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015 私は幸福を与える者だよ、それ以外の何者でもない

 





 ギルドに向かった私たちは、ひとまず依頼掲示板を確認。

 さすがに街が大きいだけあってギルドの規模もノルンとは桁違いだ。

 掲示板に出ている依頼の数も倍以上あり、その中にはすでに私たち持っている素材の納入依頼も混ざっていた。

 すぐに依頼完了しちゃってもよかったんだけど、その前に武器を変えておかなきゃ。

 あのリーガってやつ倒したときに熟練度が最大まで上がっちゃったから。


 というわけで、利便性を考慮してギルドのすぐそばに建てられた武器屋へ向かう。

 まずは、もう使わないと思われる武器の売却。

 インベントリの説明をするのはめんどくさいから、店の前で全部取り出して、二人で抱えて持ち込んだ。


 売却したのは、アイアンダガー、シルバーナイフ、投げナイフ3つ。

 売価は小金貨1枚と買値に比べると安くなったけど、インベントリの枠が空いたから問題はない。

 杖を売らなかったのは、もしかしたら他の魔法使いが旅に同行する可能性を考えて。


 荷物整理が終わると、私たちは店内の物色を始める。

 品揃えもさすがのものだ。

 初心者用から上級者用まで幅広く揃っていて、目移りしてしまう。

 とはいえ、あまり上等な武器を購入すると、所持金がごっそりと無くなってしまいそうではある。

 実際、私が購入候補に挙げている、毒を染み込ませた鉄製の短剣――アサシンダガーは小金貨5枚だし、もう一つのミスリルダガーに至っては大金貨1枚だ。

 それぞれスキルは魅力的で――




 --------------------


 Lv.1 アクティブスキル[アサシンスティング]習得

 Lv.2 短剣適性上昇+1

 Lv.3 短剣適性上昇+1

 Lv.4 アクティブスキル[シャドウハイド]習得

 Lv.5 短剣適性上昇+1


 --------------------




 --------------------


 Lv.1 アクティブスキル[トリプルスラッシュ]習得

 Lv.2 短剣適性上昇+1

 Lv.3 アクティブスキル[サクリファイスシャドウ]習得

 Lv.4 短剣適性上昇+1

 Lv.5 短剣適性上昇+1

 Lv.6 特殊スキル[器神武装]習得


 --------------------




 未習得のものだらけ、しかも器神武装もあると来た。

 買えないほどの値段じゃないし、思い切って買っちゃっていいかもしれない。


「いい装備はやっぱり高いのねえ……」


 キルシュも私と同じような悩みを抱えていた。


「木製だったらそのうち作れるようになると思うよ」


 森に囲まれたこのあたりの地形なら、木工スキルを上げるのは容易だ。

 もっとも、上位の装備を作るには“レシピ”を頭に叩き込むか、アイテムとして使用する必要があるんだけど。

 でも武器屋で買える程度のものなら、レシピ無しでも作れるようになったはず。


「なら、せっかく買うなら木以外を使ったものがいいってことよね。不気味だけど、このあたりかしら……」


 キルシュが手に取ったのは、モンスターの骨で作られたボーンロッドだ。

 ご丁寧に一番上の部分には髑髏を模したオブジェまで付けられている。




 --------------------


 Lv.1 火属性魔法適性上昇+1

 Lv.2 火属性魔法適性上昇+1

 Lv.3 火属性魔法適性上昇+1

 Lv.4 火属性魔法適性上昇+1

 Lv.5 アクティブスキル[フレイムピラー]習得


 --------------------




 火属性の場合のスキル構成はこんな感じ。

 闇属性だと特殊な魔法を覚えられるみたいだけど、キルシュは使いそうにない。

 けれど新魔法であるフレイムピラーは覚えておきたいところ。


「あとはこのクリスタル……うっ、高いわね……買えない値段ではないけれど」


 魔力を豊富に含んだ水晶で作られたクリスタルロッド。

 それだけ贅沢に素材を使っているわけだから、お値段はそれなりで大金貨1枚だ。




 --------------------


 Lv.1 アクティブスキル[ファイアボール]習得

 Lv.2 アクティブスキル[ファイアクラッカー]習得

 Lv.3 アクティブスキル[ファイアウォール]習得

 Lv.4 パッシブスキル[火属性魔法の心得]習得

 Lv.5 アクティブスキル[ストレングス]習得


 --------------------




 もちろん、それだけの価値はあると思う。

 ボーンロッドは小金貨1枚だから、こちらも買えない値段というわけではない。


「モミジはどうするの?」

「思い切って買っちゃおうかなと思ってる。大金貨1枚と小金貨5枚」

「かなり大きな買い物ね。でも投資と思えば……そうね、私も買うわ」


 こうして私たちはお買い上げを決断――したものの、いざ店主に近づくと『本当にいいの?』と倹約の天使が囁きかけてくる。

 いいや、買うね! 買えば買うほど強くなれるんだから、買えるときに買っとかないと!


