第十一話 領地の視察・下
粉挽小屋から次の目的地へ向かう道すがらふと南に目をやると、丘の向こうで真っ黒な煙が上がっているのが見えた。
どことなく不穏な気配を感じた俺はトーソンに尋ねてみた。
「あの煙は何ですか?」
トーソンは少しの間だけ煙を見つめてから答えた。
「……あの方角はウォーガン卿の領地です。恐らく、跡取りをめぐる小競り合いで、村が焼かれているのでしょう」
「ウォーガン?」
「あの丘の向こう側一帯の盟主――つまり小領主たちを束ねる大領主です。
残念ながら先の大戦で戦死なされました。
なお悪いことに、そのあとすぐにご嫡男も病没されてしまい、後に遺ったのは腹違いの男子が三人という次第です」
あぁ、それは絶対に面倒になるやつだ。
「お気にかかるのでしたら、詳しく調べさせましょうか?」
トーソンは俺が隣の領地の継承権争いに興味を持ったと思ったらしい。
「いえ、〈カダーンの丘〉に戦火が及ばないならかまいません」
単に面倒だから放っておくんじゃないぞ。これは国王陛下の意志でもあるのだ。
「かしこまりました。彼らも王領たるこの地に手出しはしないでしょうが、一応注意は払っておきます」
「よろしく頼みます」
「……しかし、野盗は増えるでしょうな。領主どもよりもこちらが厄介かもしれません」
そう言ってトーソンはため息をついた。
次の目的地である、一つ目の村にはすぐについた。
考えてみれば当然の話で、わざわざ粉挽き小屋を村から離れたところに立てるはずもない。
例の粉挽き小屋は二つの村の中間地点にあるらしい。
村はただ〈西の村〉と呼ばれている。
理由は単純。この領地の二つの村の内、西側にあるからだ。
もう一つの村は当然〈東の村〉である。
村に入ると、ボロボロのローブを着た老人ばかりがずらりと並んで俺たちを待ち構えていた。
そして俺の姿を見るや否や、全員そろってその場にひれ伏した。
これがこの世界の作法なのかと隣のトーソンを見たが、彼も困惑しているようだった。
どうやらこれが当たり前というわけではないらしい。
どう反応すればいいのかわからず様子を見ていたが、老人たちはひれ伏したまま一向に動かない。
トーソンは小さくため息をついて前に出ると、老人たちに声をかけた。
「お前たち、一体何をしているのだ」
すると、一人の老人が顔を伏せたまま答えた。
「おぉ!お代官様。お連れの高貴な御方は新しい御領主様とお見受けいたします」
「いかにも、このお方は新たにカダーンの丘の守護者に任じられた、
国王陛下に代わって王軍を統べられる元帥にして異界より遣わされたる勇者様だ。
勇者様、この者は、西の村のまとめ役をしているワリンというものです。
ご承知おきください」
「かくも尊き御方にご訪問いただき、我ら村民一同、まことに光栄至極にございます。
されど我らは勇者様に合わすお顔がございませぬゆえ、こうして伏してお迎えするほかはないのでございます」
「だから何があったのだ」
「昨日、代官様の使者が参られた折、新たな領主となられた勇者様に、祝いの品を用意すべしと仰せでした」
「いかにも、そのように伝えた。だが、慣例通り酒一樽と豚を一頭だせばよいではないか」
「しかしながら、今年は不作でしたため、地代の減免を願い出ようと話していたところでして。
聞けば、勇者様はたった一人でオークの一軍を皆殺しにしてのけた恐るべき武勇の持ち主とのこと。
