した後問い返す。


『しかし……本当によろしいのですか?』


 珍しく問い返した〈腰巾着〉に、ドラ息子は不機嫌に答えた。


『構わん、どれだけかかっても手に入れるのだ』


 万が一にも姉が戻ってくる可能性がある以上、早めに決着をつけておかねばならない。

 父自らの、廃嫡の宣言こそが〈ドラ息子〉の最も恐れるところだった。


『とにかく最上の酒を用意しろ。

 なんとしてでも父上に楽しんでいただかねばならん』



 *



―― 〈竜の顎門〉の北にて


 〈竜の顎門〉から北に向かい、谷を抜けた平野にちょっとした街がある。

 街の中心に大きな広場――市場も兼ねている――を持つ商業都市のはずだが、今日は閑散としていた。

 それもそのはず、今この街には商品が全くないからだ。

 何故商品がないかといえば、この街の主力商品というのがオークからの略奪品だからだ。


 オーク領内で略奪を済ませた領主達は、〈竜の顎門〉をくぐると真っ直ぐこの街にやってくる。

 そうしてあちらで捕らえたオークや家畜、略奪品などを売却し、身軽になって国許へ帰るという寸法だ。


 そういうわけだから、この街が最も賑わうのは略奪シーズンが終わる冬の初めごろということになる。

 メグに言わせれば、例年であればこの時期でももう少し賑やかであるらしい。

 何しろこの街には国内最大のオーク市場がある。

 オークはそれほど頑丈じゃない。雑に扱えばすぐ死ぬ。

 だからオークにはいつでも需要があるのだ。


 ところが、去年は大会戦に敗北したばかりか谷の封鎖まで食らって、略奪もとい討伐隊がほとんど全滅してしまった。

 おかげで商品の補充がないまま一昨年の在庫も瞬く間に底がつき、今や街はご覧のありさまというわけだ。


 そんな状況であったから、オーク領から戻ったメグの軍勢は大いに歓迎された。

 街につくなり大勢の商人に取り囲まれ、市場につくまでの間も惜しいとばかりに数々の魅力的な商談を持ちかけられたのだ。

 まるで軍勢そのものが競売にかかったような勢いだった。


 だが、悲しいかな。

 今回の遠征は、経済活動としてみれば大敗北もいいところだった。

 なにしろそもそもの目的が違う。

 所詮はロマンにあふれた遠足にすぎない。

 実際、息つく間もなくすぐに終わった。


 揃って肩を落として去っていく商人たちを見送った後、俺はメグに案内されて街の中心へと向かった。

 目的地はオーク市場だ。

 〈黒犬〉のいう貴族の令嬢とやらの情報を集めるためだ。


 その道すがら、花子とジョージが十分離れていることを確認してから俺はメグに訊ねた。


「どうしてこの依頼を受けるべきだと思ったんだ?」


 メグは俺の質問に答えずに、問い返してきた。


「〈黒犬〉のいう『さる貴族』って、何者だと思いますか?」


 そんなこと俺が知っているわけがない。

 花子に聞いてみたが、石板には『とてもお偉いお方です』との答えが返ってきただけだった。

 俺が肩をすくめて見せると、メグは続けた。


「考えてもみてください。

 〈黒犬〉は、間違いなくオーク随一の将軍です。

 それをあんな風に使いっ走りにできるんですから、よほどの大物でしょう。

 恐らく、勇者様の言う『オークの大地方領主』その人ではないかと私は睨んでいます」


「だったら、〈黒犬〉は何でそう言わなかったんだ?

 大物の娘といわれた方が、俺だってずっとやる気が出ただろうに」


「そこはあれですよ。

 ただの貴族の小娘と、一地方をまとめる大貴族の娘とじゃ価値が全然違いますからね。

 後者であれば、それだけ大きな借りを作ることになります。

 だから、意図的に伏せたんでしょう」


 なるほど、いかにもありそうな話だ。


「それで、奴らに大きな貸しを作って何かするつもりなんだな?」


「いいえ、違います」


「じゃあ、どうするつもりなんだ」


 メグがふんわりとした笑みを浮かべた。

 可愛らしい笑顔だが、騙されてはいけない。

 これは何か悪いことを考えている時の顔だ。


「どうして〈黒犬〉は追われていたんでしょうね?」


「知らん。何かの内輪もめだろう」


「分かりませんか?

 彼は、オーク軍随一の将軍ですよ?

 それを暗殺して、成功したとしてもただで済むと思いますか?」


「つまり、狙った方も大物というわけだな」


「はい。

 その上、彼は大物貴族の娘を助けるための任務中に襲われています。

 これが意味するところは一つです」


「後継者争いか」


「はい。おそらく、私たちが探しているオークは、大地方領主の継承権を持っているのでしょう。

 彼女を送り返せれば、オーク達の間に不和の種をまくことができる可能性があります。

 うまくいけば、内戦を引き起こすことすらできるかもしれません」


 そう言って彼女はニコニコと笑う。


「そのうちの片方と手を組むことができれば最高です。

 求めていたオークの同盟者と防波堤とを一度に入手できるわけですからね」


「そううまくいくのか?」


「まあ、うまくいかなくても損はしません。

 精々調査の手間とオーク一匹分の銀貨を失うだけです。

 銀はともかく、勇者様はどうせお暇でしょう?」


 酷い言われようだが、否定できないのが悲しかった。


「さあ、ここです。勇者様」


 メグに案内された先は、広場をぐるりと囲む建物の内でもひときわ立派な店だった。

 国王陛下の勅許状を持つ身元の確かなオーク仲買人の店なのだという。

 王家の御用商人でもあり、リアナ姫はいつもこの店で遠征中に捕らえたオークを売り払っていたらしい。


 俺たちが到着するとすぐに、店の主が駆け出てきた。

 でっぷりとした体つきの、どことなくオークに似た顔の男だった。


「これはこれはメグリエール様!

