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第459話 獣人攫いのシンゴ

「クソが!!!!」


 渾身の力を込めてカルメンが、最早原型を保ってないシンゴの頭部だったものを地面に叩きつけると粉々にされた骨と肉片が飛び散って行く。


 先程とあまりにも様子が違うので思わず静観してしまった。


 数分間に渡り繰り返された蛮行により、気付けばカルメンの半径数メートルの雪が飛び散ったシンゴの残骸によって淡い赤色に変色している。


「はぁ……はぁ……」


 頭が痛いし眠い……正直これ以上付き合いたくないが……。


「……気は済んだか?」

「こんなもんじゃ……クソ……」


 何か事情がありそうだが……もう関わりたくないと言うのが俺の本音だ。一応手放さずにいるシンゴの右腕からも、もう嫌な気配がしないのでさっさと処理してアイリスの元に――。


「でみとり」

「アイリス!?」


 俺の背中にしがみ付きながら顔をにゅっと右脇から出したアイリスに驚く。一応何かあった時の為に自力で逃げるための出口は用意していたが――。


「やっつけてくれてありがとう……」

「! 約束しただろう、当然だ」


 カルメンがシンゴの頭部を粉々にしている最中、もう必要ないだろうと踏んで死獣と化したコボルド達がアイリスの目に入らないように近くの林の奥に移動させて呪力の供給を切っておいた。


 後で回収する必要があるがもう二度とあいつらがアイリスを悩ませることはないだろう。


「あれ、だれ?」

「説明するのが難しいな……」

「みみ、わたしににてる……ん!」


 何を思ったのか、アイリスがカルメンを指さして声高らかに叫んだ。


「でみとりはわたしのおさ!」

「へ? 何言ってんのその子」


 ……自分と似ているから俺がカルメンも保護すると思ったのか? 安心させるようにアイリスの頭を撫でながら困惑した様子のカルメンに話し掛ける。


「……気にしないでくれ。そんな事より、いい加減色々と説明してくれないか?」

「! 度重なる無礼についてはこの通り謝罪する、申し訳なかった!!」


 ものすごい勢いでカルメンが頭を下げたが、この変わり様はどう言う事だ??


「態度だけでなく口調まで……色々と変わり過ぎてないか?」

「それも全部あのクソ野郎の――」

「落ち着いてくれ!」


 思い出してまた怒りが沸騰したのか、握った拳を振り上げたカルメンを何とか宥めようとする。


「ちゃんと話すつもりなら俺はお前にもお前の仲間にも危害を加えるつもりはない。とにかく落ち着いてくれ」

「っ……! わ、私達はあのクソ野郎に攫われたんだ」

「シンゴが死んだ直後そんな事を言っていたな……この腕輪が何か関係しているのか?」

「!! 頼む、何でもするから壊さないでくれ、中にはまだ仲間が――」

「大丈夫だ、今の所壊すつもりは無い」


 安心させるつもりだったが、今の所と言ったのが引っ掛かっているみたいだな。


「何を考えているのか分からないが、お前の仲間を解放してから腕輪を破壊する分には問題ないだろう?」

「そ、そう言う事か……」

「それで、これは一体何なんだ……?」


 シンゴが死んだからか分からないが、先程とは打って変わって触らずしてするりとシンゴの腕から外れた腕輪をそのまま地面に落下させる。今の状態で触れて外れなくなったら最悪だ。


「アイリス、触ったら駄目だぞ」

「さわらないよ?」

「念のため言っただけだ」


 落下した腕輪を興味深そうに見ていたアイリスに念押ししてから再びカルメンに注目する。


「シンゴの奴はそれを『友情の腕輪』って呼んでたけど、そいつは獣人を捕えるために作られた道具だ! 捕まったら、あいつの好き勝手に性格まで変えられて……」


 ……実際にファビオラが吸い込まれて行くのを見たし、シンゴが新たな仲間を呼び出そうとしているのを阻止したから人を出し入れできる能力については察しがついていたが、性格を変える力まで有していたのか……?


 魔道具に詳しくない俺でも、人知を超えた力を魔道具で再現するのはほぼ不可能なのは何となく分かる。俺が触れて壊れなかったと言う事は呪具でもなさそうだし、そうなると残るのは……。


「神器か……」

「それがなんだか知ってるのか!?」

「いや、そう言う訳じゃないんだが……」


 名前と黒髪黒眼の見た目からして、十中八九異世界から転移して来たであろうシンゴが持っていた腕輪だ。加護や異能ではなく、神器をどこぞの神に渡されていたのであればこのふざけた腕輪が何なのかの説明が付く。


「カルメン、お前の仲間を解放したいんだが腕輪に触れずに召喚できるか試してみても良いか?」

「仲間を助けてくれるならもちろんだ!! むしろこちらから頼む」


 了承を得たし試してみるか……腕輪に触れなければ腕輪の力を行使できないのであればその時またどうするのか考える必要があるな。


「呼び出した時カルメンのように性格が元に戻ると仮定して……一番落ち着いて話せそうなのは誰だ?」

「それなら、族長のグスタヴォを呼び出してくれ」


 族長……呆れたな。シンゴは獣人の一族を全員纏めて攫ったのか??


「分かった」


 シンゴの発言を真似るのは気分が悪いが腕輪の使い方が分からない以上仕方がないか。


「……ゆけっ、グスタヴォ」

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― 新着の感想 ―
バッジのパワーで言うこと聞くようになるからあれも、まあ、同じよな、
獣人の一族って、ここで呼び出さないで元居た村に戻ってやれよ。
トレーナーという名のシンゴ予備軍にGETされるポケットな怪獣たちも同じ気持ちかもしれないと思うと、あの作品に対する印象も随分変わってきますね
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