その勇者様に、お祝いと忠誠を述べたその舌の根も乾かぬうちに地代の減免を願い出ねばならぬと思うと恐ろしゅうて恐ろしゅうて……村の衆と話し合い、こうして老人衆ばかりでお願い申し上げることにいたしたのです。
どうか、この老骨の首に免じて村の衆の命ばかりはお助けいただきたく……」
村の長を名乗った老人は一気にまくしたてると、ひれ伏した姿勢のまま器用に首を前にグイッと出して再び黙り込んだ。
というか、また話が大きくなってるな。
「勇者様、いかがいたしましょう?」
トーソンが俺に伺いを立ててきた。俺が聞きたいよ。
「トーソンさん、実際の所、収穫はどうなんですか?」
「……例年に比べて大きく落ち込んでいるのは確かです。
冬を越せないことはないでしょうが、大分ひもじい思いをせねばなりません。
特に幼い子供や老人には……確かにかなり厳しい冬になるでしょうな。
何人かの死者が出るのは確実でしょう。
最悪、農民どもが逃亡を試みることも考えられます。
いずれにせよ、それらは翌年以降の労働力の低下を意味します。
減免の願い出自体は妥当かと」
「それなら――」
「ただし、食料価格が高騰しているということは、作物の換金価値も高いということです。
例年通り取り立てて換金すれば、普段より税収が多くなります。
ご参考のため、お伝えしておきます」
トーソンは表情を変えずにそう付け加えたが、その目は何かを窺うようにじっとこちらを見据えている。
あちらもあちらで、新しい自分の上司がどういう人間か見極めようとしている、といったところか。
「今のところ支出に対して、収入は十分ですよね?」
「はい、閣下。大分厳しくはありますが、今のところは」
「じゃあ、減免を認めて構いません。詳細は任せます」
「閣下の寛大さを知って、領民共も大いに安堵し、感謝することでしょう」
トーソンはそういって頭を下げると、老人たちの方へ向き直り改めて告げた。
「勇者様は、寛大にも地代の減免を認めてくださると仰せである!」
即座に歓声が上がった。
「ではワリン、勇者様はご自分の領地を見て回りたいと仰せなのだ。村を御案内差し上げろ」
「もちろんでございます!では勇者様、こちらへどうぞ」
「あまり時間をかけるなよ。勇者様はこの後東の村と丘の聖堂も回らなくてはならないのだ」
「畏まりました。そのように致します。さほど広い村でもありませんからな」
トーソンと村長のやり取りを聞きながらふと思い付いた。
「あ、そうだ。東の村もそう遠くはないんですよね?」
「ええ、その通りです」
「だったら、ここを見回ってる間に、東の村に使いを出しておいてもらえませんか」
「何を伝えればよろしいので?」
「向こうも地代の減免が必要ですよね?」
トーソンは俺の言いたいことにすぐに気が付いたようだった。
「あぁ、確かに。またこのような出迎えを受けるのは面倒ですね……。
事前に伝えさせておきましょう。おい、リック!」
トーソンが呼ぶと、後ろに控えていた従者が彼の前に片膝をついた。
「はい!」
「東の村への伝言を頼みたい。ひとっ走りしとくれ」
「お任せあれ!」
言うが早いか、リックはものすごい勢いで走り出した。
「おい! 待て! リック! 戻ってこい!」
それをトーソンが慌てて止める。
「まだ用件を伝えておらん! まったくお前はせっかちでいかん」
戻ってきた従者にトーソンが用件を伝えた。
聞き終わると同時に、ぶつぶつと何かを呟きながら従者は走り去っていった。
どうやら、伝言の内容を忘れないようにつぶやき続けているらしい。
落語みたいなやつだ。
途中でドッコイショとか言わないだろうな?