「こ、これを……くださいっ」


 お支払いは、二人合計で大金貨2枚と小金貨6枚。

 店主が思わずにっこり笑ってしまうほど大きな買い物をした私たちは、外に出ると、早速武器を身につける。

 私はアサシンダガーを、腰の鞘に収める。

 キルシュはボーンロッドを背中のホルダーにセットする。

 骸骨のデザインがよほど気に入らないのか、彼女は嫌そうな顔をしていた。

 確かにこれはさすがに『似合ってるよ!』とは言えない。

 でもそれも、熟練度が溜まるまでの我慢だ。

 ボーンロッドはアサシンダガーよりもランクが低いから、割と簡単に上がっていくはず。


 私たちは改めてギルドに入り、先ほど見つけておいた依頼番号を受付の女性に告げる。

 またもやイエロースライムの納入依頼だ。

 都会で経済的にも余裕のある家が多いからか、美容液の素材としてイエロースライムの体液の需要が高いらしい。

 まだ素材はインベントリの中に腐るほど残っているし、依頼が出ているうちに一気に消化しておきたい。


 私たちは受付の女性に連れられギルドの外にある納入所に移動すると、例のごとくリザード車が無いことに疑問を呈された。

 そしてこれまた例のごとく、インベントリから大量のイエロースライムの体液を出して、驚かれる。

 この反応にももう慣れてきてしまった。


【クエスト[イエロースライムの体液大量納入]完了!】

【EXP8000 武器EXP8000 を得ました】

【キャラクターレベルアップ! 52→53】

【パーティメンバー キルシュ EXP8000 武器EXP8000 を得ました】

【パーティメンバー キルシュ キャラクターレベルアップ! 45→46】

【パーティメンバー キルシュ “ボーンロッド”武器熟練度レベルアップ! 0→1】

【パーティメンバー キルシュ 火属性魔法適性上昇! 27→28】


 うへー、アサシンダガーはこんだけ経験値稼いでも上がらないのか。

 こっからはちょっときつくなりそうだ。

 でも、報酬として大金貨1枚と小金貨2枚がもらえたから、武器を買った分の支出は半分ほど補えた。

 私はさらに、イエロースライム素材の少数納品の依頼もついでに終わらせておく。


【クエスト[イエロースライムの体液納入]完了!】

【EXP1000 武器EXP1000 を得ました】

【パーティメンバー キルシュ EXP1000 武器EXP1000 を得ました】


【クエスト[イエロースライムの核納入]完了!】

【EXP1500 武器EXP1500 を得ました】

【“アサシンダガー”武器熟練度レベルアップ! 0→1】

【スキル[アサシンスティング]レベルアップ! 2→3】

【パーティメンバー キルシュ EXP1500 武器EXP1500 を得ました】

【パーティメンバー キルシュ “ボーンロッド”武器熟練度レベルアップ! 1→2】

【パーティメンバー キルシュ 火属性魔法適性上昇! 28→29】


 するとようやく、アサシンダガーの熟練度レベルが上昇する。

 1万で1アップってことは、レベル2にするには2万ぐらい必要になっちゃうのかな。

 リーガがわらわら湧いてたらいいのに。

 一方でキルシュの方は、順調に熟練度上昇中。

 下手したら私よりハイペースかもしれない。


「んふふ……」


 熟練度があがるたび、キルシュは極端にご機嫌になる。

 この世界に生きる人たちにとっては、それだけ嬉しいことなんだろう。

 私もキルシュが喜んでると、同じぐらい胸が躍る。

 不思議な感覚。

 でも悪い気はしない。




 ◇◇◇




 ギルド内に戻り、私とキルシュは再び依頼掲示板とにらめっこをする。

 今度は人魚の肉に関する情報収集のためだ。

 すると私たちの背後から、一人の女性が近づき、声をかけてきた。


「あなたたち、ずいぶんと若い二人組ね。冒険者なの?」


 私は振り返る。

 そして彼女の頭上に表示された数字を見て、びっくらこいた。


「……頭、何か付いてる?」

「い、いえっ、何でも」


 レベル……135?

 他の冒険者は30とか40、多くても50なのに、そんなことある?

 普通じゃない、明らかに。


「ああ、怪しい者じゃないわ。私はウィリア、最近ネキスタに拠点を移した冒険者なんだけどね」


 いや、明らかに怪しい。

 名前は本名みたいだけど、レベルが、だって普通じゃないよこんなの。

 あのリーガだって70だったのに、その倍近く?

