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閑話 面白い男

「ふー……」

「大丈夫か、リカルド君?」

「はい。お見苦しい所をお見せしてしまいすみません」


 しっかり者のリカルド君が酔うなんて本当に珍しい。あまり表には出していないけど、王家から直々に国境の安定を任されたのが重責になっているのかもしれない……。


「……デミトリ殿は武勇もさることながら、中々に頭の切れる御人で驚いた。知己を得る機会に恵まれて嬉しい限りだ」

「周りが見えているのに、自分の事となると客観視出来ていないのが少し心配ですが……融資の申し出を受けている事について見抜かれたのは驚きました」


 アムール王国がエリック殿下に働いた無礼への謝罪として、領土を割譲しセヴィラ侯爵家がヴィーダ王国に加盟すると王家から発表されるや否やラリオン子爵家からとんでもない連絡が届いた。


「辺境伯家相手によくあんな条件で交渉しようと考えましたね」

「融資条件も我々の足元を見た、宣戦布告と受け取られてもおかしくない暴利だったからね……デミトリ殿が言ってた『付け入る隙』になるような、財政状況を許した私の責任だが」


 手紙だけでなく融資の契約書類まで同封していたのには心底呆れてしまったが……あれは正式な書式だったし、馬鹿げた条件とはいえ一朝一夕で纏められる内容ではなかった。前々から目を付けられていたんだろう。


「……恐らくデミトリさんの案が通ると思いますが、その後も油断は出来ないですね」


 ヴィラロボス辺境伯家が資金の調達に成功したと聞いても、ラリオン子爵は引き下がらないとリカルド君は思っているのか……国境警備と幽氷の悪鬼対策にばかり生涯を捧げた結果、私はそう言った駆け引きがあまり得意じゃない。


 リカルド君に頼りきりにならないように、しっかりしなければ……??


「今、デミトリ殿の案が通ると?」

「ええ」

「賠償金の件か? あの提案には驚いたが――」

「だってあれはデミトリさんのお金ですよ?」

「ん?」


 聞いていた話と違うな??


「先程のやり取りでお義父さんも気付いてると思いますけど、デミトリさんはああ言う性格じゃないですか? エリック殿下は賠償金をそのままデミトリが受け取るのを拒否するのを見越して、ヴィーダ王やアルフォンソ殿下に相談して王家が預かる形で収めようとしていたんです」

「それは初耳だな……デミトリ君に気付かれないように貯金してあげるような感覚かな?」

「はい。エリック殿下から相談の手紙が届いた時額が額なのでそのまま放置せず、信託資金のように運用する事も視野に入れるべきかもしれないとアルフォンソ殿下と話していましたが……当の本人がヴィラロボス辺境伯家とセヴィラ侯爵家の支援に投資するべきだと考えているのであれば、王家としてもそれを却下する理由はありません」


 そんな事になっていたのか……ボルデを救ってくれた英雄にこれ以上頼ってしまってもいいのだろうか? せめて、しっかりとお礼をしたいものだが……。


「……そもそもデミトリ殿はあの賠償金が自分のお金と言う意識が無いし、お礼をしたいと言っても要らないと言いそうで困るな……」

「そうですね。お礼をしたいと言ったら辞退すると思いますけど、お礼をされたらそれを受け取らないような無粋な真似はしないと思うので、一方的に感謝してしまった方が楽ですよ」

「ほう……随分と扱いに詳しいな?」

「ヴィーダ王国とグローリア様第一で、自分の事は二の次の王子殿下に何年も仕えてますから」


 リカルド君が側近として傍に居るアルフォンソ殿下も、似たような性格なのか。


「デミトリさんには本当に感謝しかありません。これから忙しくなりますが、最大の懸念だった事業開発資金の目途が立ったので楽しみですね!」

「色々と任されて辛い思いをしていないか心配だったが、楽しめている様で何よりだ」

「ヴィラロボス辺境伯家の安定は愛しのナタリアの為ですし、何より面白い人との仕事程充実しますから」


 リカルド君もかなり面白い寄りの人間だと思うけど……ナタリアが良い出会いに恵まれて良かった。

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