従者を見送ったトーソンが老人たちに向けていった。
「あ~、それからワリン。いい加減その巡礼服を脱ぐように」
「そうですな」
ワリン達はいそいそと、先ほどまで着ていたボロボロのローブを脱ぎ始めた。
ローブの下に来ていたのは、どれも着古してはいたが清潔感のあるごく真っ当な服だった。
聞けば、あのぼろいローブは領主に請願するときの正式な服装だったらしい。
その後訪れた東の村では、案の定あのせっかちな従者がやらかしていた。
たった一人でオーク軍を滅ぼしたという鬼神のような人物から、「よっこらせ」という謎の伝言を受け取った東の村長は恐れおののき、村人総出で例の巡礼服を着て俺を待っていた。
誤解はすぐに解けたが、せっかく使いを出した意味はまったくなくなっていた。
*
〈丘の聖堂〉は〈カダーンの丘〉の麓に建てられた小さな神殿だった。
「大神官長が神の聖名において、国王陛下の御頭に聖なる宝冠をお授けになった際、その傍らに控えて聖冠を捧げ持っていたのが、この私なのです」
聖堂の堂主を名乗ったネズミ顔の小柄な神官が、自慢げな笑み浮かべて背後の壁画を指した。
そこには、白いローブ姿の老人が小さな子供の頭に王冠を乗せようとしている様子が描かれている。
絵の中の子供は俺が知っている少年王の特徴をよく捉えていたが、ずっと幼い印象を受けた。
堂主によれば、常駐する神官もわずか三人と規模こそ小さいものの、戴冠の儀を司るこの聖堂の格式は決して低いものではないらしい。
「なにしろ、これまで大神官長をお勤めになられた方々は、その全てが一度はこの〈丘の聖堂〉の堂主を務めているのですよ。
ねぇ、勇者様。この意味はお判りでしょう?」
そういって、堂主は上目遣いで眼をしばばたかせながら、媚びるような視線を向けてくる。
権威を笠に着て威嚇しつつ、同時に媚びも売るとは器用な奴だ。
正直いって苦手なタイプだ。
「この聖堂は王に権威を授けるだけではありませんぞ。
真に信仰深き者がこの礼拝堂で祈りを捧げれば、たちまち神の恩寵が下されるのです。
盲目の老人が祈ればその目が開き、生まれつき足萎えの童子が祈ればたちどころに捩じれた足がまっすぐになるのですよ!」
堂主は本当によく働く口の持ち主だった。
先ほどから休むことなく滑らかに動き続けている。
際限なく続く自慢話に飽き飽きしたのか、俺の背後に控えていたトーソンが口をはさんだ。
「では、私が祈ればこの頭も若さを取り戻しますかな?」
このちゃちゃに、堂主はむっとした顔で答えた。
「無論、誰であれ神は奇跡を下されます。代官殿に真の信仰があれば、ですがな」
どうやら、この二人は元々お互いをあまりよく思っていないらしい。
「不信心者がどういおうと、この聖堂に神の恩寵が宿っていることは疑いありません。
さもなければどうして日々多くの者が救いを求めてこの聖堂を訪れましょうか。
礼拝所の前には、毎日のように巡礼者たちが長蛇の列をなしているのですよ!」
俺に向かってそう訴えかける堂主に、トーソンがニヤリと笑って追い打ちをかける。
「それほどまでに繁盛しているなら、今年の献納は期待できそうですな。礼拝料は安くはないと聞いておりますぞ」
この世界では、この手の聖堂がその保護者――たいていはその土地の領主――に収入の一部を収めることになっている。
「ム……それは……あ~、近頃は周辺で、小競り合いが多く起きている関係で巡礼者が減っておりましてな……いや、そもそも、私どもは神の下僕にすぎぬ身でありますから、困難を抱えた貧しき人々から礼拝料をとるなどということは……」
「それは残念なことですな」
トーソンはそれ以上何も言わなかった。
しどろもどろで答える堂主をみて、ひとまず留飲を下げたらしい。
「周りはそれほどまでに荒れていますか」
堂主はトーソンをにらみ続けていたが、俺が話題を変えるとほっとした様子で乗ってきた。
「えぇえぇ、それはもう。
先の大戦では多くの領主が命を落としました。
彼方此方で跡目をめぐる争いが起きています。
このあたりでも、北隣のモールスハルツと南隣のケレルガースで一帯を束ねていた盟主が帰らぬ人となりまして。
モールスハルツの方では、盟主の弟が亡き兄君の遺児を立ててうまく領地をまとめたようです。
南はいけませんな。
ウォーガン様が――あぁ、亡くなられたケレルガースの盟主様です――戦場にお斃れになり、病弱であった嫡男までも立て続けにお亡くなりになったのです。
後には三人の息子が遺りました。
困ったことにこの三人ともが違う腹から生まれておりましてな。
父の後を追うようにご病死なされたご嫡男にお子がなかったのをよいことに、それぞれの実家が己が血縁を大領主に据えようと争っておるのです。
まったくなんという悲劇でしょうか!