 たぶん、特殊な訓練でもしない限り、この世界でその領域まで達することはないはず。


「10代の女の子が並んで掲示板とにらめっこしてたら、声もかけたくなるってものよ」


 キルシュが私に目配せをする。

 彼女から情報を聞き出すべきか――そう問われているみたいだけど、はてどうしたものか。

 彼女がリーガと同じ組織の人間だとしたら、狙いは私たちに違いない。

 でも暗殺が狙いなら、こんなに堂々と顔を出して接触してくる? それも名前を出してまで。

 相手の意図が読めない。

 ここはひとまず、ごく普通の冒険者に接するフリをして、様子を探ろう。


「人魚の肉を探してるんです、お姉さん知りませんか?」

「お姉さん……」

「え?」

「いえ、何でもないわ。そうねえ、不老不死になるというおとぎ話なら聞いたことがあるけれど――それがどうかした?」

「……いえ、だったらいいんです。ありがとうございました」


 私はキルシュの手を引いて、早々にウィリアの前を離れる。


「モミジ?」


 そのままギルドの外に出た。

 背後を確認。

 よかった、彼女は追ってきていない。


「どうしたの?」


 私の表情からただ事ではないと気づいたのか、キルシュが心配そうに私の顔を覗き込む。


「今の人、たぶんリーガと同じ組織の人間だと思う」

「なっ……そんな!? どうしてわかったの?」

「レベルが普通じゃなかったから。それに、人魚の肉について聞いたとき、一瞬だけすっごい寒気っていうか、殺気みたいなのを感じて……」

「私たちをまだ狙っているのね。けど、だったらどうして私たちに話しかけてきたのかしら」

「わかんない。殺すのとは別に目的があるのか、それともリーガを倒した私たちを警戒しているのか……」

「とにかくギルドから離れましょう。宿も、離れた場所に取った方がいいかもしれないわね」

「あと、できる限り人の通りが多いところで」

「そうしましょう」


 私たちは早足でその場を立ち去る。

 出来る限り多く角を曲がって、少しでもウィリアという女性を撒けるように。




 ◇◇◇




 そんな風に移動していたものだから、自然と通る道は路地裏が多くなった。

 ノルンと違って、ネキスタは路地にもお店がひしめき合っており、人通りが途切れるということがない。

 もっとも、そこに並んでいるのはどこか怪しげな店舗ばかりで、客引きらしき男性のガラも明らかに悪い。

 そんな場所を子供が歩いているものだから、私たちは周囲の視線を集めてしまっていた。


「居心地が悪いわね」

「ギルドとは別の意味で怖いかも。でも……人魚の肉って、こういうところで出回ってそうだと思わない?」

「そうね、ネキスタなら裏で流通させる手段がいくらでもありそうだわ」


 奥へ進めば進むほど、街の“ディープさ”は深度を増していく。

 できるだけ早く脱出したいという思いとは裏腹に、迷路のように入り組んだ路地の出口はまだ見えない。

 横を通り過ぎる人たちの人相も、店の怪しさが増すほどに胡散臭くなってきた。

 全身にピアスとタトゥーを入れた上半身裸のスキンヘッド男、女性用下着を縫い合わせて作った服で誇らしげに練り歩くヒゲのおじさん、明らかに目がイッてる奇妙な笑い声を上げる女性――他にもさまざま。

 正常さが異常さに見えるほどの異様な空間の中、偶然にも店内から出てきた二人組の男の会話が聞こえてきた。


「マジであんなんいるんだな、元は人間だって言うんだから驚きだわ」

「うひゃっひゃっひゃっ! やべーっしょ? やべーっしょ? オレ病みつきなんだよなぁ、いくら嬲っても死なないってのが良いわ! ナマ姦できるのここの店だけだからさァ!」

