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64話 魔族狩り



 テイマーのエレンが、亜人狩り部隊のコミガスを倒してから1週間後。


 とある村を、2人組の男が尋ねていた。


 ひとりは、背の高い眼鏡をかけた男。

 ひとりは、背の小さい目つきの鋭い少年。


「そこの村人君。ちょっといいかい?」


 眼鏡をかけた男が、村人に尋ねる。


「村長の家はどこかな?」


 村人に案内されて、彼らは村長の家を訪れる。


「あ、あなた様達は……たしか神聖皇国の祓魔師エクソシスト様……ですよね、ウワサに聞く」


 村長は祓魔師の彼らを見て、頭を下げる。


「その通りです。わたしは【モーロック】。この少年は【デグ】。どうぞお見知りおきを」


 背の高い男モーロックの柔和な笑みに、村長は警戒心を解く。


「祓魔師様がいったいこの村に何のご用ですか?」


「我々の仕事は人間以外の排除です。コミガスの部隊は【亜人】を排除する【亜人狩り】。一方で我々は【魔族狩り】と呼ばれております」


「魔族狩り……でございますか」


「ええ。その名の通り魔族を狩ることを使命としております」


 魔族は人間の敵であり、数多くの村が襲撃に会っている。

 村長は、そんな魔族達を倒す彼らに対して好感を抱いた。


 人民の味方だと、そう【勘違い】をしたのである。


「それはご立派でございますなぁ! して、我らの村に何のご用でしょう? 魔族の被害には遭っておりませぬが?」


 ニコニコと笑いながら、モーロックが言う。


「単刀直入に言いましょう、我らの信者になりなさい」


「は……? 信者……で、ございますか……?」


 訳がわからないという顔の村長に、モーロックが笑顔で教えを説く。


「われら神聖皇国は宗教国家。【天導教】という教えのもと成り立っているのです」


「はぁ……それが?」


「見たところあなた方の村は天導教に入信なさっていないご様子。何か深い理由でもあるのでしょうか?」


「り、理由もなにも……そんな宗教があることを初めて知ったモノでして……」


 ほぅ、とモーロックは眼鏡をかけ直す。


「それはおかしいですね。天導の教えは全人類が共通して備えるべき一般教養です。それを知らないということは……もしや、魔族なのでしょうか?」


「なっ!? なにをおっしゃっているのですか!」


 モーロックは、背後に控えていたデグに言う。


「デグ。この村の住民はみな魔族です。殺しなさい」


「やぁあっとかよぉお! 待ちくたびれたぜぇええ!」


 デグは胸から下げていた十字架を引きちぎる。

 それは光り輝くと、巨大なハンマーに変形した。


「な、なにをなさるおつもりですか!?」


「決まってんだろぉお? 魔族をひとり残らずぶっ殺すんだよぉお!」


 巨大ハンマーを手にしたデグは、地面に向かって振り下ろす。

 

