23話 治療と契約
少女ティナに連れられ、ぼくたちは森の中の湖へとやってきた。
そこには1匹の、ユニコーンがいた。
「すごいわ……伝説の神獣が、今目の前に居るなんて……」
アスナさんが呆然とつぶやく。
ティナが湖に、ザブザブと入っていく。
ユニコーンは湖の上に浮いていた。
というか、うずくまっている。
ティナがぬれながら、ユニコーンを連れて、ぼくたちの元に来た。
「エレン、お願い。この子を治してあげて」
ユニコーンの首筋には、蛇にかまれた傷跡があった。
『強力な呪毒がこやつの体をむしばんでおる。神獣を殺すほどの強力なやつじゃな』
「すぐに治療しよう」
ぼくはしゃがみ込んで、傷口に手を置く。
この子を治したい、と念じながら力を使う。
ボッ……! と青白い炎が、ユニコーンを包む。
「だ、大丈夫なの!? ねえ!?」
慌てて立ち上がったティナを、アスナさんが抱き留める。
「大丈夫よ。エレンの力を信じて」
不死鳥の炎は傷を、そして体をむしばむ毒を焼いていく。
必要ないものはいっさい焼かない。
やがて、傷口は完全に塞がる。
ぼくは能力を解除する。
「ぶるるる……! ひひーん!」
ユニコーンは立ち上がると、元気いっぱいにいなないた。
「ヴィヴィアン! 良かった! 治ったのね!」
ティナが涙を流しながら、ユニコーンに抱きつく。
「良かった……良かったぁ……」
ぽろぽろと涙を流す。
その涙をユニコーンが、ペロペロとなめていた。
『見事な手腕でございます、さすが若様!』
『すごいぞエレン。おぬし治癒の炎のコントロールが上手になっているではないか♡ 神殺しの呪毒をこんな短時間で治すとは、あっぱれじゃ♡』
落ち着いたらしいティナは、ぼくに頭を下げる。
「本当にありがとう、エレン! あなたは命の恩人よ!」
パサッ、とティナのかぶっていた外套のフードが、外れる。
ぴょこっ、ととがった耳が覗いた。
「長い耳……? キミって……エルフなの?」
「え……? あっ!」
バッ! とティナがフードをかぶりなおす。
「み、見た……?」
「う、うん。ごめん……」
ティナは諦めたように、ため息をつく。
「……おかしいでしょ。エルフのくせに、魔法が使えないなんて」
毒大蛇に襲われたとき、ティナは魔法で退治できなかったといっていた。
「そっか……長い耳を見ればエルフだってわかってしまうものね。だから隠していたの?」
「……そのとおりよ。まあ、もういいのよ。才能が無いのは生まれつきだし」
それより、とティナが改めて言う。
「ユニコーンを……ヴィヴィアンを治してくれて本当にありがとう。この子に代わって、最大の感謝をささげるわ」
ティナがまた深々と頭を下げる。
ユニコーンも、膝をついて、頭を垂れてきた。
「気にしないで。ぼくはぼくのできることをしたまでだから」
ぼくはユニコーンに近づいて、たてがみに触る。
「元気になって良かったね、キミ」
「ぶるひひーん!」
ユニコーンがいななく。
「そ、そんな! ヴィヴィアンがアタシ以外に、触れさせるなんて!」
ティナが驚愕の表情を浮かべる一方で、ヴィヴィアンがすりすり、とぼくに頬ずりしてくる。
そしてペロペロと、ぼくの顔を舐めてきた。
「わっぷ、く、くすぐったいよぉ」
「ひひーん! ぶるるぅっ!」
「なっ!? なんですって!?」
ティナはヴィヴィアンの言っていることが理解できているようだ。
「なんて言っているの?」
「あなたと契約を結びたい……って」
すっ……とヴィヴィアンがぼくの前でひざまづく。
「あり得ない……気位の高いこの子が、誰かに頭を下げているなんて……」
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【一角神馬】と契約を結びました。
【一角神馬】の神霊核を獲得しました。
【一角神馬のスキル(SSS)】を獲得しました。
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「ば、バカな……」
カレンがヒヨコから、人間の姿に変化する。
「そ、そんな……おかしい……」
「どうしたの、カレン?」
ぼくはヴィヴィアンの頬をなでながら言う。
「エレンよ……。こやつは神獣じゃ。大精霊ではない」
「え、うん。それが?」
「気づかぬか……神獣と契約し、おぬしはスキルを得た。精霊ではない相手とじゃぞ?」
「あ……そう言われると、そうだね」
「神獣と契約する精霊使いなぞ、聞いたことがないのじゃ……」
「さっすがは若様! ああ! 素晴らしいです!」
ランも人間の姿になって、ぼくにむぎゅーっと抱きついてくる。
「若様が特別でスペシャルでワンダフルってことですよね! すごい! すごいですよ若様ー!」
「……【カルラ】それに【アドラ】よ。おぬしらの息子は、とんでもない運命を担っているようじゃぞ」
ややあって。
ヴィヴィアンがぐいっ、とぼくの首根っこを掴むと、ひょいっと持ち上げる。
そのまま、彼女の背中に乗せて貰った。
「なんですってぇえ!?」
ティナが驚愕の表情を浮かべる。
「ゆ、ユニコーンが……人間の男を背中に乗せるなんてッ!」
「そんな驚くことなの?」
「当たり前よ! ユニコーンは純潔の乙女としか交流を持たない。それにプライドも高いから、誰かを背中に乗せるなんてあり得ないわ! アタシだって乗せて貰ったことないのに……」
ティナが呆然とつぶやく。
「ほんと、エレンは軽々と常識を覆していくわね。すごいすごい♡」
アスナさんに同調するように、ヴィヴィアンがいなないた。
ぼくを乗せて、湖の上を軽やかに走る。
それどころか、空も駆けてくではないか。
「わー! すごい! 空飛んでいる!」
天をかけた後、ぼくらは地上へと戻ってきた。
「ヴィヴィアンはすごいね!」
「いやいや、ユニコーンを服従させた、おぬしが一番すごいからな、エレンよ」
よいしょ、とぼくがヴィヴィアンから降りる。
「さて、と。ヴィヴィアン、あなたこれからどうするの?」
ティナがユニコーンに尋ねる。
「ぶるひひんっ!」
「……そう。エレンについていきたいのね」
彼女が目を閉じて、しばし何かを考えて、言う。
「ねえ、エレン。お願いがあるの」
ティナはぼくの前で、ぺこっ、と頭を下げた。
「アタシを、あなたの仲間に、入れてくれないかしら?」
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