「内臓に突っ込んでたら病気になんぞ」

「もう手遅れぇー! はっひゃひゃひゃひゃ!」


 比較的マトモに見える男と、明らかにイカれた男が並んで、私たちの横を通り過ぎていく。


「今の話……」


 キルシュは立ち止まり、彼らの背中を見た。


「いくら嬲っても死なない、って言ってたね」


 私は店の看板を見上げる。

 そこには“サディスティックバー・カニバリズム”と書かれていた。

 本来は、鞭やろうそくを使って女性とのそういうプレイを楽しめるお店みたいだけど――


「……行ってみる?」

「入れる、のかな」

「ダメだったらそこの男の人が止めるわ」

「というか、キルシュはそういうの大丈夫?」

「大丈夫なわけないわよ。けど……メイルの肉についての情報が、手に入るかもしれないわ」


 私たちは、この街になんのツテも無い。

 今を逃せば、次、どこで情報をつかめるかなんてわからないのだ。

 いざとなれば逃げられるだけの力はあるし、ヤバいと思ったら入り口で逃げてもいいし……何より、キルシュがやる気だから。


「わかった。じゃあ……行こっか」


 頷くキルシュ。

 それでもやっぱり怖かったのか、私の手をきゅっと握る。

 私も握り返して、私たちは手をつなぎあったまま店の門をくぐった。

 前に立つガードマンらしき屈強な男性は……私たちを止めはしない。

 年齢制限は無いのか。

 いや、こんなアンダーグラウンドの店にそんな秩序を期待するだけ無駄なのかも。


 薄暗い階段を降りる。

 むわっとした熱気が下からせり上がってくる。

 奥には、ピンクの明かりで淡く照らされた怪しげな扉があった。

 貼り付けられたプレートには、看板と同じ文字が刻まれている。

 私がドアノブに手を伸ばし――開く。


「ぎゃあぁぁあああっ!」

「ひゃあははははははっ!」

「おやめくださいっ、それ以上は死んでしまいますからぁっ、堪忍して、堪忍してぇっ!」

「おらもっと鳴け! 鳴いたらご褒美にもっと突き刺してやるよ!」

「ぶひっ、ぶひぃぃっ!」

「いい鳴き声になったね豚、けどまだ足りない。今度は僕が金を出すから、手足を切る手術をしようねぇ?」


 聞こえてきた音に、私たちは思わず足を止めた。

 ここは……私たちが立ち入っちゃいけない店だ。

 そう入った瞬間に理解してしまったのである。


「……珍しい客だな」


 口元を鉄製のマスクで覆った男性が口を開く。

 彼が受付なのだろうか。

 こちらを見る瞳には、何らかの模様が見て取れた。

 眼球にタトゥーを入れているみたいだ。


「コースを選べ」


 私たちが子供であることに言及せず、淡々とメニューを出す男性。

 二人で紙に書き殴られたそれに目を通すけれど、そこには“人魚”とも“不老不死”とも書かれていない。


「……“合法殺人コース”はそこには載ってないぞ」

「合法、殺人? いくら嬲っても死なないっていう、あの?」

