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第473話 何があった?

「デミトリはアムールで大変な思いをしたから、息抜きも兼ねて冒険者ギルドの依頼を請けて欲しいってお願いしたつもりだったんだけど……色々あったんだね」


 ヴィラロボス辺境伯邸の一室で、エリック殿下が隠し切れない葛藤を息に乗せながら力なく呟く。


 不在中の動向について話始めてからずっと複雑そうな感情を浮かべていたエリック殿下の反応に、申し訳なさを感じずにはいられない。そもそも、俺が妙な事に巻き込まれなければ殿下の気遣い通りになっていたはずで……。


「……あまり認めたくはないが、俺はそういう星の下で生まれたんだろう。殿下のせいじゃないから気にしないでくれ」

「気にするよ! まあ……一旦は諸々丸く収まりそうで本当に良かったよ。ニルからも聞いてると思うけど、アイリスを保護する事に僕も王家も賛成だから心配しなくても大丈夫だよ」

「! ……ありがとう」


 エリック殿下の独断ではなく王家としての回答を得られたのは予想外だったが、ヴァネッサ達から報告があった後伝書鷹で王都に居るヴィーダ王達にも確認したのだろうか?


 いずれにせよ、俺が勝手に保護すると決めた手前ずっと断られてしまったらどうしようと考えていたため心のつかえがとれる。


「俺の方からは以上だが、エリック殿下は……」


 話始めたのは良いものの言葉に詰まってしまう。ニルから事前にお願いされたとは言え、王族に対して急に何か困っていないか聞くのもおかしな話だ……。


「……変わらず過ごしていたのか?」

「今、すごい間が無かった?」

「それは……気楽に接してくれているが、王族相手に近況を確認する機会なんてそれこそ今回が初めてだ。言葉選びに戸惑うのは大目に見てくれると助かる」


 俺の対人能力で回りくどい問答をしていても意味は無いと割り切り、冗談交じりではあったが本音をそのまま伝えるとエリック殿下が微笑み、少し考える素振りを見せてから急に表情に影を落とし座ったまま頭を抱えた。


「!? 大丈夫か――」

「どうしよう……!」


 森でよく見かけた赤褐色の幹が印象的だった木から削り出されたであろう、重厚な存在感を放つ椅子の上で嘆くように身を丸めたエリック殿下は一際小さく見えた。


 ヴィラロボス辺境伯邸の客室には今俺と殿下とイバイしかいないため気が緩んでいる部分もあると思うが、いつにも増して覇気のない殿下の様子になんと声を掛ければいいのか分からない。


「すまない、状況が全く理解できていないんだが……何があったんだ?」


 俺が冒険者ギルドの依頼で不在中だった出来事について話している時は普段通りだったので、ニルが言っていた相談事もそこまで深刻ではないと踏んでいたのだが……。


「なんて言えばいいのかな、その……」


 頭を上げたエリック殿下が振り返った先に立っていたイバイが、見た事が無い程バツが悪そうな表情を浮かべながら肩をすくめる。


「……すごく、凄く簡単に纏めるとナタリアとヴァネッサとセレーナを怒らせちゃったんだ……」


 エリック殿下からしてみたらかなりの決意を持ってやっと絞り出せた回答みたいなので、俺がニルから既に聞いていたとは言わない方が良さそうだな……ただ、この調子だと全く話が進まない。


 そもそも、エリック殿下が進んで彼女達を怒らせるような事をしたり言ったりするのは想像できないが……。


「説明するのがちょっと難しくて……」

「難しくても構わないから話を聞かせてくれないか? エリック殿下が進んでヴァネッサ達を傷つけるような事をしないのは知っている。擦れ違いなのか何だかわからないが、何が原因でヴァネッサ達を怒らせてしまったのかが分かれば俺も蟠りを解く手伝いを出来るかもしれない」


 再びイバイと顔を合わせた殿下が、少し考えた後重い口を開く。


「実は――」 

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