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異世界唯一の男性魔術師《ウォーロック》  作者: 時好りを
二章 焔の剣士と魔術師ギルド
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Cランク冒険者

「……何ですか?」

 俺は怒鳴ってきた3人組に怪訝な顔をしながら返事する。

「お前! 何でマリーさんと仲良さそうに喋ってるんだ!」

「……はぁ?」

 3人のうちのリーダーっぽい青年の言動が理解できなくて素っ頓狂な声を上げてしまう。

「はぁ? じゃねぇんだよ! 俺と変わらないような年の奴がなんであんなに仲良さそうなんだって聞いてるんだよ」

「仲良さそうって……(愚痴ついでに怒られてただけなんだが)」

「どう見ても仲良さそうだったじゃねぇか! 羨ましいんだよてめぇ! 俺たちだって仲良くしたいのによ!」

「・・・あなたも仲良くしたらいいじゃないですか。話しかけたら普通に話してくれると思いますけど?」

「そうじゃねぇえだろ! 普通に仲良くしてどうすんだよ! こう! もっとなんかあるだろう!」

「あ~……もしかして恋愛とかそういう方向でですか?」

「……そうだけど……はっきり言うなよ。恥ずかしいだろ……」

 顔を少し紅潮させて俯くリーダーの青年。

(うわぁ……めんどくさいなこの人……)

「はぁ……絵tんじゃあもうすぐマリーさん戻ってくると思うんで。俺が紹介しますよ」

 俺は溜め息交じりにそう提案する。

「はぁ? いやちょっと待ってくれよ! いきなりそんな事言われても心の準備が……」

「あ~やっぱりこの人めんどくさいな……」

「思ってても口に出すんじゃねぇよ!」

「すいません……ていうか自覚あったんですね?」

 謝りながら目の前の彼に少しだけ好感を持っていると3人組の後ろにこちらに歩いてくる腰に剣を差した金髪の男の姿が見える。

「俺にも紹介して欲しいもんだな……こんな奴らより先に……よっ!」

 そう言いながら男はリーダーの青年の背中に前蹴りを食らわす。

「ぎゃ!」「「ガイ!」」

 後ろから蹴られて受付に叩きつけられる青年に驚いて他の2人も彼の名前を呼ぶ。

「ごほっ……ごほっ……」

「……なんすか? あんた」

 俺は咳き込む青年を横目で見ながら金髪を睨む。

「さっきこのギルドに着いたら受付に美人がいるからよ。お近づきになりたいと思ってたらお前らみたいなガキが紹介だのなんだの言ってたからな。だったら俺もご相伴に与ろうと思ってな」

 金髪の男は端正な風貌に嫌な笑みを浮かべながら俺に説明する。

「……それなら彼を蹴る必要は無かったと思うが?」

「あぁ? そいつが邪魔だったから蹴っただけだ。そんな雑魚に紹介してやるんだ。俺にも当然紹介してくるんだよなぁ?」

「……悪いがあんたに紹介できるような性格の悪い知り合いは俺にはいないからな。あきらめてくれ」

「なんだと……てめぇ!」

「だから性格の悪い奴に紹介できる人間はいないって言ったんだよ。わかったらあきらめろ」

「ははは……この俺にそこまでの口を利くとは殺されても文句は言えねぇぞ……」

 端正な顔を歪ませながら金髪の男は呟く。

「殺されて文句が言える奴がいたら見てみたいもんですけどね」

「てめぇ……表に出ろ! そこで俺の言うとおりにしなかった事を後悔させてやる」

 そう言って背を向けてギルドの外に向かって歩き出す金髪の男。

(はぁ……最初思ってたのとは違う方向でめんどくさくなったな……)

 俺は頭の中でこの状況を嘆く。

「おい……お前」

「大丈夫ですか? 結構強く蹴られたみたいですけど」

 俺は話しかけてきた青年を怪我が無いか観察する。

「そんなことよりお前のほうこそ大丈夫かよ? あいつが持ってた剣から察するにあいつ貴族の冒険者だぞ」

「そうなんですか?」

「ああ剣に家紋が入っていた。おそらく他所から依頼で来たんだろう。きっと高ランクの冒険者だぞ」

「高ランクっていうと具体的には?」

「は? さすがにこんな田舎にAランクやBランクが来るって事ははないだろうからCランクかDランクだと思う」

(Cランクか……さすがにギルドマスターより強いってことはないだろうが……万が一のときは魔術師とバレるような魔法を使う必要があるかもな)

「おいお前聞いてるのかよ? 高ランクなんだぞ? 殺されちまうぞ」

「そうならないようにがんばりますよ。それじゃ行ってきます」

 そう言って俺は心配するような視線を背中に受けながらギルドの扉を開けて外に出た。


「ハハッ! またマイクさんの悪い癖が出ちまったか。女絡みになるとすぐトラブル起こしてしまうからな~」

 タスクが出て行った後のギルドの中で揉め事の様子を見ていた冒険者グループの中の一人がそう声に出す。

「おい! お前らあの金髪の知り合いか?」

 焦った表情で話しかける別の席に居た冒険者。

「ん? ああ護衛の依頼で今日一緒にこの村に来たが……それがどうかしたのか?」

「悪いことは言わない! 今すぐあの金髪を止めろ!」

「随分お優しいんだなこのギルドの連中はあんな小僧の心配してやるなんてよ」

「違う! そうじゃない! 俺が心配しているのは金髪のほうだ」

 首を横に振りながらそう話す冒険者。

「はぁ? お前何を言って……」

「数日前このギルドで名を売っていたDランクの冒険者があの男に喧嘩を売って半殺しにされた」

「な! で……でも問題ないはずだ。マイクさんはCランクの冒険者だから負けはしないよ……」

「……あの金髪はDランクの冒険者をたった2発で再起不能にできるような奴なのか?」

「……なんだよそれ?」

「それぐらいできなきゃあの優男に勝てないってことさ……」

 その言葉を聞いて金髪の仲間達は言い知れぬ恐怖を感じながら外の様子を見るために席を立った。

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