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終わらないスタンピード  作者: ニシキギ・カエデ
第二章 王国の産声

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第一話 城塞都市サンクチュアリ

お待たせいたしました! 第二章開始です!

今日はレビュー記念祭を開きたいと思います!

また今日頑張れば『週間ファンタジー異世界転生/転移ランキングBEST300』にランクインできるかもしれません! 気合入れていきますよ!


 本日三話投稿します!


本日一話目!  このあと数分後に第二話投稿します!

それではどうぞ!



 “城塞都市サンクチュアリ”の朝は早い。

 日の出と共に起き出して、全員で食卓を囲み朝食を食べるところから一日が始まる。


 しかし、今日は唯一の男手である自分が朝帰りで遅くなってしまったため、未だ朝食が始まっていない。

 いつの間にか小さな子たちがテーブルに行儀良く着いていてお腹を空かせていた。


「みんなお待たせ。慌てず火傷しないように、それと仲良く食べてね」

「「「はーい!」」」

「「「いただきまーす!」」」


 朝食が遅れたことに文句一つ言わず、子どもたちが仲良く朝食を食べ始める。


「ハヤト様、お疲れ様です」


 一仕事終えたところで近寄ってきたのはラーナだ。

 フワッとした金髪と青い瞳が相変わらず美しい。


「ラーナも子どもたちのお世話お疲れ様です。おかげでみんなお行儀良く食べてくれますよ」


 少しの間見惚れてしまったが、不自然にならないように労いの言葉を返す。


 ラーナが面倒を見てくれるおかげで、子どもたちがむやみやたらに騒いだり暴れたりしないのでとても助かっているのだ。本当にどんな手を使っているのか。


「ハヤト様の薫陶の賜物ですわ」


 いや、絶対ラーナの教育の成果だと思う。


 食事が終われば今日からまた忙しい日々が始まる。


 オレは少し仮眠を取って“休景の龍湖”に沈んだ魔物の回収に向かった。

 ついでにもう脅威は去ったのか、周囲を確認してする。


 あの時、仕留め切れなかった魔物が数千いたはずだったが、ほとんどの魔物は大なり小なり怪我をしていたためか“休景の龍湖”から脱出できず、楽に駆逐できた。



 シハ王国を滅ぼしたスタンピード、パターン“国滅の厄災”はこれで何とか討滅できた。

 しかし、結果的に百万近くの大群が一昼夜に跋扈してきた。

 オレは、スタンピードを経験するのはこれが初めてで、この世界のことをまだ甘く見ていたのだと痛感した。


 怖かった。子どもたちを守るためでなかったら、果たして討滅できただろうか? いや、間違いなく逃げ出していただろう。

 正直なところ、もうスタンピードはこりごりだ。


「はあ、――まあ、おかげで今後当分の間、食に困らないだけの蓄えが出来たのだとポジティブに考えよう」


 『空間(アイテ)収納(ムボッ)理術(クス)』の中には“国滅の厄災”で討滅した百万の魔物が収納されている。

 一体どれだけ入るのだろうか? とも疑問に思うが入ったのだからとりあえずはいい、時間があるときにでも容量を確認しておこう。


 それよりもだ、食料や素材が大量にゲットできたのは大きい。

 これからは狩りを一時中断し、内政に力を入れていきたい。


 何しろ主だった物資が布団くらいしかないのだ。

 家すら無いのは可哀想すぎる。

 優秀な職業も手に入ったので、子どもたちの生活水準向上のため尽力したいと思う。


 あと、問題なのは主食だな。

 一応魔物肉で食いつないでいるけれど、肉だけではなぁ。

 出来れば農業がしたい。

 育ち盛りの子どもに穀物と野菜や果物を食べさせたい。オレも食べたいしね。


 やりたいことはいくらでもある。




 △




 結局あれから魔物の群集のような反応は無かった。

 少し足を伸ばしてみてもスタンピードと思われる物は発見できなかったので、城塞都市サンクチュアリに帰還した。


 眠い。

 そろそろ身体が限界だ。

 一昼夜ずっと気を張り詰めてオレの眠気は最高潮に達していた。

 仮眠では全然寝足りない。


 何故か城塞都市サンクチュアリの入口に大量の布団が敷いてあったのでその場に倒れこんだ。そのまま睡魔に身を任せる。

 至福の時だ。


 起きたらだいぶ日が傾いていた。そして何故か大勢の子どもたちが一緒に眠っている。


「あ、ハヤト様おはようございます」


 オレが起きたことに気がついて声をかけてきたのは、最近子どもたちの頼れるお姉さんと化してきているルミだ。

 ラーナの教育もあって、つっかえていた言葉遣いもだいぶちゃんとしてきている。


「おはようルミ。なんでみんなここで寝ているんだい?」

「えと、さっきシノンがハヤト様が珍しくこっちで寝ているよ~って騒いでいまして、ラーナ様から静かにしなさいとお叱りを受けました。そこで寝ているハヤト様を起こさないよう静かにしようということになり、そのままお昼寝することになりました」


 なるほど?

