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34話 アリの群れ



 エレンの元パーティ・リーダーのザックが、鋼鉄蟻アイアン・アントを解き放ってから、数時間後。


 ナエヴァ山付近の村にて。


「なぁ、なんか鳥がざわついてないか?」


 村人のひとりが、ふと空を見上げていう。

 異常な数の鳥が、一方向へと飛んでいく。

「そう言えば、なんかナエヴァ山のほうから鳥が逃げてくな。なにかあったか?」


「大丈夫だろ、こんな田舎で、そうそう事件なんて起きないしな」


 そのときだった。


 ガサ、ガサガサガサッ……!


「何の音だ?」

「お、おい! あれ見ろ、あれ!」


 村人が叫ぶ。

 それは、大量の【アリ】だった。


 大きさは人間の子供くらい。

 表皮は鋼鉄の色。

 するどい牙は、鋭いナイフのようだ。


「も、モンスターだぁ!」

「逃げろぉ! 大群が押し寄せてくるぞぉ!」


 村人達が逃げ惑う。

 アリたちは統率のとれた動きで、村を蹂躙していく。


 収穫してきた作物を食い散らかし、家々をかじっていく。


「おらの……おらの村がぁ!」

「村長! 逃げるぞ! ぐわぁー!」


 アリたちは村人も襲っている。

 肉食なのか、腕や足にかじりつく。


 複数の巨大アリが群がる様は、根源的な恐怖を与えてくる。


「うぇえええん! こわいよぉ! おかーさーん!」


 村の子供が、しゃがみ込んで泣きじゃくる。


「ほら、逃げるわよ! ああっ!」


 アリの一匹が、子供の母親の足を、牙で斬りつけた。


「おかーさん! おきて! おかーさーん!」


 女の子が母親にすがりついて、ゆさぶる。

 だが母親は出血が多く、青白い顔をしている。


「にげ……なさい……。わたしのことは……おいて……」


「いや! いや!」


 複数のアリたちが、女の子達を取り囲む。

「うぇええん! だれかぁ! 助けてぇえええええ!」


 女の子が泣きさけぶ。

 それをきっかけに、アリたちがいっせいに襲いかかった……そのときだった。


「【不死鳥の羽撃フェニックス・ブロウ】!」


 突如として、熱風がアリたちを襲った。

 アリたちがドロドロに溶けていく。


「え……? な、なに……?」

「大丈夫かい!?」


 空から降ってきたのは、炎の羽を生やした、少年だった。


「お兄ちゃん……だれ……?」

「ぼくはエレン! 冒険者! きみを助けに来た!」


 エレンが笑いかけてくれる。

 女の子は安堵の吐息をつくが、すぐに言う。


「えれん! 助けて! おかーさんが!」


 負傷している母親を見て、エレンがうなずく。


「これくらいなら大丈夫!」


 ばっ、と手をかざす。

 彼の手から、青白い炎が発生する。


「お、おかーさん!?」


 驚いている間に、みるみるうちに、母親の傷は癒える。


「す、すごい! もうなおっちゃった! ありがとう!」

「どういたしまして」


 そこへ、複数のアリが襲いかかる。


「えれん! あぶない!」

「心配ないよ」


 シュコンッ! とアリが切り伏せられる。

 美しい剣を持った、長い髪の女性が立っていた。


「アスナさん! みんなは!」

「ランが分身を使って、村人を避難させているわ」


 アスナが剣を構え、エレン達を守るようにして立つ。


「ヴィヴィアン、この子を連れてって!」


 ずぉ……! とエレンの影から、白い馬が出現する。


「うわぁ! も、もしかしてユニコーン!?」


「さぁ、乗って! 村人のところへ連れて行くんだ!」


 ユニコーンはうなずくと、女の子を背中に乗せ、走り出す。


「えれんは大丈夫なの!?」

「大丈夫! 村はぼくたちが守るから!」


 少年の小さな背中に、しかし女の子は、とてつもない自信を感じた。


「えれん! むらをまもって!」


 ぐっ、と親指を立てる。

 ユニコーンは空を駆けて、女の子を逃がした。


「エレン、わたし嬉しいわ。すっかり頼もしくなったわね」


 アスナが油断せず周囲に気を配らせながら、エレンに微笑む。


「いこう! 村を助けるんだ!」


 襲いかかるアリたち。

 しゅこんっ、しゅこんっ、とアスナが流麗な剣裁きで屠っていく。


 まとまってくるアリたちの眉間に、矢が突き刺さる。


「エレン! ザコをいくら倒しても無駄よ!」


 屋根の上には、エルフの少女・ティナが、短弓を構えている。


「こいつらには、統率しているリーダー……【女王アリ】がいるはず! そいつを倒して!」


「わかった! カレン、いくよ!」


 エレンの背中に、炎の翼が生える。


 だんっ、と地面を蹴ると、中空へと飛翔する。


『おお、もう【不死鳥の飛翔】をものにしたか。さすがエレンじゃ』


「といってもまだそんなに長く飛べないけどね……」


 エレンは耳に手を当てていう。


「ラン、聞こえる? 周囲に女王アリがいないか探して」


 五感共有スキルで、地上にいるランと連絡を取る。


 ランは分身してあちこちに散らばっている。

 さらに嗅覚にも優れるために、敵を探す能力に長けていた。


『若様! 先ほどの村人の避難先に、女王アリがおります!』


「わかった! すぐいく!」


 上空から、ランに場所を指示して貰い、女王アリを探す。


「いた! あそこだ!」


 3メートルほどの巨大なアリが、村人達を襲おうとしている。


 ランが立ちはだかり応戦しているが、彼女は戦闘員でないため倒せないでいた。


「ラン! 風のバリアを張って! カレン、いくよ!」


 バッ……! とエレンが手を前に出す。

 指輪が光ると、ミスリル製の、とてつもなく美しい弓が握られていた。


 グッ……とエレンが弦を引く。

 体から吹き上がった炎が、矢へと形を変える。


「【不死鳥の紅蓮矢フェニックス・バリスタ】!」


 進化した火矢が、超高速で女王アリへと飛翔する。


 女王アリの体に当たった瞬間……。


 ドゴォオンッ! と、激しい爆発を起こす。


 それは地面を削り、森を削り、雲すらも削った。


 衝撃波で木々は吹っ飛び、熱波で炭化していく。


 やがて、衝撃が収まると……あとにはなにも残っていなかった。


「な、なんという威力……まるで、火の神が落としたもうた一撃のようじゃ……」


 村人達は、ランの張った風のバリアのおかげで、全員が無傷だった。


 彼らは皆、ひざまずいて、上空のエレンを見上げる。


「火の神さま! ありがとう!」

「村を救ってくださり、ありがとうございます!」

「えれーん! ありがとー!」


 その後、統率者を失った鋼鉄蟻は、三々五々散らばっていく。


 エレンは仲間と協力し、その全てを殲滅した。


 Sランクパーティ【緋色の翼】の大活躍は、広く知れ渡ることとなる。


 そして……その一方で、今回の騒動を引き起こした張本人の、断罪が行われようとしていたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] これって本来は被害にあう必要があるのはザックだけなのに知らずに依頼を受けた冒険者と村が被害にあうのはおかしい。 それだったら早く始末をしておくか悪意を持った時点で一人だけ被害を受けるようにす…
[良い点] 特に無し [一言] 災害級の無自覚エレンに、そろそろおなか一杯。
[一言] 今回の騒ぎの原因は、 モンスターハウスの扉を開けたザックか。 モンスターハウスに送り込んだ精霊か。
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