28話 家、買います(※呪いの館)
ぼくたちはパーティ【緋色の翼】を結成した。
今後の活動に際して、アスナさんがこう提案した。
『まずは活動の拠点を用意しましょう。つまり、パーティ・ホームを購入するのはどう?』
宿屋に毎日泊まると、結構お金が掛かる。
中古の物件でもいいから、家を買うのはどうかという提案に、ぼくたちは乗ることにした。
冒険者ギルド経由で不動産を紹介して貰い、そこから中古の家を購入した。
「ここがその家みたいだね」
トーカの街の片隅に、目的の家はあった。
『完璧に呪いの館じゃな、これ』
見た目は、少し小さめの洋館だ。
壁はびっしりと蔦が生えている。
庭の草はボウボウ。
周辺には大量のカラスが舞っている。
「「…………」」
「じゃ、行こうか」
「「ちょっと待って!」」
アスナさん達がぼくの腕を掴む。
「この家は……ちょっとやめておかない?」
「そ、そうよ! 他にももうちょっとまともそうな家あるはずでしょ!?」
「でも広そうだし、手頃な値段だったし、庭もあるし、よさそうじゃない?」
確かに草ボウボウだけど、草刈りすればいいだけだし、掃除すれば結構この家も見栄え良くなると思う。
「そ、そうね……外見だけで決めちゃ駄目ね」
「そうそう、じゃ、さっそくお家のなかを見に行こう」
ややあって。
屋敷の中は、外から見るよりも整っていた。
「壁も天井もしっかりしてるね」
ひび割れもしてないし、天井に穴も空いていなかった。
「え、エレン……あなた、どうして平気なの?」
ブルブルとアスナさんが震えながら、ぼくに尋ねる。
「みんながいるし、怖くないよっ。それにランがいればどんなものが出てきても教えてくれるし。ね?」
ランが尻尾を、パタタタタタッ! と激しく振る。
『お任せください! このラン、若様の忍びとして、最高のパフォーマンスをお見せいたします』
ぼふんっ、とランは人間の姿に変化する。
「うー、はぁ! スキル【影分身】!」
その瞬間、ランが数人に分裂した。
「いきますよ! このお屋敷を、隅から隅まで、徹底的にお掃除するのです!」
「「「おー!」」」
だっ……! とランの分身たちが散らばる。
部屋の様子を確かめつつ、手が空いている分身は、屋敷の掃除を始めた。
一方で、ぼくらは家の中を探検する。
「わぁ! こんなに広いお風呂があるなんて!」
女子チームが、浴槽を見て目を輝かせる。
「ちょっと、床が大理石よ! 魔法シャワーまで……わっ! サウナよ! アスナ!」
次にぼくらは寝室を見て回る。
かなり部屋数があった。
「天蓋付きのベッドじゃない! アタシこういうの使ってみたかったの!」
ティナは目を輝かして、ベッドにダイブする。
「全ての部屋にこのような立派なベッドや調度品が置いてありました。どうやら元は貴族の屋敷だったみたいですね」
「お貴族様は、どうして屋敷を手放したんだろうね?」
そのときだった。
「きゃぁああああ!」
「ど、どうしたのティナ!?」
ベッドに寝そべっていたはずのティナが、ズブズブ……とマットに沈んで行くではないか。
「た、助けてエレン!」
ぼくは急いで駆け寄って、ティナの腕を引っ張って助ける。
「きゃんっ」
勢い余って、ぼくらは後ろに転ぶ。
「た、助かったわ……ありがとうエレン」
「う、うん……その、どういたしまして」
ぼくは目線をそらす。
彼女がぼくを押し倒して、体に覆い被さっている。
襟の隙間から、ティナの乳房が覗いた。
わわ、ぶ、ブラ……してなかった……。
バッ……! とティナが顔を赤らめて、起き上がる。
「み、見た……?」
「ご、ごめん……」
「……別に、エレンにならいいわ。アタシの……胸。見られたの……初めてよ……」
耳の先まで真っ赤にして、ティナが恥ずかしそうにつぶやく。
「こ、こほんこほんっ! ふたりとも、無事で何よりだったわっ」
アスナさんが近寄ってきて、ぼくを抱き寄せる。
「でも、今の何だったんだろう?」
バンッ!
窓ガラスに、突如として手形ができた。
よく見ると血でできていた。
バンッ! バンッ! バンッ!
「「きゃぁああああああ!」」
アスナさん達が、ぼくに抱きつく。
果実のような甘酸っぱい香りと、花のようなとろけるような甘い匂いに包まれて、クラクラする。
窓ガラスには、一面に血の手形がついていた。
「の、呪いよぉ! ここは呪いのやかたなのよぉ! いやぁああああああ!」
長い髪を振り乱し、彼女がぼくをむぎゅーっと抱きしめる。
「あ、アスナさん落ち着いて……くるじぃ……」
ぐい、とアスナさんを押して、ぼくは窓に近づく。
「エレン! 危ないわ! 呪い殺されちゃう!」
「大丈夫だよ。えっと……こんにちは。ぼくはエレンです。君は?」
ピタッ……! とバンバンという音が止まる。
「ど、どうなってるの……?」
困惑するティナ。
ぼくは窓を開ける。
すると、ふわり……と【何か】が入ってきた。
姿は見えない。
けれど、存在を感じ取ることはできた。
『どうやらここの土地神のようじゃな』
「土地神ぃ!?」
「す、すごいわエレン……土地神と交信するなんて……」
ぼくの脳内に、土地神さまの思考が流れ込んでくる。
「そっか……もともと君を奉る社があったんだね。けどお貴族様はそれを壊して、君にことわりもなくお屋敷を建てたんだ」
酷い、なんて酷いんだ。
========
精霊使いへの敵対行為を確認しました。
貴族【ランページ男爵】に対して罰を実行します。
ランページ男爵の屋敷に雷の魔法を落とします。
成功しました。
========
「悲しかったね。そうだ! 新しい社を作ってあげるよ!」
========
精霊使いの力が発動します。
望む精霊を呼び出します。
スキル【錬成】を入手しました。
========
ぼくたちはいったん外に出る。
地面に手を置く。
すると土がボコッ! と盛り上がる。
それは粘土細工のように変形する。
材質が変化して、立派な社になった。
「錬成って、たしか物体の形を変えるだけのスキルだったはずよ? ここまで大規模な建造物は作れなかったはず……す、すごい……」
ティナは目を丸くする。
土地神様は、喜んでいる様子だった。
「みんな、ここに住んで良いって!」
「すごいぞエレンよ! 呪いの屋敷の問題も解決するなんて! すごいすごい♡」
カレンがお姉さんの姿になって、ぼくに抱きつく。
「焼き鳥ぃいいい! 無礼だぞ! 若様に抱きついてうらやましぃいいいい!」
きゃあきゃあ、と賑やかに精霊達がはしゃぐ。
これだけ大きな屋敷なら、彼女たちものびのび暮らせるだろう。
こうして、パーティ・ハウスを手に入れたのだった。
【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】
少しでも、
「面白かった!」
「続きが気になる!」
と思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!!!!
評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。
今後も皆様に喜んでいただけるような、面白い物語を提供したいと思っています。
是非ともブックマークして、連載追いかけてくださいますと幸いです。
読者の皆さまのポイントが、ものすごく励みになります!
なにとぞ、よろしくお願いします!!!!!