血を分けた兄弟たちが奸臣どもに引き裂かれ、互いにその血を流さんとしているのです!」
ここで堂主はチラリとこちらの顔色をうかがってからさらに続けた。
「ケレルガースの小領主どもは三つに分かれて互いの領地を焼きあい、多くの領民たちが焼け出されました。
哀れな彼らは寒さをしのぐ家も、食べ物の貯えも、来年の種籾までも失ったのです。
多くの者が冬を越せずに命を落とすでしょう。
真に恐ろしいことです。悲しいことです。
まるでこの世の地獄でございます。
領地を焼かれた領主は、敵から奪うことでその損失を埋めようとするでしょう。
このままではますます多くの村が焼かれ、無辜の民が路頭に迷い、その一部は野盗と化してさらに多くの悲劇を生むことになります。
貴方様は、ご領地で飢えに苦しむ人々を救うため、税を軽減なされたと聞きました。
なんという気高い行いでしょうか!かような慈愛に満ちたお方がこうしてこの地に参られたのは、力なき民を哀れに思われた神のお導きに相違ありません!
どうかその力をケレルガースの民のためにもふるっていただけないでしょうか?」
堂主はここまで一気にしゃべりきると、例の媚びたような目つきでこちらに熱い視線を送ってきた。
言ってることは立派だがどうにも胡散臭い。
というかこいつ、なんでもう村での出来事を知ってるんだ? 早すぎるだろう。
ネズミみたいに貧相な顔付きだが、意外と油断のならない人物らしい。
将来の大神官長候補というのも、案外本当かもしれない。認識を改めなければ。
それはともかく、こういうやつにホイホイのせられると必ず面倒な目に合うのだ。
「堂主様。残念ながら、私はこの世界に招かれてから日が浅く、彼らの事情をよく知らないのです。
何も知らずに手を出せば、状況をより悪化させることにもなりましょう」
俺がそういって断ると、堂主は手もみをしながら顔を寄せてきた。
「それであれば、私がお教えいたしましょう。
どなたに力を貸すかはむろん勇者様がお決めになることですが、きっとご判断の助けになることができるはずです。
まず上の息子ですが、これは卑しい血筋の生まれで、大変粗暴な男として知られております。
此度においても、松明を片手に兵の先頭に立ち、自ら進んで村々に火をかけて回っているそうです。
その上、焼け出された農婦を捕まえては慰み者にしているとも聞きます。
戦には強いが知性は乏しく、神への信仰心を欠片も持ちません。
軍資金が不足すれば聖堂すら略奪の対象とする有様です。
これは噂にすぎませぬが、長男に毒を盛ったのはこの男と囁く者もおります。
まったく不道徳な人物であると言わざるを得ません。
次に下の息子ですが、まず第一に幼い。
わずか六歳で、どうして戦士たちを束ね、神の敵に立ち向かうべき盟主が務まりましょうか。
当人も、本心では兄たちと争いたくはないようですが、周囲がこの幼子を担ぎ上げたのです。
無論それで事態が治まるのならそれでもよろしいが、母方の祖父が野心家でしてな。
これを機に幼子を傀儡として事実上の盟主の座を占めようという魂胆なのです。
あの強欲な男のこと、大きな権力を握ればどうなるかは自明です。
他の領主も収まりますまい」
堂主はようやく一息ついた。これだけしゃべってよく息が続くものだ。
「そして最後に、中の息子です。この者は、修道院で神への奉仕の道を歩んでおりました。
賢く、善良で、神の教えをよく理解し、よく守って生きてきました。
父と長兄の葬儀のため修道院を離れ、故郷へと戻った彼が見たのは民草に暴力をふるう野蛮な次兄と、奸臣どもに囲われた哀れな弟でした。
彼はその時、神からの啓示を受けたのです。
誰かがこの状況を正さねばならぬ!それは自分の使命であると!
