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婚約破棄された可憐令嬢は、帝国の公爵騎士様に溺愛される  作者: 蒼井美紗
第4章 大陸騒動編

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85、大陸会議へ

 大陸会議に向かうことが決まってからは、怒涛の毎日だった。

 エメとクラリスが中心となり私の準備をしてくれて、アガットは道中やリナーフ王国での護衛に関して、色々な人たちと話し合ってくれた。


 フェルナン様の方も早急に準備は進められ、護衛として同行してくれる騎士、魔術師の方たちもすぐに決まったようだ。

 今回は帝都の戦力を考えてノエルさんは同行しないことに決まったけれど、リュシーさんが魔術師のまとめ役として同行してくれると聞いている。



 そうして大陸会議参加が決まってから三日後の早朝。私とフェルナン様は、帝都を旅立つことになった。


「父上、行って参ります」


 見送りには、皇族の皆さんが来てくださっている。


「ああ、頼んだぞ。大陸会議ではフェルナンに全権を与える。我が国の利を考えることも大切だが、今は緊急事態だ。まずは問題解決を最優先に考えるようにしろ」

「かしこまりました。精一杯務めて参ります」


 フェルナン様と皇帝陛下であるレオポルド様の会話が終わったところで、他の皆さんも声をかけてくださった。私のところへ真っ先に来てくれたのは、マリエット様だ。


「お義姉様、お気をつけください!」

「はい。ありがとうございます。気をつけて行ってきます」


 マリエット様が抱きしめてくれる温かさに頬を緩めていると、皇妃殿下であるヴィクトワール様も来てくださった。


「リリアーヌ、頼みましたよ」


 その一言で私の背筋は伸びる。


「はい。しっかりとフェルナン様をお支えしてきます」


 後ろ向きにならないように意識して、自信を持ってそう伝えると、ヴィクトワール様は口元を緩めてくださった。


「とても頼もしい表情になりましたね。あなたの研究成果を他国に知らしめてきなさい。特にペルティエ王国に」


 ペルティエ王国は私の母国だ。今回の大陸会議には参加するらしく、さらにアドリアン殿下が参加する可能性があると聞いた。


 王太子であるはずなのになぜ……と少し疑問ではあるけれど、それ以上の感情はない。もうフェルナン様のおかげで、過去とは決別できたのだ。


「はい。女でも大勢の役に立てるのだと、そう伝えてきます」

「頑張るのよ。ただ辛かったら無理はしないこと。フェルナンを頼りなさい」


 ヴィクトワール様の優しい言葉に頷いていると、肩を後ろからそっと掴まれた。


「母上、大丈夫です。私が絶対に無理はさせません」

「そうだったわね。では二人とも、頼んだわ」


 そうして皇族の皆さんとも挨拶をして、私はフェルナン様と馬車に乗り込んだ。

 今回は少しでも速度を上げるために馬車の数も最低限で、従者やメイドも同乗だ。護衛は基本的に騎乗をして、馬車の周囲を警戒してくれることになっている。


 乗り込むとすぐ、ゆっくりと馬車が動き出した。窓の外を流れていく景色を何気なく見つめていたら、正面に座られているフェルナン様に声をかけられる。


「リリアーヌ」

「はい。なんでしょうか」

「緊張しているか?」

「そうですね……少し」


 ガチガチになるほど緊張しているわけじゃないけど、体に結構力が入っているほどには緊張している。


「そうか。難しいかもしれないが、今はまだリラックスしていた方が良い。道中は意外と長いからな」

「確かに……そうですね」


 どんなに早く見積もっても、リナーフ王国の王宮までは一週間以上かかる。二週間かかる可能性も普通にあるだろう。


 今から緊張していたら、途中でバテてしまうかもしれない。


「ふぅ……」


 大きく深呼吸をすると、少し体の力が抜けた。


「大丈夫そうです」


 そう伝えると、フェルナン様は微笑まれる。その表情がとてもカッコよくて……私の体にはまた力が入ってしまった。今度は緊張というよりも、胸が高鳴ったことが原因だ。


 そんな私に気づいたのか、隣に座っていたエメが私の顔を覗き込む。


「リリアーヌ様、まだ旦那様への耐性がつかないんですか?」

「だ、だって、カッコいいでしょう?」

「それは確かにそうですが……毎日お顔を見ているではないですか」


 確かにそうなのだけど、何度見ても胸が高鳴るのだ。


「フェルナン様、良かったですね」


 向かいの席では、フェルナン様の従者であるジョスが揶揄うようにそう言って、フェルナン様に結構強めに肩を組まれていた。


 その様子を見ていたら自然と笑みが溢れ、緊張はなくなる。


「ジョス、何か面白い話でもしろ」

「え、なんですかその無茶振り!」


 そんな二人のやり取りを見ていたら、なんだか楽しくなってきた。私も何か皆が楽しめる話ができないかと、思考を巡らせる。


 そうして馬車内の雰囲気は緩み、和気藹々と楽しく時間が過ぎていった。

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