 いつも足にくっ付いて来るやつのお昼寝版かな?

 見たところルミはみんなの面倒見役だったようだ。ルミの周りにも子どもたちが集まっている。


 なんとなく近くに寄ってきていた3歳児の頭を撫でる。

 むず痒そうに、でも幸せそうに寝顔を綻ばせていた。

 疲れた心がほっこりする。


 ま、そういうことならいいかな?

 最近になってラーナに寝る場所には気をつけてくださいと注意されていた理由が少しわかった。

 なぜかオレがその辺で寝ているのは騒ぐほどのことらしい。


 まるで有名人のような扱いだ。いや、実際そうなのかもしれない。子どもたちにとってオレは有名人に等しいのか。今度からは寝るときはきちんと寝室を使おう。


 子どもたちを間違って踏まないようにさっと脱出を果たし、ルミに礼を言ってその場を離れる。


「おはよう?」

「あ、ハヤト様おはようございます。よくお眠りになれましたか?」


 解体場へ行くと、メティの髪を梳かすエリルゥイスがいた。

 単語しかしゃべらないメティとエリルゥイスの丁寧な言葉遣いが心に沁みる。


「おはよう二人とも、よく眠れたよ」


 もう夕方近いが朝の挨拶をしてくれた二人に挨拶を返す。


「解体する?」

「うん。そうしようかなと思ったんだけど、少し待とうかな」

「すみませんハヤト様、すぐ終わりますわ。メティは動かないでくださいですわ」


 メティのごわっとした髪は曲者でちょっとやそっと梳かしたくらいでは言うことを聞かない。

 エリルゥイスはそのボサボサ髪を根気よく櫛で梳かしていく。


「もう、メティも櫛をいただいたのですからご自分で梳かしてくださいね」

「善処する」


 どうやら、いつまで経ってもボサボサ髪のメティに痺れを切らしたエリルゥイスが強行したらしい。

 だが、結果及ばずといったところだ。


「今日はここまでにいたしましょう」

「ありがとエリー」

「どういたしまして、ですわ」


 残念ながら櫛一つでどうにかなるほどメティの髪は柔ではなかったらしい。

 それはそうとメティはエリルゥイスのことをエリーと呼ぶのか。

 相変わらず仲が良い。

 オレもそう呼ばせてもらえないだろうか、と訊くと。


「もちろん構いませんでしてよ。ハヤト様に愛称で呼ばれるなんて光栄ですわ!」


 と返ってきたので今度からはエリーと呼ぶことにする。

 メティがうらやましそうに眉を寄せる、どうやらエリーだけ愛称で呼ばれてずるいと訴えたいようだが、ぽんぽんと頭を撫でてごまかした。


「さて、解体作業をしよう。手伝ってくれるかい?」

「手伝う」

「もちろんやらせていただきますわ」


 『空間(アイテ)収納(ムボッ)理術(クス)』の中は劣化防止されて鮮度は落ちないのでスタンピード百万の戦果は少しずつ時間をかけて捌いていこうと思う。

 いつもどおり1匹ずつ小動物型の魔物を二人に手渡し、解体の仕方をレクチャーしていく。


《ハヤトの【大理術賢者・救導属】が発動しました》


 ―――ん、何?


「あ」

「――えぇっ!」


 急に流れたログを確認しようとしたらメティとエリーが驚きの声を上げた。

 見ると二人はどこか上の空で虚空を見上げている。


「二人とも大丈夫?」


 慌てて声をかけると二人がこちらを向いた。

 その表情は、驚きと喜色に彩られている。


「職業」

「ハヤト様…私、わたくし職業に覚醒したようですわ!」


 どうやらとんでもない事が起こったらしい。


誤字報告ありがとうございます! とても助かりました!


作品を読んで「面白かった」「がんばれ」「楽しめた」と思われましたら、ブクマと↓の星をタップして応援よろしくお願いします!


作者、完結までがんばる所存ですが、皆様の応援があるとやる気が燃え上がります。

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