それから彼はどちらの陣営にも与せぬ、心ある善良な者たちを集めて立ち上がったのです」
あからさまに真ん中を推してくるな。
「ずいぶん詳しいですね」
顔に不信を出さないよう努力しながら俺が尋ねると、堂主はとぼけ顔で答えた。
「世情を知らずして、何を神に祈るのですか。
それはそうとして勇者様。こうしている間にもか弱き民草が苦しんでおります。
どなたに与するかはご判断にお任せしますが、どうか争いを鎮めるためにお力をお貸しください」
あれだけあからさまに真ん中を推しておいて、ご判断はお任せします、とはなかなか胆の据わった御仁だ。
よい耳を持っているのは間違いないが、口の方はどこまで信用していいやら。
そもそも、何と言われようが俺は首を突っ込むつもりはない。それが王様とのお約束だ。
「この件については、まずは国王陛下に仲裁を求めるのがよろしいかと。
その上で、陛下の沙汰に従わない者があれば国王陛下の名のもとに、元帥として私の力をふるいましょう」
国王陛下と聞いて堂主はあからさまに嫌な顔をした。
「それはその……領主というのは、領内の問題について王に口を挟まれるのを嫌いまして……」
「それなら、私ごときの干渉はなおのこと嫌がられるでしょう。私にお手伝いできることはないようです」
「し、しかし……」
なおも取りすがろうとする堂主をトーソンが遮った。
「元帥閣下。そろそろ次の予定が」
「あぁ、そうでした。
では、堂主様、これにて失礼させていただきます」
特に予定なんてなかったはずだが、これ以上こいつの長話に付き合うのはうんざりだ。
俺はさっと席を立って、そのまま聖堂を退出した。
*
「助かりました、トーソンさん」
「いえ、私も飽き飽きしておりましたので」
俺が先ほどの助け舟に礼を言うと、トーソンは苦笑しながらこたえてくれた。
きっと根は善良なのだろう。この代官殿とはうまくやっていけそうな気がする。
堂主の無駄話に付き合ったおかげで、日が大分傾きつつあった。
「日没までに帰れますか?」
「えぇ、十分間に合います。ちょうど食事の支度が整う頃にはつくかと」
南に目をやると、先に目にしたのとは別な煙が丘の向こうに上がっているのが見えた。
堂主の人物評はともかく、あの丘の向こうでろくでもないことが起きているのは確からしい。
少しだけ胸が痛んだが、人間同士の争いはこの世界の人間が解決すべきだろう。
「きゃあああああ!」
不意に若い女の悲鳴が響き渡った。
声のした方角に目を向けると、巡礼服を着た人影がこちらに駆けてくるのが見えた。胸には子供を抱いている。
その背後には騎兵が二騎。
どうやらあれに追われているらしい。
ちょうどいいタイミングだな。
人間同士の紛争に積極的に干渉しようとは思わないが、目の前でか弱い女性に救いを求められればそれに応えるのはやぶさかではない。
ひと暴れすれば気分転換にもなるだろう。
ちょっとヒーロー気分を味わいに行くとしようか。
まだ遠く砂埃をたてながら駆けてくる騎兵たちを観察する。
完全武装だ。単なる野盗にしてはやけに装備がいい。
隣の紛争と関係があるかもしれない。それでトラブルになるのは嫌だな。
俺は右手に光の槍を出現させながらトーソンに確認をとる。
「領内での狼藉に関しては、領主の権限は絶対ですよね?」
「はい、閣下。それが誰であれ領民に危害を加える者を討つ権利と義務が領主にはあります」
それならいいか。俺は彼らに向けて、馬を駆けさせた。
次回は8/1を予定しています。
遅ればせながらヒロインが登場します。
7/23
第10話を若干改変しました(従者のリックさんを追加)
タイトルを短くしました。




