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閑話 イーロイと義理

「直接報告できないのが申し訳ないって言ってたよ」

「とんでもねぇ……代わりに報告しに来てくれて助かった」


 森の調査依頼を請け負ってるのは現状デミトリだけだ。大きな成果が出ない覚悟をしてたのに、行方不明になった冒険者達の手掛かりだけでもありがてぇのにワイバーンまで討伐して……。


「これはギルドに預けておいた方が良いかな?」


 デミトリの代わりに依頼の途中経過を報告しに来たセレーナがワイバーンの頭部を指す。彼女もソロで銀級に到達してるらしい……ソロの冒険者は数が少ない上に、銀級以上に到達できる人間はさらに限られる。


 立て続けに出会うなんて普通なら有り得ねぇけど、デミトリの関係者ってだけでなんとなく納得出来ちまうな。


「そうだな……大前提として俺はワイバーンの討伐を疑うつもりは無ぇとだけ言っとく」

「含みのある言い方だね?」

「ヒエロ山周辺の森の管理は領主様の領分だ。報告した内容は、そのまま領主様が設立した幽炎対策部隊にも共有されるだろうし、ワイバーン討伐の証拠があった方が話は円滑に進む」

「だったらこれは置いてくね?」

「俺としてはありがてぇが、売ったら相当な額になるのは分かってるよな? デミトリの許可を取ってからの方が――」

「大丈夫だよ。イーロイさんが必要そうだったら預けて問題ないってデミトリが言ってたから」


 デミトリ……冒険者不足で困ってるギルドの依頼を請けてくれてるだけでありがてぇのに……。


「……どこかで埋め合わせをしねぇと」

「変に気を遣われると逆に困ると思うよ?」


 付き合いは長くねぇけど、何となくデミトリの性格ならそう言う反応をしそうなのは分かる……けど率先して依頼を請けてくれただけでも助かるのに、地元の冒険者達が迷惑を掛けても大事にしなかったり、本来そんな義務はないのに依頼の途中経過を仲間に託して報告してくれたりかなり世話になってる。


 請けて貰ってる依頼もただ働きじゃねぇけど報酬は多くない。がめつい冒険者なら、ギルドが困ってるのを分かった上で報酬の値上げ交渉をしてもおかしくねぇのに、デミトリはそんな素振りを一切みせなかった。


「……恩を返せねぇのは気持ちが悪ぃけど、デミトリを困らせたら本末転倒だな」

「うーん……あ! でも、んー」


 セレーナが何かを思いついたように手を叩いたと思ったら今度は悩み始めた。


「どうかしたのか?」

「いやー、どう言ったらいいんだろ……そうだ、デミトリがコルボをテイムしてるのは知ってる?」

「ん? 俺は見てねぇけど、そういえばダニエラからデミトリが可愛い魔鳥を連れて依頼を請けに来たって聞いたな」

「デミトリはテイムに成功したって言っても魔物と魔獣にそんなに詳しくないみたいだから、コルボと似た環境に生息する魔物と、特に魔獣の生態に関する資料とかが手に入ったら喜ぶと思うよ」

「コルボと似た環境で生きる魔物と魔獣の生態か……そう言う意味だと年中寒いボルデ近辺の魔物と魔獣の生態が当て嵌まりそうだが、それなら魔鳥の情報に絞った方が良くないか?」

「似た環境に住む魔獣の情報を幅広く知れた方が、例えばコルボの資料には載ってない情報も補完できるかもしれないから。ボルデ近辺に生息する魔獣の情報も得られたらうれしいと思うよ、例えばコボルドとか」


 コボルド?? 妙に具体的な例を出して来たな……でも、デミトリの仲間がそう言うなら信じて問題ないか。


「分かった、相談に乗ってくれてありがとう。調べてみる」

「どういたしまして! あ、私もちょっと勘を取り戻したら依頼を請けに来ると思うからその時はよろしく、イーロイさん」

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