表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
芋くさ令嬢ですが悪役令息を助けたら気に入られました  作者: 桜あげは 
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/120

111:その後の俺ちゃん

 灰色の石壁が立ち並ぶ、寒々しい修道院の一角で、ロビンは一人下を向きうずくまっていた。


(うう、なんで、俺ちゃんがこんな目に! それもこれも、ナゼルバートのせいだ!)

 

 刑を言い渡されてすぐ、国の北端にある修道院へと移送されてしまったロビン。

 彼にとっての悪夢の始まりだった。

 

 ここ、センプリ修道院は知る人ぞ知る、女人禁制の厳しい修道院だったのだ。

 どうして女人禁制なのか。それは、あらゆる煩悩を滅するためである!

 修道院の男たちは、日々己の肉体と精神を鍛え、時には仲間同士で肩を寄せ合い、険しい環境下でひたすら徳を積んでいた。

 そんな中に、煩悩の塊で女の子が大好きなロビンが、一人放り込まれてしまうなんて、地獄である。

 

 指定された白と濃紺の、おしゃれもへったくれもない衣装を押しつけられ、難しすぎてよくわからない祈りの言葉を毎日強要される。

 居眠りは許されず、バレると食事を抜かれる。

 反抗したら、めちゃくちゃいかつい鬼のような巨漢の修道士が来て、教会の裏庭で脅された。

 貞操の危機を感じ、怖さのあまり、ちびりそうになったのは内緒だ。

 得意の魔法も、男相手には使えない……というか、使いたくない。同性の心の内なんて、見たくもないのだ。

 

 そのほかにも、質素な食事がまずすぎたり、ベッドが固すぎたり、部屋が狭すぎたり、野郎と相部屋だったりと不満点は沢山あった。

 しかし、質素な生活環境に関して言えば、下層庶民出身のロビンは割と慣れっこだ。

 男爵家に拾われるまでは、ここよりも酷い環境で暮らしていた。

 刑を下した王族や貴族の連中には、予想できなかったことだろう。

 暗い笑みを浮かべると、すぐ近くで怒鳴り声が響いた。


「見つけたぞ、ロビン! 貴様、こんな場所に隠れていたのか!」

「げげっ! バレた! 鬼修道士!」

「この時間は体術訓練を受けろと言ったはずだ! 煩悩を捨てて清貧に生きよ!」

 

 センプリ修道院の修道士は、いざというときに教会や国を守るため、日頃から体を鍛えている。中には、騎士に匹敵する戦闘力を持つ者もいた。


(でも、俺ちゃんは、体術なんて極めたくなーい!)

 

 ロビンは全速力で廊下を走ったが、あっけなく捕まり、ズルズルと訓練場へ引きずられていった。

 楽をすることを至上とし、チャラチャラ生きてきたロビンは、運動神経があまりよくない。走るのも遅いし、体術もできない。


 無理矢理連れて行かれた先は、むわんとした熱気の漂う、男臭い屋内訓練場だった。

 ふんどし姿になったムキムキの修道士たちが汗を流し、湿った体で一生懸命体術訓練に取り組んでいる。

 ちなみに、ふんどしとは、遥か東方の異国から伝わったという下着の一種だ。


「フーンッ!」

「テイヤーッ! タァーッ!」


 気合いの入ったかけ声が響く中で、ロビンもふんどし姿になれと強要される。


「い、いやだーっ!」

「問答無用! 犯罪に走るような、腐った性根をたたき直せ! 俺が相手になってやる!」

「ひぃーっ!」


 服を脱いだ鬼修道士の巨体が迫ってくる。


「俺ちゃん、急な腹痛が……」

「知らん! 改心せよ!」

「ギャァー! 放せーっ!」


 ロビンを引きずって走ったからか、中年の鬼修道士はすでに汗をかいており、触れた部分がベタベタヌルヌルする。


(男の汗なんて、気持ち悪いだけだっつーの!)


 体術訓練など受けるものかと回れ右すると、むんずと体を掴まれ、ロビンは簡単に床に投げ飛ばされた。


「どうした、ロビン! 少しは反撃してみせよ!」

「無理ぃ~」

 

 いつまでも起き上がらないロビンにしびれを切らせたのか、今度は鬼修道士が覆い被さってくる。


(確かに、体術訓練には寝技も入っているけどさぁ~。これは駄目でしょーーーー!!)

 

 再び貞操の危機を感じるロビンだった。

口絵が公開されました!

http://bit.ly/2SinCor

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

1巻 2巻 3巻 4巻
5巻 6巻 7巻 8巻 コミック連載
コミック1巻 コミック2巻 コミック3巻 コミック4巻 コミック5巻 コミック6巻 コミック7巻
書籍発売中です
七浦なりな先生によるコミカライズ


こちらもよろしくお願いします。

モサモサ眼鏡なのに王女様(♂)の影武者なんて無理です!
拾われ少女は魔法学校から一歩を踏み出す

― 新着の感想 ―
なろうだから詳細書けないけど、きっと衆道が流行ってて、ロビンもそのうちアッーされちゃうんだろうね
[良い点] 極刑が正当な行為だと思えてしまったこと [気になる点] ギャグってしまったせいか罰が罰の役割を果たしていないところ。このチャラ男は命を持って責任を取らせる以外に罰にすらならなくなったところ…
[一言] 全然反省してないから去勢のほうが良かったな
2023/05/26 06:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