激闘! 退魔師試験!④
「筆記試験の結果は1時間後に発表します。それまで昼休憩になりますので、希望される方はスタジアム内にあるレストランで食事を摂っていただいて構いません」
1時間の激闘。
隣の席のセーラー服おっぱいさん……じゃなくて、妖怪に襲われる哀れな女性の悲鳴に気を取られてしまった俺であったが、どうにか全ての問題を解くことができた。
事前の説明では合格点は100点満点中の60点。それ以下の成績の場合は筆記試験は不合格となり、『丙種』の退魔師資格はもらえない。
60点以上を取った受験者は『丙種』以上の資格が確定、さらに上の『乙種』資格取得のための実技試験を受ける権利を得る。
「スタジアムの外に出ても構いません。しかし、時間までに戻らなかった場合には筆記試験の結果を問わず、実技試験を辞退したものとみなしますのでご注意ください」
試験官の説明が終わり、受験者は1度解散となった。
筆記試験終了と同時に、会場を跋扈していた妖怪変化は1匹残らず消え失せている。
隣の席のセーラー服の女子はぐったりと机に突っ伏しており、ピクピクと小刻みに身体を震わしていた。
「ご愁傷様、ゆっくり休んでくれ」
俺はあえて彼女をそっとしておくことにして、試験会場から出て行った。
昼休みになったが……特に弁当などは持参していない。せっかくだし、レストランで昼食を摂ることにしよう。
スタジアム内にはいくつかのレストランや売店があったが、退魔師試験の受験生は全て無料で利用できるとのこと。
飲み物の自販機も無料。至れり尽くせりの扱いである。
「まあ、それくらいのサービスはしてもらわないと割に合わないか。退魔師になったら、命がけで妖怪とかと戦うことになるわけだし」
紗耶香と小野から聞いたことがあるのだが……日本において、『結社』から退魔師資格を受けている人間は1万人ほど。
そのうち、年間で100人ほどが死亡、または行方不明になるらしい。
消防士の年間死亡率が0,01パーセントらしいので、退魔師の方が100倍も命を落とす危険があるということになる。
それでも退魔師を目指す人間が多いのは、報酬が良いからだ。
危険度の少ない『丁種』でも真面目に働いていれば大卒のサラリーマンよりも稼げるし、最高ランクの『甲種』に至っては1度の仕事で億単位の報酬を得られることも少なくない。
「それだけ金があったらハーレムとか作れるかもな。100人とか200人とか子供を作っちゃったりして」
俺は苦笑しながら、目についたビュッフェ形式のレストランに入店した。
現在、スタジアムは退魔師試験のために貸し切りとなっているため、客は数組しかいない。
俺は店員(?)から好きな席に座るように指示され、奥の席に座った。
「あの店員、人間じゃなくて式神だな……さすがは退魔師試験。贅沢な式神の使い方だ」
俺は呆れ半分、感心半分につぶやいて、料理を取りにいくために席を立った。
高級というほどではないが、それなりにお高い値段のビュッフェの料理はかなり美味しそうである。
盛りだくさんに置かれた料理の数々が受験者のためだけのものだというのだから、改めて退魔師という職業の待遇の良さがわかった。
「~~~~♪」
鼻歌まじりにお皿いっぱいに料理を盛りつけ、それを3往復ほど繰り返す。
ステーキをメインにして白身魚のムニエル、ラザニア、チンジャオロース、カニのグラタン、味噌汁にカレーライス。
和洋折衷どころではない自由過ぎるメニューである。
俺だって知人と一緒にビュッフェやバイキングに入る際には気を遣うが、今は一人なのだから好きな物を好きなだけ食べようと思う。
「ん~、美味そう~!」
俺はテーブルいっぱいに置かれた料理に舌鼓を打った。
どうせ客は俺達しかいないのだ。絶対に料理は余ってしまうだろうし、いっそテイクアウトしても良いかもしれない。
「モグモグ、ムシャムシャ」
たっぷり盛り付けられた料理をどんどん口に入れていく。
健啖家のエベレスト委員長にも匹敵する大食いぶりだが、本来の俺はここまで食べたりしない。
普段は食べることのない凝った料理ばかりなので、スキルを使ってでも無理やり身体に取り込んでいるのだ。
「なあ、いいだろう! こっちの席に来いよ!」
「ん……?」
3日分くらいの栄養をしっかり取りこんだタイミングで、野太い大声がレストラン内に響く。
怪訝に思って顔を上げると……レストランの端で食事をしている女性が3人組の男達に囲まれている。
「あの娘は……?」
20代ほどの男達に絡まれているのは、巫女姿のはかなげな美少女。
俺がこの試験において、本人達に無断で『三強』として評価した受験者の1人だった。
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