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第305話 怒涛の一週間

「本当に……?」

「ああ、ちゃんと……謝れたなら……出禁は解くと、言っていたぞ?」


 地面に付しながら、何とか息を整えようとしながらセレーナの問いに答える。息切れの俺とは対照的にセレーナはけろっとしているが、ゴドフリーの鍛冶屋の出禁を解かれたと聞いて悩ましそうに腕を組んで唸っている。


「でも、迷惑を掛けちゃうから――」

「気にしていない、と思うぞ」


 俺の願いを聞いて直ぐに出禁を解く位には、ゴドフリーはセレーナの事を気に掛けていた。セレーナが戸惑うのも分かるが、杞憂だろう。


 ――神呪の影響で無鉄砲な行動が目立つが、フィーネの言っていた通りかなり気にはしているようだな。


「ゴドフリーにはセレーナと練習試合をしている事を共有しているし、出禁が解かれた事も俺から伝えると言っている。これでセレーナが鍛冶屋に行かなかったら、余計にゴドフリーに心配を掛けるんじゃないか?」

「……分かった、今度顔を出しに行くよ」


 ようやく息を整え立ち上がった頃には、セレーナが帯びていた憂いも晴れていた。もう一試合やろうと言わんばかりに木剣を構えたが、俺は手に持っていた木剣を収納鞄に仕舞った。


「……まだやれるよね?」

「勘弁してくれ。もう練習試合を始めて二時間は経っているだろう……今でも立っているのがやっとだ、これ以上は明日動けなくなる」

「週末だしいいんじゃない?」

「よくない。体を動かせない状態で襲われたらどうするんだ」


 俺が本気なのを察して、セレーナが口をへの字に曲げる。


「ジュールは治安がいいし、襲われる事なんて基本無いと思うけど」

「……俺の事を襲った張本人に言われても説得力がないな」

「っ!? それは、まぁ……」


 少し意地悪だったかもしれない。あまり態度には出さないが内心気にしていたのか、セレーナが先程とは打って変わって萎縮してしまった。


「……それに、最近不審者が現れるとかで夜間の警邏依頼を請けていなかったか?」

「あぁ、カリストがやらかした時の依頼ね」


 そんな奴も居たな……数日前の出来事のはずなのに遠い昔の事の様に思える位に今週は色々とあり過ぎた。


「そう言えば、デミトリさんはカリストの元パーティーメンバーとも戦ってるしジュールの冒険者と縁があるね」

「カリストの元パーティーメンバー??」

「ほら、学園で決闘をしたベルナルド。彼は元々カリストと組んでたの」


 あのハルピュイアに名を呼ばれていた金級冒険者か……。


「……カリストはソロで銀級と言っていたが、元々金級パーティーの一員だったのか」

「そう! 性格に難があるからてっきりパーティーを追い出されたのはカリストのせいだと思ってたんだけど」

「ちょっと待ってくれ、カリストはパーティーを追放されていたのか?」

「うん! カリストが追放される時、私もたまたま冒険者ギルドに居たから見届けたんだ。『戦闘を全て俺達に任せて貢献しない無能にもう用はない!!』って言われてたのに本人は『やっと僕の物語がスターティン!』って、意味不明な事言いながらはしゃいでたから良く覚えてるよ」


 妙な口調の時点で引っかかっていたが、追放されて喜ぶのは……。


「どうかしたの?」

「少し気になる事が……カリストが抜けた後、ベルナルドのパーティーはどうなったんだ?」

「私もあまり人と話さないから詳しくは知らないけど、うわさだけ聞くとやばいみたい。依頼を連続で失敗してて、確かパーティーメンバーも最近一人離脱したらしいよ」


 正確には離脱ではなくハルピュイアに殺害されたが正しそうだが……まさかギルドに報告していないのか?


「カリストを追放するまでは『次に白銀級に昇級するのは彼等に違いありません』ってマチスが言ってたから決闘の時心配だったけど、蓋を開けてみたらデミトリさん相手に手も足も出てなかったからびっくりしたよ」

「セレーナもマチスと顔馴染みなのか」

「……他の受付は人が多いから」

「俺も同じ理由で贔屓にしている」


 帰り支度を始めたセレーナを見守りながら、彼女から聞いた情報を整理する。


 元々は金級の冒険者パーティーに所属していたが、無能呼ばわりされて追放され……その後自分はソロで銀級冒険者として活躍している反面、元居たパーティーは依頼の失敗が続き瓦解。


 ――偶然の一致とは思えない程、前世で人気だった物語の筋書を追っているな……。『やっと僕の物語がスターティン!』と本人が言っている位だ、十中八九異世界人だろう。


 セレーナも言っていたが、ベルナルドは金級冒険者とは思えない程弱かった。断定はできないが、カリストが支援系の能力を持っていたのであればある程度説明が付く。


 一番厄介なのはベルナルドを含む他のパーティーメンバーに気付かれずに、カリストが敵を屠っていた場合だが……


 別に敵対するつもりも今後関わるつもりも無いが、カリストは警戒対象にしておいた方が良いだろう。


「来週も練習試合をお願いしても良いかな……?」

「俺は構わないが……そう言えば、武闘技大会はいつなんだ?」

「来週の金曜日!」

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― 新着の感想 ―
なんか初期と別人だよね。
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