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閑話 意外な人望?

「びっくりした……」

「デミトリ達を待たせたら悪い。驚くのは勝手だが置いて行くぞ?」

「す、すみません! 大丈夫です!」


 自分でもよく分からない返事をしながら、慌てて正門に向かって歩き出したニルさんの後を追う。


「えっと、ニルさんは知ってたんですか?」

「何をだ?」

「アイリスさんが子供じゃないって」

「いや? デミトリがちょっとした事情のある獣人を森の中で保護したとしか認識していなかったな。現にその通りだっただろう?」

「そ、そうですけど……」


 ニルさんの言う通り、勝手にヴァネッサさん達が報告した内容を解釈したのは僕だ……僕だけど……。


「カミールがそこまで動揺するのも珍しいな、何か気になる事でもあったのか?」

「あの、アイリスさんにびっくりしたというか……どちらかと言えばデミトリさんにびっくりしたのかもしれません」

「デミトリに……??」

「てっきりヴァネッサさんと付き合ってるのかなと思ったの、で……」


 途中からニルさんに残念なものを見るような視線を向けられてるのに気づいて、最後の方はほぼ声が出ていなかったかもしれない。


「カミール……」

「ち、違うんです! デミトリさんの性格的に出会ったばかりの人と親密な間柄にならなそうなのに、あんなにくっついて自分の服まで着させてたじゃないですか!?」

「あのな……保護したと言う前提を忘れてるだろう。森で偶然出会って、何かしらの理由でアイリスに服を貸す必要があったらデミトリは迷わず自分の服を貸すだろう? それに事情があって保護したのであれば、アイリスを安心させる為になるべく傍に居て寄り添ってあげるのもおかしな話じゃないだろう」

「それは……」


 頭ではニルさんの言ってる事が理解できるけど、なんだかもやもやする。


「大体カミールも自分で言ってたじゃないか? デミトリは出会ったばかりの誰かと衝動的に結ばれるような性格じゃないと。それに性格的な問題以前に、彼の立場上私達やエリック殿下に相談もせずそんな大それた事をするはずがない」


 正論過ぎて何も言い返せない。


「本当にらしくないな……まさか一目惚れしたのか?」

「!? アイリスさんに?? 違います!!」

「冗談だ、そんなに大きな声を出して本当にどうし――」

「いくら美人で魅力的な女性だからと言って、デミトリさんは硬派なのでそんな出会ったばかりの人に靡かないと思ったのに、親密そうだったから混乱してるだけです!?」


 焦りで自分でも自覚してなかった本音を一息で言い切った後、かなり恥ずかしい事を口走ってしまった事に気付いてニルさんの反応が怖くて頭を下げ、そのまま言い訳がましく説明を続けた。


「その……寡黙で、呪われているのに諦めないで、強いのにそれをひけらかさない……王家にも認められてるデミトリさんの、自分の中の人物像と一致しなくて動揺したんだと思います……」

「勝手に盛り上がって勝手に自己解決しないでくれ……」

「すみません……」


 今更だけどかなり大声で話してたのに気づいてきょろきょろと周りを確認している最中、ニルさんに肩を叩かれる。


「心配するな、咄嗟だったが起動に間に合った」


 安心させるようにそう言ったニルさんの方を見ると、右手には遮音の魔道具が握られていた。


「ご迷惑をおかけして……」

「大丈夫だ、気にしなくてもいい。普段は大人しいカミールがこんなに感情的になったのは驚いたが、私以外聞いていなかった。とにかく落ち着こう」


――――――――


 隣で猛省しながら歩くカミールを横目に見ながら、先程の彼の発言を振り返る。


 今回の任務でデミトリの警護を任せた時、物静かなカミールならデミトリと相性が良さそうだと思ったのも人選に影響したが……まだ若い彼に経験を積ませたかったと言う意味合いも強かった。


 教会に保護され王家の影に迎え入れられるまでかなり苦労をしたカミールにとって、自分以上の苦境に立たされながら抗い続けている同世代の人間を間近で見る機会を得るのは良い刺激になると思った。


 私の思惑通りと言ったら語弊があるが……カミールはデミトリに触発されて魔法の腕を更に伸ばし始めたし、以前と比べると活発になったのは本当に喜ばしい変化だ。


 ただ、ここまで強い憧れに似た感情を抱くのは予想外だ……心配する必要は無いと思うが、デミトリと関わって何か心情の変化があったなら、少しカミールに目を掛けてあげた方が良いかもしれないな。


「今度飲みに行くか」

「え!? あ、はい!!」

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― 新着の感想 ―
一歩間違えれば厄介ファン確定だな……
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