表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/263

15話 ザックの失敗、ソロで迷宮探索



 ディーナと別れた後、ザックはギルドへ行って金を借りた。


「おいおいザック、さらに借金なんてしていいのかよ?」


 知り合いの冒険者が、ザックの身を心配して言う。


「確かにSランクパーティは、ギルドから借りられる額がほかのランクより高い。けど限度額はあるし、返せないと奴隷落ちしちまうぞ?」


 ザックは不機嫌な顔になると、知り合い冒険者を殴った。


「いってぇなぁ! なにすんだよ! 心配して言ってやったのに!」


「うるせぇぇぇ! 下に見た発言するんじゃあねえぞクソが!」


 苛立ちげにザックが言う。


「いいか!? おれはSランク! 最高峰の冒険者なんだ! 誰の指図も受けねえ!」


「Sランクだからって偉そうにしやがって! そんなに強いことが偉いのかよ!」


「ああ偉いさ! 強さは絶対的な価値! 弱い人間は価値のない人間なんだ! 強者に逆らわずうつむいて歩きやがれカス!」


 言いたいことだけ言って、ザックはその場を離れる。


 借りた金で、ザックは装備一式をそろえた。


「そうだ。スキルがないからってなんだ。おれには名だたる強敵と戦ってきた自負けいけんがある。ちゃんとした武器があれば負けるわきゃねーんだ!」


 結局のところ、ザックは理解していないのだ。


 彼の持っていた【勇者のスキル】。

 もっと言えば、精霊使いエレンによる恩恵が、どれほど自分を強くしていたか……。


 さておき。


 武器を得たザックは、前回失敗したダンジョンへと向かって歩いていた。


 仲間を募ることはしなかった。

 というか、できなかった。


「クソッ……! どいつもこいつも、おれを疑いやがって……! 何が、『ザックの仲間になったら、ピンチのときに裏切られるかも知れないから怖い』だ。そんなことしねーっつーの!」


 エレンを置き去りにした悪評は、すでにギルド中に伝わっていたのだ。


 結果、仲間にならないかと呼びかけても、誰ひとりとして良い返事をしなかったのである。


 まごう事なき、自業自得だった。 


「まあいい、もとより仲間を組むのはウザくて嫌いだったんだ。おれの活躍の場面が取られちまうからよぉ……」


 リュックに荷物をいれてザックは草原を歩く。


 強烈な夏の日差しが、頭上から照りつけてくる。


「クソッ……! あちぃ……重い……荷物って意外と重いなクソ……」


 今まで荷物はエレンのオオカミに運ばせていた。


「こんなに重いなら全部置いてくれば……いや、もしものことがあったらマズいし……くそ! 煩わしいなぁ!」


 ややあって。


「ぜぇ……! はぁ……! や、やっとついた……」


 ダンジョンの入り口までやってきた。


 すっかり体力がなくなり、一歩も動けなくなる。


「荷物邪魔すぎる……くそ! なんでこんなときに荷物持ちがいねえんだよゴミテイマーがよ……」


 リュックから飲み水を取り出し、のどを潤す。


 回復アイテムだけでなく、水筒だって必要なのだ。


 冒険の際の荷物はどうしても多くなってしまう。


 冒険者達はあまり重視しないが、荷物持ち役ポーターは地味に重要なポジションなのだ。


「一息ついたぜ。よし、いくか」


 リュックを背負い、ザックは洞窟へと侵入する。


「来るのは2回目だからよぉ。迷うことはまずないぜ。道もほら、1本しかねえ。あんなテイマーいなくても迷いっこない」


 と、調子に乗っていられたのは、最初の数分だけだった。


 ダンジョンはよく生き物に例えられる。

 

 体内に無数の血管や神経があるように、迷宮内の通路も数えきれぬほどある。


 一度来たことがあるからといって、覚えていられるものではない。


「くそっ! ミスった! どこから来たかわかんなくなった!」


 案の定、ザックは迷ってしまった。


 前回ダンジョンから脱出できたのは、往路でエレンが、光る小石をまいてくれたからだ。


 これは魔力を込めると光るという、魔法道具だった。


 だが数日経って魔力は消え、ただの小石となってしまった。


 正解のルートがわからず、迷子になってしまった次第。


「どうすりゃいい……! どうすりゃ……!」


 そのときだった。


「グルルルゥウウ……!」


 前方から、大型の黒い犬が出てきた。

 頭に骸骨をかぶっている。


「【地獄犬ヘルハウンド】……Dランクか。へっ! ザコだな」


 ザックはリュックを放り投げ、新しい剣を引き抜く。


犬人コボルトとの戦いの時は、剣が刃こぼれしてたせいで上手くキレなかった。だがこれは新品! もう負ける気がしねえ!」


 剣を構え、地獄犬と相対する。


「来やがれザコが!」


 敵は吠えながら、地を這うように襲いかかってくる。


 飛びかかってきたところに、ザックは剣を振る。


「おら死ねぇ!」


 すかっ!


「なっ!? あたらねえ!?」


 がぶっ! と強く腕をかまれた。


「うぎゃぁああああ!」


 痛みで剣を落とす。

 腕をメチャクチャに振ってみるが、地獄犬は離さない。


「ちくしょおぉ! 離せぇ! くそ! なんで剣があたらねえ! 前は適当にふるだけで当たったじゃねえかぁ!」


 さもありなん。

【自動攻撃追尾】は、勇者のスキルのひとつだ。


 攻撃が必中となるスキルを失ったのだ。

 適当な攻撃がモンスターに当たる道理もない。


「はなせっ! はなせぇ!」


 だが牙が肉に食い込み、血がだくだくと流れ出る。


 ザックは必死になって、地獄犬の頭を蹴飛ばした。


「いてえ……す、すぐに回復を……」


 だが、敵はザックを休ませてくれない。


「グルルウゥ!」

「バウバウッ!」

「アオォオン!」


 ダンジョンの奥から、地獄犬の群れが出てきたのだ。


「近くに仲間が居たのかよ! チクショウ!」


 無論エレンがいれば、敵の接近をすぐに知らせてくれた。


 そもそも敵の少ないルートを選んでくれただろう。


 だが、もう彼はいないのだ。


 いっせいに、地獄犬が襲いかかってくる。


「ひ、ひぎいぃいいいい!」


 ザックはみっともない声を上げて、いちもくさんに逃げ出す。


 リュックも武器も放り投げて、惨めに泣きながら走る。


 しかし出口の位置もわからないまま逃げたところで、捕まるのは時間の問題なのであった。

 

【※読者の皆さまへ、大切なお願いがあります】


少しでも、

「面白かった!」

「続きが気になる!」


と思っていただけましたら、ブックマークや評価を、是非お願いします!!!!


評価はページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後も皆様に喜んでいただけるような、面白い物語を提供したいと思っています。

是非ともブックマークして、連載追いかけてくださいますと幸いです。


読者の皆さまのポイントが、ものすごく励みになります!


なにとぞ、よろしくお願いします!!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 頭も悪かったようで…武器を放り投げてどうする。 運良く戻れても、スキル無しで逃げられる訳もなく犯罪奴隷落ちでしょうね。 ディーナは借金はないけど、あのプライドの高さじゃ先が知れます。 精霊の…
[一言] 面白いです がんばってくださいヾ(*・ω・*)ノ
[気になる点] 頑なに自分は強い、あいつは役立たずって思い込んでるこの手の表現は他作品でもよくありますけど、普通に考えてこんな奴いねえよって感じで現実味が出ないんですよね。あとすでに食傷気味で飽きてき…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