 よくおいでくださいました。

 わざわざご足労頂かなくとも、お呼びつけいただければこちらから参りましたのに!

 この度は、初陣を飾られたとのこと。誠におめでとうございます。

 大変な大勝利をおさめられたらしいと、街中で噂になっておりますぞ!」


 鼻息も荒くまくしたてる様もやはりオークに似ている。

 商人というのは、だんだんと売り物に似てくるものなのだろうか?

 しかし、魚屋が魚に似てきたという話は聞いたことがない。

 単なる偶然だろう。


「大したことではないんですよ。

 勇者様のお力添えがあればこそです」


 そう言ってメグは半歩下がって俺を前面に出した。

 店主は俺に一礼した後、メグに視線を戻して言う。


「では、こちらがかの有名な異界から遣わされし勇者様なのですか!

 メグリエール様、どうか私めを、彼の貴きお方にご紹介いただけないでしょうか」


「いいでしょう、ペジン。

 勇者様、こちらはオーク仲買人のペジン。

 その誠実さを認められ王家から勅許状を賜った、信頼のおける数少ない真の商人の一人です。

 もしオークを取引する必要があるならば、ぜひこの者にお申し付けください」


「うむ。ペジンといったか。頼りにさせてもらおう」


 メグの紹介を受けて、できうる限り尊大かつ丁寧な調子で声をかける。

 好きでこうしているわけじゃない。メグにこうしろと言われているのだ。

 この男は形式の類を重んじるため、気さくに声をかければかえって機嫌を損なうことになるらしい。

 もちろん横暴に振舞えばいいという話でもないから実に面倒くさい。


 ともかく、これでようやく俺も会話に加わることができる。

 さっさと用件に入るとしよう。


「ペジン、さっそくだが頼みたいことがある」


「はい、勇者様。光栄なことでございます。

 なんなりとお申し付けください」


 そう言いながら、ペジンが花子に熱い視線を向ける。

 期待させて申し訳ないがそいつは売り物じゃないんだ。


「故あって、とあるオークを探している。

 お前は最も優れたオーク商であり、また誰よりも誠実な男と聞き及んでいる。

 どうかその見識をもって、私の手助けをして欲しい」


「なるほど。左様でございましたか。

 他ならぬ勇者様に頼られるとは実に名誉なことでございます。

 どのようなオークをお探しなのでしょうか?」


 商売の話ではないと知ってもペジンは顔色一つ変えなかった。


「ちょうど四年前のことだ。

 姫殿下が神殿騎士団と共にオーク討伐に出た帰り、ここで戦利品を払い下げただろう。

 その際、お前に下げ払われたオークに、牙が逆さに反ったメスのオークがいたはずだ。

 その行方を捜している」


「なるほど、なるほど。

 時期と売り主様がわかっているのであれば、ある程度のご協力は可能です。

 帳簿を確認し、売却先をお伝えすることができます。

 しかしながら、私どもが記録しておりますのは性別と大まかな健康状態だけでございますので、そのものずばりとは参りません。

 それでもよろしいでしょうか?」


 上出来だ。手掛かりがもらえるだけでもありがたい。

 そう伝えると、俺たちは応接間に通され、そこで待つように言われた。

 そこには既に、菓子とよく冷えた発酵しかけのリンゴ酒が用意されていた。


 ペジンはすぐに戻ってきた。


「四年前の春でございましたね?

 帳簿によれば、リアナ姫より払い下げていただいたメスのオークは

 合わせて十五匹だったとのことです。

 こちらが、売却先のリストになります」


 そういって、ペジンは一片の羊皮紙を差し出してきた。


「そのうち十匹はまとめて同じ場所に売却されております。

 リストの一番上に記載しておりますので――ええ、それです。

 まずはそこから訪ねてみるのがよろしいでしょう。

 帳簿を見て、すぐに思い出しましたとも。

 何しろメスのオークを進んで買い取ろうなんてもの好きはあまりおりませんので。

 オスに比べて力も弱く、すぐ死ぬのですよ。

 そいつは牧場を作るのだなどと申しておりました。

 当時は何と非効率なことをと笑ったものでしたが……、今になってみれば先見の明があったんでしょうなぁ」


 牧場、ねえ。

 実にのどかで……不吉な響きのする言葉じゃないか。


書き溜めのためしばらく休みます。

再開時期は未定ですが、半年ぐらいで復帰できればいいなぁと考えています。


6/1 追記

 6/17より投稿再開予定です。

 書き溜め分が尽きるまで、これまで同様週一ペースの予定です

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