お正月といえばすごろく……かーらーのーエロゲプレイ! ④
やがて、仁義なきじゃんけん勝負に決着がついた。
「うう……それじゃあ、サイコロを振ります……」
「ごめんねー、春歌。もうちょっとだけ、心の準備がしたいんだー」
じゃんけん勝負を制したのは早苗の方だった。
敗者である春歌はうなだれながらもサイコロを握りしめる。
「大丈夫か……怖いのなら、もう少し待ってからでも……」
「いえ……大丈夫です。できます。やります……」
紗耶香が気遣うように声をかけるが、春歌はフルフルと首を振った。
顔を青ざめさせ、怯えているようだったが……春歌は基本的に責任感が強い委員長気質である。
他のメンバーが大変な思いをしたというのに、自分がやらないとワガママを言える性格ではなかった。
「ふ、ふります……!」
春歌が覚悟を決めて、サイコロを振った。
さいころがボード上を転がっていき……今度は『5』が出た。
「さすが、春歌! 良い数字ね!」
「待て、喜ぶのは早い! 問題は指示の内容だ!」
早苗と紗耶香が動いていく駒を目で追った。
5マス進んだ駒。止まったマスに書いてあるのは……。
『今日は行きつけのスイーツ店でチョコレートが食べ放題! おなか一杯になるまでたっぷり食べちゃおう☆』
「チョコレートの食べ放題……? ひょっとして、これは当たりなんじゃ……」
「ああ、見たところ不審な部分はなさそうだが……?」
「よ、良かった……ひゃっ!」
エロとは無関係な内容にホッとする春歌の姿が消える。
早苗と紗耶香がすぐに画面に目を向けると……そこには、指示通りにたっぷりとチョコレートを食べている春歌の姿があった。
『んぐっ、あむっ、んんっ……』
『ほーらほーら、残さず食べるんだぞー。俺のチョコバナナをたっぷり堪能するのだ!』
今度は真砂が登場するイベントだった。
真砂が春歌の口内にバナナをつっこみ、そこに塗りたくられたチョコレートを食べさせている。
「う、うん……エッチな命令じゃなかったね」
「そ、そうだな……エッチではないな。うん」
早苗と紗耶香が顔を見合わせて、苦笑いをする。
そう……春歌はエッチなことなどしていない。
スイーツ店でパティシエの格好をした真砂から、バナナに塗られたチョコレートを食べさせてもらっているだけである。
断じて、エッチなことなど欠片もない!
R18指定でも何でもない、全年齢オッケーの内容なのである!!!!!
「え……あれってペッ……」
「言わないで、聖ちゃん!」
口を滑らせそうになった聖を早苗が黙らせる。
余計なことは言ってはならない。そういうルールなのだ。
『ほれほれ、さっさと舐めないと……』
『んんっ、ましゃごひゅん、そんなとこを……んううううううううううっ!』
『フハハハハハハハハハハ! どうだ、俺のチョコレートの味は!』
『んぐううううううううううううっ!』
その後もたっぷりとチョコレートを味わう時間が続く。
たっぷり30分ほどチョコレートを堪能して……春歌が和室に戻ってきた。
「はふう……もうダメです」
おなか一杯チョコレートを食べた春歌はくったりと畳に倒れる。その口元からはタラリと唾液が垂れていた。
「こ、これで3人。14マスも進んだな!」
「はい! かなり良い出目ですね!」
気を取り直すように、紗耶香と早苗が場違いに明るい声を出す。
まるで、先ほどまで目にしていた淫靡な光景を打ち消すように……否、チョコレートを食べていただけで淫靡なことなど何もない。
気のせいに違いない。絶対に気のせいである。
「さて……残りは君だけだが……」
「うん……わかってるよ」
紗耶香に促されて、早苗がサイコロを手にする。
「春歌が一生懸命がんばったんだから、私だって逃げないよ。私達が脱出するため、真砂君を助けるためだもん!」
「そうか……よろしく頼む」
「ターコ、ターコ」
「聖!」
タココールをする聖。紗耶香が頭を叩いて一喝する。
「いっくよー!」
そして……一巡目最後の1人である早苗がサイコロをボード上に振ったのである。
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