 バゴンッ! と激しい音とともに、地面から鋭い岩の槍が生える。


「うぎゃあああ!」「ひぎいぃい!」「た、助けてくれぇええええええ!」


 村長は青い顔をして外を見やる。

 岩の槍が村の家を壊し、さらに村人を傷つけていた。


「お、おやめくだされ!」

「いーやぁ! やめねぇえよぉ! てめえら全員魔族なんだろぉ? なぁ!」


 振り上げたハンマーで、デグは村長の腹部を殴りつける。


「ガハッ……!」


 ボロ雑巾のように転がる村長を、モーロックは笑みを崩さずに見下ろしている。


「デグ。魔族どもを痛めつけてやりなさい」

「わかったぜぇえええ!」


 デグは窓から飛び出ると、ハンマーを手に地面をたたきつける。


 村の地面が割れる。


「うぎゃあああ!」

「おーらもういっちょおぉ!」


 もう一度地面をたたきつけると、地割れが戻っていく。


「痛い痛い痛いぃいいいい!」「いやぁああああああ!」「たすけてぇええええ!」


 デグは苦しんでいる人たちを見て、醜悪な笑みを浮かべる。


「いーい声で泣くじゃねえか魔族のゴミどもぉおお!」


「ば、バカかあんた! おれたちはどうみても人間だろうが!」


 村の若者が、スコップを持ってデグに殴りかかる。

 デグはハンマーで、村人ごと殴り飛ばす。


「ぐげっ!」

「いーーや! 魔族だね! おれ様たち魔族狩りに楯突くやつらは全員もれなく魔族ってことだ!」


「そ、そんなむちゃくちゃな……」

「おら死ね! うすぎたねえ魔族どもぉ!」


 ハンマーで村人を殴りつけていく。

 死にはしないけれど、村人は腕を折られ、血を吐き、まさに地獄絵図と化していた。


「も、もうおやめください……おねがいします……」


 村長が深々と、モーロックに頭を下げる。


「信者にでも何でもなります……なので、どうか村人達を傷つけることだけはご勘弁を!」


 モーロックは微笑み、村長の肩に手を置く。


「よくぞ改心なされました。今日からあなたたちは天導教の信者です。人間であることが保証されました。デグ、おやめなさい」


「チッ……! あーあ、暴れたりねえなぁ……! どっかにおれ様なみにつええやついねえかなぁ! ま、いるわけねーかそんなやつ!」


 少年の暴走がとまり、村長はホッとする。


「では村長、さっそく信者としてやらねばいけないことがあります」


「は、はぁ……なんでございますか?」


「村人全員の私財を、この家に集めるように命令しなさい」


「有り金ぇ全部だせやごら!」


 村長の顔が、さらに青ざめる。


「な、なぜでございますかっ!?」


「あなたたちは俗世を離れ、神の教えに従うと決意しました。では金はもう不要でしょう。我々が回収し教会の活動資金にあてさせてもらいます」


「入信手数料だごらぁ! 払えよぼけがぁ!」


「そ、そんな! ていのいいカツアゲじゃないですか!」


 ……そう、魔族狩りとは名ばかりで、実のところ魔族を殺すことは全くしない。


 相手に魔族だろと疑いをふっかけて、入信を強制する。

 断れば魔族と見なし暴力を振るい、無理矢理信者を増やす。


 そして信者の持っていた金を奪い、活動資金として回収する。


 それが、魔族狩りの実態だった。


「口答えすんじゃねえ! 全員天に送ってやってもいいんだぞごら!? あぁ!?」


「デグ、そんな脅すようなマネはいけませんよ。さぁ村長。信者ならば我々の言葉に従って当然ですよね? 従わない場合は、魔族と見なしますが……どうします?」


 もはや、是非もなかった。


「村長……」


 負傷した村人達が、彼らの長を見やる。


「もし……金をあなた方に渡した場合、我々の生活を、無論保証してくださるのですよね?」


 村長が恐る恐る尋ねる。


「我ら教会の仕事は魔族の魔の手から守ることです。生活の保障まではできかねます」


「なっ!? で、では我らはどうやって生きていけばいいのですか!?」


「そこらに生えている雑草を食べ、森の泉で渇きを癒しなさい。ああ、殺生も労働も教典で禁じられていますからね」


 絶望の表情を、外にいる村人全員が浮かべる。


「入信しろ……有り金全部出せ……生活費は出さない……断れば殺す……まるで悪魔だ……」


 ぽたぽた……と村人達が涙を流す。


「我々が悪魔ですと? 侮辱も良いところです。デグ、この不信心者たちを痛めつけてやりなさい」


「よぉっしゃあ! 死ねゴラぁあああ!」


 ハンマーをデグが振り上げた、そのときだった。


「やめろー!」


 村の上空から、炎の翼を生やした少年が降りてきた。


「んだてめぇ……?」

「ぼくはエレン! 冒険者だ!」


 モーロックは窓から身を乗り出し、エレンを見やる。


「ほぅ……君がコミガスから報告があった、我らに楯突いたという少年ですか?」


 ふっ……蔑んだ笑みを浮かべる。


「デグ。このものも魔族です。懲らしめて……いや、殺しなさい」


「そぉおおお来なくっちゃよぉおお!」


 巨大なハンマーを、デグは振り回す。

 

「おれさまのハンマーは神器! 神がお作りになられた最強の武器だ! その性能は桁外れ! てめえみたいな非力なガキは一撃で木っ端微塵だぁあああ!」


 だんっ! と飛び上がって、デグがハンマーをエレンに振り下ろす。


「ひゃはっはーーー! 死ねぇええええええ!」


========

精霊使いへの敵対行動を感知しました。


デグから【神器使用権限】を剥奪します。


========


「な、なんだ急に重く……ぶべぇええ!」


 空中で体勢を崩したところに、エレンの拳がぶち当たる。


 頬に食らった強烈な一撃が、デグを村長宅へと吹き飛ばす。


 壁を破壊し、モーロックの足下にデグが寝そべる。


「ば、バカな! あり得ぬ……デグはトップクラスの戦闘力を持つ祓魔師だぞ!? それをたかが人間のガキごときが一撃で倒すなんて!」


 エレンが窓から中に入ってくる。


「村人さんたちの悲しむ声が、精霊を通してぼくの耳に届いたんだ。君たちのやっていることは間違っている!」


「我ら……天の使いが間違っているだと……この、クソがきがぁああああ!」


 モーロックは懐から銃を取り出す。


 これもまた神器のひとつだ。

 圧倒的破壊力を秘めた光の銃弾を撃ち出す。


 しかし……。


========

精霊使いへの敵対行動を感知しました。


モーロックから【神器使用権限】を剥奪します。

========


「クソッ! この! どうなってやがる! 銃弾が出ない……!」


 それどころか、誤作動を起こし、中の火薬が暴発する。


 銃弾が彼の肩にあたり、肉をえぐる。


「うぎゃぁああああああああああ!」


 大量の血を噴出させながら、モーロックが叫ぶ。


「これ以上村人達に酷いことをするなら容赦しないぞ!」


「ちくしょぉおお! 覚えてろよクソガキぃ! 貴様は天導教を敵に回した! ただですむと思うなよぉ!」


 モーロックは転移結晶を発動させ、デグもろともその場から消える。


「おおっ! 勇者様! ありがとうございます!」


 村長と、そして村人達が涙を流しながらひざますく。


「ゆ、勇者じゃないよ……ぼくはただの冒険者です」

「いえ、我らをお救いになられた! 勇気ある御方、まさしく勇者様です!」


「「「ありがとう、勇者様!」」」


========

精霊使いへの敵対行動を感知しました。


モーロックを含む、天導教に対してペナルティを実行します。


========

【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「ほぅ……君がコミガスから報告があった、我らに楯突いたという少年ですか?」 帰宅途中に襲われて行方知れずになったんじゃ?
[一言] 神と精霊の立ち位置逆やろ 精霊の方が上なのかよ 神の方が上じゃないの?
[気になる点] >「そ、そんな! ていのいいカツアゲじゃないですか!」  ここは異世界なので【恐喝】と言って欲しいです。  村長のキャラ的にも合わないです。
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