25.最終日は……ぎゃああああああああ!?①
ここまで読んでいただきありがとうございます。
いよいよ、ゴールデンウイーク最終日のお話になります!
そして、ゴールデンウィーク最終日がやって来た。
目を覚まして最初にすることは、やはりデイリークエストの確認である。
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デイリークエスト
・ランニングを20㎞せよ。
報酬:スキル【身体強化Lv7】を修得。
・瞑想を3時間せよ。
報酬:スキル【精神強化Lv7】を修得。
・魔法を10回使え。
報酬:スキル【無属性魔法Lv1】を修得。
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「おお、新しい魔法だ! それに内容も特に難しいものはなさそうだな!」
デイリークエストの内容を確認して、俺はうんうんと頷いた。
スキルによって強化された今の自分であれば20㎞くらいは苦も無く走ることができるだろう。
瞑想は……まあ、貴重な連休の最終日を3時間も使ってしまうのはもったいない気がするが、それは諦めるしかない。
魔法10回だって【祈祷】のスキルを覚えている今だったら簡単だろう。ランニングと一緒に済ませることができそうだ。
色々と検証してみてわかったことだが、俺が修得している【治癒魔法】のスキルはケガを治すだけではなく、疲労を回復させる効果もあるようだった。
ランニングをしつつ【治癒魔法】で疲労を回復させ、消耗した魔力は【祈祷】で回復させる。
うん、我ながら惚れ惚れするほどwin-winなコンボだ。
「とりあえずはランニングから始めようか。朝の運動に行くとしよう」
俺はジャージに着替えてから台所に降りて、買い置きのアンパンを食べて牛乳で流し込む。
真麻は珍しく寝坊をしているのか、まだ起きていないようだ。
俺は朝ごはんをすでに食べたこと、ちょっと外に出てきて昼食前には戻ることをメモ書きして玄関から外へと出た。
5月の新緑の頃。爽やかな風が俺の頬を撫でつけてくる。
まだ早朝で日差しが強くなる前の時間帯のため、それほど暑さも気にはならない。
「さて……飛ばしていくか!」
昨日のデイリークエストによって【身体強化】スキルはLv6まで上がっている。
自分の身体がどれだけ強くなったのかを確認するために、俺は一気にトップスピードまで加速させた。
『デイリークエストを達成。【身体強化Lv7】を修得した!』
『デイリークエストを達成。【無属性魔法Lv1】を修得した!』
『ワールドクエストを達成。【治癒魔法Lv2】を修得した!』
『ワールドクエストを達成。【祈祷Lv2】を修得した!』
「ふいー、気持ちよかった!」
軽快に町中を駆け抜けた俺は、事前の予想通りに苦労することなくデイリークエストを2つ達成させる。
ランニングの合間に【治癒魔法】と【祈祷】を繰り返し使ったことで、その2つのスキルのレベルまで上昇した。
せっかくだから人気のない空き地で【無属性魔法】を使ってみたのだが、Lv1で修得した魔法は『バレット』というもの。
目には見えない不可視の弾丸を指先から撃つという魔法だった。
【精神強化】スキルを上げてINTが高くなったため、その威力は意外と強い。ブロック塀を貫通させるくらいのパワーがあった。
空き地を囲む塀の一部が崩れてしまったのを見て、俺は近所の人に心の中で謝罪をしつつ全力疾走で逃走した。
これで回復だけじゃなくて攻撃魔法も使えるようになった。
一昨日のように吸血鬼と遭遇するなどという稀有な機会でもない限り、攻撃魔法なんて物騒なものが必要になることはないと思うのだが……
「……これがフラグにならないといいんだけどな」
俺は別に勇者になりたいわけではない。
せっかく手に入れたクエストボードという能力を活用させつつ、のんびりと暮らしたいだけである。
俺はボソリとつぶやいて、自宅への帰路についた。
今から家に帰って瞑想をはじめれば、午前中には最後のデイリークエストも達成できそうだ。
非現実的な魔物やモンスターと戦うようなハードファンタジーな展開はごめんだった。
「さて……」
何はともあれ、これで自宅で瞑想をすれば【精神強化】もLv7に上がる。
Intがさらに上昇することで攻撃魔法の威力がどれくらい上がるかを考える、と少し怖いものがあるのだが。
俺は攻撃魔法の検証は町中でしないようにしようと心に決めた。
さらに強化された身体能力を駆使して走り抜け、あっさりと自宅に帰り着いた。
もう昼も近いし、さすがに真麻も起きているだろう。
玄関のドアノブを握ると、出かけるときには閉めていたカギが開いている。真麻が開けたのだろうか?
「ん……この靴は?」
ガチャリと扉を開いて玄関に入ると、そこには見慣れないローファーがあった。
サイズとデザインからすると女子のものだったが、真麻はこんな靴は持っていなかったはずだ。
友達でも遊びに来ているのだろうか?
ランニングの後だからシャワーでも浴びようと思っていたのだが、真麻の友達が来ているとなると、シャワー後にパンツで家の中をうろつくようなことは避けた方がいいだろう。
俺は基本的にフロ上りは下着で過ごす主義なのだが、来客中となれば自重しなくては。
(妹の友人に挨拶でもしておきたいところだけど、真麻も難しい年頃だからな。かえって怒られるかもしれないし、邪魔をしないように部屋で残るデイリークエストを達成するとしようか)
とりあえずリビングに入ってお茶でも飲むことにしよう。
さすがにランニングの後で喉も乾いた。
そんな風に思って部屋の扉を開いて――俺はその場で硬直した。
「おかえりなさい」
「……………………ただいま」
たっぷりと間を置いてから言葉を絞り出す。
リビングの椅子にちょこんと腰かけていたのは真麻ではない。その友人でもない。
おかっぱ頭の小柄な少女。
西洋人のような白い肌と、青みがかった瞳。
俺が通っている学校の制服を着たその少女の正体は、かつて教会で会った牧師の娘・朱薔薇聖だった。
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