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美少女+ゴツい武器=何故かテンション上がる ⑥

 特にアクシデントが起こることなく、やってきた放課後。

 俺は昼休みのうちに雪ノ下沙耶香に連絡を取っておき、『結社』に最終兵器女性(仮)を引き渡すことになっていた。

 引き渡し場所に指定されている公園に向かう。当然のように、最終兵器女性(仮)も俺の後ろをついてくる。


「えっと……これから、君をとある組織に引き渡させてもらう。抵抗しなければ痛いことはされないはずだ」


「了解しました。マスターの御心のままに」


「……そのマスターっていうのは何かな? 君はいつから、俺のメイドさんになったんだ?」


 どうせ着替えさせるのなら、メイド服でも着せておけば良かったか。

 外国人の美人でエッチなメイドさん……うん、アリよりのアリだな。かなり良き。


「そういえば……今さら過ぎる話だけど、名前を聞いてなかったな」


決戦型人造天使アーティフィシャル・セラフィム初号機」


「は?」


「決戦型人造天使初号機と申します」


「んー……呼びづらい」


 そんなエヴァン〇リオンに出てきそうな名称を言われても困る。もっと呼びやすい名前にしてもらえないだろうか?


「そうだなあ……それじゃあ、セラちゃんで良いよな。短い付き合いだろうけど」


「セラちゃん……了解いたしました。マスターの要請により個体名『セラちゃん』を登録いたします。私はセラちゃんです」


「そうしてくれ……ああ、あそこの公園だな」


『結社』から引き渡しの場所として指定されているのは、町のはずれにある人通りのない公園である。

 公園とは言ったものの……そこは色々と寂れていた。地面は雑草で覆われており、遊具は錆で覆われている。

 遊んでいる子供などは一人もいない。公園としての役割を果たしていなかった。


「近いうち、潰して駐車場にするらしいな……人通りがないから内緒話には最適だけど」


「御命令とあらば今すぐにでも焼け野原にします。戦闘モードオン、火炎放射発動」


「するな! 大騒ぎになるだろうが!」


 朝の戦闘の時点でかなり騒ぎになってよそうなものだが……戦闘の痕跡は魔法で消しているため、警察が動くことはないはずだ。


「さて、約束の時間はもうすぐだけど……」


「あれ、先輩じゃないですか。こんなところで何してるんですか?」


「お?」


 声をかけられ、振り返るとそこには朝以来になるアホの後輩の姿。朱薔薇聖がそこに立っていた。


「聖じゃないか。お前こそ、こんなところで何やってるんだ?」


「自主練ですよ。楽器のね」


 聖が専用のバッグに入った楽器を見せてくる。聖は高校では吹奏楽部に所属しているのだ。


「この公園は人気がなくって、楽器を演奏してても誰にも迷惑がかからないから、自主練に使っているんです」


「へえ、そうだったのか」


「そうなのです。決して、先輩の匂いがしたからたどってきたわけではありません。本当ですよ?」


「別にそんなこと考えてなかったんだけど……あえて言われると怖いぞ?」


 俺は半眼になって聖のことを睨みつけた。

 アホの後輩はいつもの無表情。しかし、ふと俺の隣にいるセラちゃんを見て目を細めた。


「そちらの女性はどなたですか? 私という者がありながら、不倫ですか?」


「お前と結婚した覚えはねえよ。コイツは……」


「対象を発見。対象を発見……」


「ん……?」


 隣のセラちゃんのことを説明しようとするが、それよりも先に彼女が機械じみた無感情な声を発した。


最優先命令(ベスト・コード)が起動。他の命令を除外し、最優先で行動します」


「おい、セラちゃん?」


「吸血鬼の『神』……その器の娘を発見。これより撃滅します……!」


「ひゃあ! 何ですか!?」


 セラちゃんの右腕がバズーカ砲に変わった。その銃口は聖の胸にまっすぐと向けられている。


「神殺魔滅砲……発射(ファイア)!」


「ヒッ……!」


 セラちゃんの右腕、そのバズーカから特大のエネルギー弾が放たれた。

 とんでもない魔力。とんでもない熱量。

 朝、俺との戦いでも見せたことのない特大の一撃が、聖のことを飲み込もうとしていたのである。


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[一言] 余計な命令を覚えてる!?
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