閑話 祝福:調教の心得
「行っちゃったか……」
久しぶりに会えたからもうちょっと話したかったけど、あの様子ならまた会えるだろうし今はトリスが元気を取り戻せてるのを素直に喜ぼう!
前の愛し子の事、かなり引きずってたからな……良い出会いに恵まれたみたいで本当に良かった。
それにしても……テイムに関連する加護も異能も持ってないのに、デミトリ君とやらはもうコルボをテイムしてるみたいだし調教師の才能があるのもしれないな? 知らずにテイムの条件を満たすのはかなり難しいのによくやって――。
「あ」
トリスには恐らく本能的に敵わないって理解して歯向かわなかったみたいだけど、コボルドは仲間意識が強い分デミトリ以外の人間を受け入れるまでかなり苦労するかもって言うのを忘れてた……。
「……繋がりが出来たら人語も徐々に理解できるようになるから、話し合えば解決できる……はず……? でも毛並みの色が原因で群れから追い出されたか、自分から群れを離れた子なんだよな……」
そういう子は群れを追われた経験から、一度仲間と認識した相手は絶対裏切らない代わりに仲間って認められるまでが一苦労な子が多い。
せっかく元気になったトリスが悩まないように、デミトリ君には出来れば順風満帆な人生を送って欲しい。そうなるとテイムしたコボルドが原因で周囲と不和が生まれると困るな……。
「……ちょっとだけ応援しても罰は当たらないか」
神力を練りながら、探求神の件を含めてトリスから事情を聞いた時話に出て来たヒエロ山近辺の森を見下ろす窓を創る。
「さてと、どこにいるんだ……? あ! あれ……だよな?」
天幕の中で抱き着かれてるのがデミトリ君で、抱き着いてるのが進化したコボルドか? 外で女の子が二人待ってるみたいだけど……どういう状況なんだ?
良く見るとデミトリ君がコボルドちゃんを宥めてる。それはそれとして……こんなにはっきりと女難の相が顔に出てる子も珍しいな……。
「きっかけがあのふざけた探求神が授けた加護なのは正直納得できないが……お前の進化の道を勝手に決めてしまった以上、中途半端に投げ出すつもりは無い」
「わう?」
「……とにかく独りぼっちにしないから安心してくれ。こんな事を言うのは不謹慎かもしれないが、助けるのが間に合わなかった仲間の分も含めて俺がお前の事を守る」
「……わぉーーん!!」
お! テイムに成功してるな。それに流石トリスが選んだ愛し子と言うか、誠実そうな子で良かった。これなら何の気兼ねも無く応援できる。
「他の神の愛し子に加護を勝手に授けるのはご法度だけど、軽い祝福ならトリスも許してくれるよな? 頑張れデミトリ君!」
神力を贈り物に込める。
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祝福:調教の心得
調教相手に真摯に向き合った時心情を計りやすくなる。相手の為を思い、相手の立場に立って理解しようと試みる者であればあるほど、祝福の恩恵は大きくなる。