「やはりその噂を聞きつけてきたのか。若いやつはどいつもこいつもそうだ。いや、人間なら誰しも人殺しをしたいという欲求を胸の奥に抱えてるのかもしれないな」


 嬉しそうに語る男。

 どうやら、そのコースは私たちみたいな若い人間がメインの客層らしい。

 ……気持ちは、わかる気がする。

 中学生のときとかって、グロテスクなものによく憧れてたから、その延長線上にあるものなのかもしれない。


「一時間で大金貨1枚だ。払えるか?」


 さすがに高い。

 私はキルシュに目配せすると、彼女は頷いた。

 取っ掛かりが得られるなら――それぐらい払っても構わない。

 また稼げない額でも無いのだから。

 私はポケットから取り出すフリをして、インベントリから大金貨一枚を出し、彼に手渡す。


「いい思い切りだ、才能を感じる」


 そんな才能はいらない。


「こっちだ、ついてこい」


 男は真っ直ぐ伸びる店の通路ではなく――普段は店員しか通らないと思われる、店の裏手へと私たちを案内した。

 拷問道具らしき物体が雑多にならぶ廊下を進み、その奥にある、非常口めいた赤いランプが取り付けられた、鉄製の扉の前へ。

 彼は鍵を開くと、「後は好きにしろ」と言って来た道を引き返していった。

 残された私たちは、しばし立ち尽くした。

 果たしてここを開けてしまって良いものか。

 微かな隙間から漂う生臭い匂いが、さらにその嫌な予感を膨張させていた。

 だが、大金貨1枚を払ってしまったのだ、ここで引き返すわけにもいかない。

 私たちは手を重ねてドアノブを握り、「せーの」の合図で扉を開いた。

 ――むわぁっ、と生ぬるい濃密な血の匂いが、部屋に封じ込められた空気とともに私たちを包み込む。


「……う、ぷ」


 キルシュは思わず口を手で覆い、目を背けた。

 私は、グロにはある程度慣れてるから、どうにか耐える。

 でも――直視はできない。


 室内も赤いランプで照らされていて、けれどそれが無くたって部屋の中は赤かった。

 血で。

 あるいは、人の中身の一部で。

 飛び散ったそれはほとんど掃除もされずに、“貼り付けにされた彼女”の下に積み重なっていた。


「……ふ、ふ、ふ」


 十字架にとらわれた女性は笑う。

 手足を杭で貫かれているにかかわらず、楽しそうに、嬉しそうに。


「いらっしゃいませ、あなたたちが今度の、私を殺しに来たご主人様? ふふふ……可愛いのに、残酷なのね」


 斧、ナタ、クワ、剣、ハンマー――部屋に散らばった武器は、その全てが彼女の血で濡れていた。

 彼女が身にまとう衣服もボロボロで、おそらく彼女自身が拷問に遭ったことは間違いない。

 にもかかわらず、女性には“傷”が無かった。

 五体満足である。

 ただし――体の至る部分は鱗に包まれていたし、顔は右半分が、まるで魚のような姿になっていたが。






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