39話 水神の討伐
村人を治療したぼくは、村の守り神という水神様のもとへ向かっていた。
「あの……ジェイドさ……本部長。そうとも知らずに普通に話しかけてすいませんでした」
「なに、気にするなエレン君。それに本部長はやめてくれ。今まで通りでいいよ」
ニコニコしながら、ジェイドさんがぼくの隣を歩く。
ギルド本部長。
全国の冒険者ギルドをとりまとめる、ギルド本部。そこのトップ。
恐れ多い相手が……こんなにもくだけた態度で接してくれるなんて。
「しかしエレン君、君はやはり素晴らしいな。呪いを解いただけでなく、また水神が呪いをかけないように交渉しに行くなんて。しかも無償で」
「村人さんたちからお金なんて取れません。お金がなくって困っているっていうし」
ややあって、ぼくたちは開けた場所にたどり着いた。
「湖か。ここに水神がいるのかね?」
「どうなの、ラン?」
『はい、神気を湖の下から感じます。来ます』
水面がもりあがり、ざばぁん、と音を立てながら、【それ】が姿を現した。
「巨大なウミヘビ……かな」
『無礼な下等生物め。われを誰と心得る? 恐れ多くも雨を司る水神であるぞ?』
ぼくらを見下ろして、ふんっ、と水神が小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。
『村の人間か? われに非礼をわび、供物を捧げるならば、呪いを解くことを一考してやってもよい』
「供物って……食べ物のこと?」
『然り。ただし人間だ。若い女か子供を月に1度寄越せ。それ以外は受け付けぬ』
人間を生け贄にしろってことだって!?
「ふざけるな! あなたは守り神なんでしょう? どうして守るべき村人にひどいことするのっ?」
『神であるわれに意見するだと……貴様無礼であるぞ? 教えてやらねばならぬか……神の力をな!』
ぐあっ、と水神が口を開く。
眼前に水球が出現する。
それは極小に圧縮されていく。
やがて、超高速で、ぼくに向かって飛翔してきた。
ザシュッ……!
『終わりだ。わが【超水流】。人間の目では見きれぬ超高速の水の流れ。神に楯突くからこうなる』
「どこ見てるんだ、効いてないよ」
『な、なにぃいいいいいいい!?』
先読みスキルで着弾地点がわかっていた。
だから来る前に避けられたのである。
『くっ……! このぉ! 下等生物がぁ! 調子に乗るなぁ!』
今度は口から、大量の水を吐き出してくる。
「【不死鳥の羽撃】!」
炎の翼から放たれる、広範囲の炎攻撃。
水神の放つ水流とぶつかり合って、激しい蒸気を発生させる。
だがぼくの炎の方が威力が上だった。
水を完全に蒸発させ、水神の体を焼く。
『うぎゃぁああああああああああ!』
水神はビタンビタン! と激しくのたうち回る。
「信じられない……神と互角に渡り合うなど……もはやSランク以上の実力じゃないか」
ジェイドさんが背後でつぶやいている。
「もう悪いことしないって約束して! そうしたら火傷治してあげるから!」
『図に乗るのも大概にしろよぉ! 人間ぅ!』
水神が顔を上げる。
突如として、雨雲が集まってきた。
ぽた……ぽた……と雨が降ってくる。
『いけません! 若様、この雨には呪いが込められておりまする!』
雨を媒介にして、村人に呪いをかけた訳か。
『ふはは! これが神の怒りだぁ! 呪いをより強力に込めた! 数刻もたたぬうちに貴様は病魔に冒され、全身を出来物だらけにして苦しんで死ぬ!』
けれど、ぼくの肌に変化はない。
『なにぃいい!? ど、どうなっている!? 呪いは!?』
「ぼくには……通じない!」
不死鳥の炎が、ぼくとラン、ジェイドさんを包んでいる。
青い白い浄化の炎は、病魔から守ってくれた。
「村人はぼくがこの炎で治した! きみの呪いは無意味だ!」
『そんな……神の呪いを解けるはずがない……い、いったいどうやって!?』
「解呪スキルと不死鳥の炎を合わせて使っただけだよ」
『バカな!? スキルだと!? 精霊の力で神の力を、中和できるはずがない! い、いったい貴様……何者なのだぁ!?』
ぼくは堂々と宣言する。
「エレン、精霊使いだ」
『ふ、ふざけるのもいい加減にしろ! われは精霊使いを知っている。しかし! 神に対抗できるほどの力は無かった!』
水神が本当のことを言っているかは、わからない。
けれどひとつたしかなことは、ぼくの力は……神に通じる。
『くそぉ! こうなったらより強力な呪いを……』
「そうはさせない! 【契約破棄】!」
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精霊使いの能力が発動します。
水神から【水神の神霊核】を剥奪します。
→水神は神格を失いました。
→モンスターへ降格します。
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『ハッ……! 相手から精霊の力を奪う力が、神に効くとでも思っているのか! 雨よ降れ! 村を洗い流せぇえええ!』
しーん……。
『そ、そんなバカなぁ! どうなっているんだぁ! し、神格が失われているだとぉ!』
「もう悪さしないって、約束して。そうしたら力を返すよ」
『くっ……そぉおおおおお! 人間がぁあああああああ!』
ただのモンスターとなった水神が、ぼくらに向かって、突撃してくる。
ぼくは風神の剣を取り出して、その体をなで切りにする。
『あり……えぬ……。人の身で……神を殺すなど……』
首だけになった水神が、ぼくを見上げてつぶやく。
『精霊使いという……枠組みを超越せし……化け物め……』
がくん、と水神が倒れる。
これでもう、呪いに苦しむことはなくなった。
「すごい……すごすぎるぞ、エレン君!」
最後まで見ていたジェイドさんが、興奮気味に言う。
「君は神殺しをやってのけたのだ! これは快挙だぞ!」
「え、そ、そんなすごいこと……なんですか?」
「ああ! 前代未聞だ! 選ばれし勇者ではなく、いっかいの冒険者が神を倒すなど聞いたことがない!」
『さすがエレンじゃ♡ 見事な戦いっぷりじゃったぞ♡』
ふたりに褒められて、ぼくは気恥ずかしかった。
その後、ぼくは村へ移動。
村長達に一部始終を説明した。
「し、しかしエレン様。守り神を失うと、この村が恵みを受け取れなくなるのではありませぬか……?」
「大丈夫です。水神の力はここにあります」
ぼくの右手に、青いきれいな結晶が握られている。
これは水神の力が込められた、神霊核だ。
「精霊さん、この力をあの村に付与して」
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精霊使いの能力が発動します。
【水神の神霊核】の力をコピーし、村の土地神に力を分け与えます。
→成功しました。
→スキル【豊穣(SSS)】を獲得しました。→スキル【天の恵み(SSS)】を獲得しました。
→etc.……
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ぼくが手をかざすと、青白い光が村に降り注ぐ。
雨雲が発生し、雨が降ってきた。
「そ、村長ぉおおおおお! 畑の作物が! 大量に育っています!」
「濁っていた近隣の川が浄化され、魚があふれかえっております!」
『どうやら水神の力は問題なく働いているようじゃな』
村人達は、ぼくの前で土下座する。
「ありがとうございますエレン様! あなた様は救世主でございますぅううう!」
「「「ありがとうございます! エレン様ぁ!」」」
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