表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

222/244

桃〇郎電鉄には温泉を覗けるスポットがある ①

本作のコミカライズ版「クエスト無双」の3話目を更新しています。

どうぞよろしくお願いします!


 俺が藤林春歌、桜井早苗と一緒にスキー旅行に出かけたのは、とある冬の日のことである。


 話を持ちかけてきたのは早苗だった。

 昼休み。いつものように春歌と早苗の2人と昼食を囲んでいると、食事を食べ終わったタイミングで早苗が話を切りだしてきた。


「ねえ、真砂君ってスキーは好きかな?」


「スキー? まあ、それなりにだけど?」


 答えながら、水筒の麦茶に口をつける。

 高校の中庭。芝生の上に広げられたレジャーシートで俺達3人は昼食を取っていた。

 すでに食事は終わっており、目の前には空になった重箱が置かれている。

 ちなみに……これらの重箱を空けたのはほぼ春歌だった。

 おとなしそうな外見の委員長が隠れた大食いであることは、俺達の間では周知の秘密である。


「スキーだったら何度かやったことがあるよ。日本じゃなくてアラスカでだけど」


「え? 逆にどうしてそっちでやってるのか気になるんだけど?」


「いや、ウチの両親がそっちで働いているから。何の仕事をしているのかはよく知らないけど」


 アラスカの冬は寒い。

 昼間でもマイナス20度は珍しくないし、日が落ちるのも早い。

 その代わり、夜にはオーロラが楽しめたりもするのだが……。


「思い出すなあ……あの遭難して逃げ込んだ山小屋で見たオーロラ。焚き火をしても寒くて、真麻と裸で温めあったっけ……」


「えっと……真麻って妹さんだよね? 裸って何やってるの?」


「おまけに山小屋にグリズリーまで乗り込んできて、あの時はもうダメかと思ったよ……」


「本当に何やってるの!? え、そんな修羅場を体験してきたの!?」


 早苗が驚いて声を裏返らせた。

 おっと……よけいなトラウマを掘り起こして、話の腰を折ってしまったようだ。


「それで……スキーがどうしたんだ?」


「えっと……私の親戚が長野に住んでいて、毎年、春歌と一緒に泊まりでスキー旅行してるんだ。良かったら、今年は真砂君もどうかなと思って」


「早苗、すっごくスキーが上手いんですよ? あっちの旅館には温泉だってありますし」


 横から補足してきたのは我らがエベレスト委員長――藤林春歌である。

 彼女の前には空になった重箱が置かれており、先ほどまでフードファイトのような戦いが繰り広げられていた。

 毎度のことではあるが、いったいこの身体のどこに入っているのか謎である。


「やはり胸なのか……あそこに第2、第3の胃袋が……?」


「月城君?」


「いや、何でもない。ただの独り言だ」


 独り言というか妄言である。

 俺は巨大な胸元に吸い寄せられていた視線を引きはがす。


「スキー旅行か……あんまり良い思い出がないんだけどね」


 遭難したり、グリズリーに襲われたり。

 未確認飛行物体にさらわれそうになったり……いや、これはアラスカもスキーも関係ないか?

 あれ? ひょっとしたら、俺ってばクエストボードの能力を授かる前からトンデモ人生を送ってるのか?


「いや……ちゃんとしたスキー場だから滅多に遭難はないと思うけど。熊も出ないと思う」


「そもそも、月城君だったら熊が出ても倒せるんじゃないですか?」


「あ、そっか」


 早苗と春歌の言葉に「ポンッ」と手を叩く。

 そういえば……今の俺だったら、グリズリーが出たって問題なかった。

 相撲したって倒せるし、背中にまたがっておうまの稽古だって出来るだろう。

 それに……美少女2人とのスキー旅行。おまけに温泉付きを逃す手などないではないか。


「それじゃあ……ご一緒させてもらおうかな? もちろん、2人が良ければだけど」


「大丈夫に決まってるじゃない! うわあ、真砂くんとの旅行楽しみー!」


 早苗が両手をあげて喝采した。

 春歌もニコニコと穏やかな笑みを浮かべて、親友の喜びようを見守っている。


 こうして、俺と春歌、早苗の3人でのスキー旅行が決定した。

 初めての女子との旅行(聖との夏合宿は含まれず)に俺は大いにはしゃぎ、期待に胸を膨らませた。


 しかし、俺はすぐに悟ることになる。

 俺の人生において、平穏かつ平和な旅行などありえないことに。

 美少女2人との楽しい楽しいスキー旅行だったはずが、とある事件の勃発により思わぬ方向へ転がっていくのであった。



広告下の画像からコミカライズ版を読むことができます。

どうぞこちらもよろしく願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ版 連載開始いたしました!
i000000


レイドール聖剣戦記 コミカライズ連載中!
i000000
― 新着の感想 ―
[一言] なんで、グリズリーと戦うの!? 勝てそうだけど。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