表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
518/530

第472話 不和

「待っててくれて偉いぞ、アイリス」

「約束は守っただろう?」

「うん!」


 ニルとの会話を終えてそりの傍で待ってくれていたアイリスとカミールと合流した。


 会話中ずっと視界の端で俺達とアイリスを交互に見ながら心配そうにしていたカミールが、安心した様に大きく息を吐いたのが印象的だが……そこまで気を張る必要はあったのだろうか?


「早速話を進めてしまって悪いが、デミトリからアイリスに説明して貰えないか?」

「そうだな……アイリス、今日の夕飯は一緒に食べられない」

「……なんでいっしょにたべられないの?」


 本当に説明が難しいな……。


 貴族や王権と言った物を理解しないアイリスに、ヴィラロボス辺境伯夫妻が第二王子であるエリック殿下と幽氷の悪鬼討伐に貢献した俺と、今までしっかりと挨拶が出来ていなかった詫びも含めて会食したいと言った所で意味が分からないだろう。


「……この街にはたくさんの人が居ただろう?」

「うん」

「彼等の長が俺と話したいらしい」

「おさ……」


 アイリスの知っている常識に当てはめて説明を試みたが、反応が分かりにくいな……。


「そのおさは、たべものをひとりじめしたいの?」

「そう言う訳ではないんだが……」


 俺の説明下手でヴィラロボス辺境伯夫妻の評価が一気にアイリスの中で落ちたみたいで焦る。長同士で集まって食事をする事が、他の群れの仲間に食べ物を分けない行為としてアイリスの中で変換されたらしい。


「じゃあ、でみとりとたたかうの?」

「デミトリ、いいか?」

「え、ああ」


 説明に四苦八苦している俺を見兼ねてニルが会話に割って入る。


「戦ったり、物騒な事にはならないから安心してくれ。違う群れの長同士、仲良くしたいから挨拶するだけだ」

「あいさつ……」

「もちろん食事が終わったらすぐにまたデミトリと会えると約束する。そうだな……デミトリが帰って来て約束が果たされるまで、私がアイリスと一緒に居よう。そうすれば少しは安心だろう?」


 そこまでニルを拘束してしまうのは忍びなくて発言をしようとしたのを、ニルがおもむろに上げた手に制止されたので止める。少しの沈黙の後、考えが纏まったのかアイリスが発言した。


「……わかった」

「急なお願いで不安にさせてしまってすまない、本当に大丈夫か?」

「うん……! にるは、やくそくまもってくれたから……しんじる」


 周りを頼れと指摘されて、先程粗方アイリスの事情についてニルに説明して本当に良かった……。


 事情を把握していなかった時から既にアイリスに対して的確な接し方をしていたが、俺一人では上手くアイリスに伝えられない事もこうして補ってくれるのは本当に助かる。


「ありがとう、ニル」

「全く、さっきも言ったがいちいちそんなに感謝しなくても大丈夫だ。せっかくの機会だしアイリスと仲良くなれるように美味い物を振舞うとするか。自分は蚊帳の外だと思ってるカミールも一緒だぞ」

「えぇ!? は、はい!?」

「一気に大勢の知らない人に囲まれたらアイリスも居心地が悪いだろうし、取り敢えず私達三人で今日は良さそうだな。それじゃあデミトリ、ここは私に任せてエリック殿下の所へ行ってくれないか?」

「そんなに急ぐ必要があるのか? まだ夕食の時間まで余裕がありそうだが」

「一週間も会えず、殿下もデミトリに会いたがっていた。それに、会食の前にデミトリのから直接共有を済ませた方が良いだろう?」


 そう言う事か、確かにニルの言う通りかもしれない。


「分かった。アイリス、ニルとカミールは俺の仲間で良い人達だ。俺が戻るまで、二人を頼ってくれ」

「うん!」

「ニル、カミール、よろしく頼む」

「任せてくれ」

「はい!」


 先程ニルから会食の件を聞いた時、アイリスを一人で残してしまう事がかなり不安だったが良い形で全てが着地してくれて良かった。安心しながら不意にニルの方を見ると、何やら難しい表情をしているのに気付いた。


「どうかしたのか?」

「……隠していても意味は無いな。エリック殿下とイバイ殿がナタリア様達と気まずい状況になっているのは知っているか?」

「! いや、初耳だが……」

「ヴァネッサとセレーナも森で会ったので知っていると思うが、今は冒険者ギルドで依頼を請けてこの邸宅から距離を置いている」


 ヴァネッサ達が依頼を請けているのは把握していたが、今も不在だとは正直思っていなかったので驚く。セレーナが本調子じゃないのに、二人きりで大丈夫なのか……?


「二人にはリーゼを護衛で付けている。いつでも連絡が取れる状況だから安心してくれ」

「そ、うか……一体何があったんだ?」

「私から聞くより直接エリック殿下達から話を聞いた方が良いと思う。申し訳ないが……出来れば相談に乗ってやってくれないか?」

「もちろん構わないが……分かっていると思うが俺は人付き合いが苦手だ。それこそニルの方が相談役としては適任じゃないか?」

「そんな事は無い。私よりもデミトリの方がヴァネッサ達と親しいだろう? それにいくら殿下達が接しやすいと言っても立場の問題がある」


 そう言う意味では俺も変わらないと思うが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