第306話 ススムの贈り物
「ライトニングブレイク!」
イヴが呪文を叫ぶと天空から雷が落ちてアースドレイクを貫く。
アースドレイクは一瞬体を震わせてその場に留まるがどうやら死んでは居ない。
雷の衝撃で活動が出来なくなっているだけの様だ。
それでもそれなりのダメージは入っている様なのでイヴはライトニングブレイクを連発する。
「ライトニングブレイク」「ライトニングブレイク」「ライトニングブレイク」
止まっている敵に当てるだけなので大して狙いをつける事もない。
4発目が命中した時点でアースドレイクは活動を停止した。
飛んで居たドローンがアースドレイクを吸収したので死んだことが解るのだ。
「うーん、こうじゃ無いわよね。」
イヴは浮かない顔をして呟いた。
確かにロボットアニメを参考にして雷を落とすことには成功した。
その熱量はライトニングブレイクと言っても過言では無い物なのだが……
天空から落ちる雷は減散が激しい。
空気中にエネルギーが散ってしまうのだ。
アースドレイクなど一撃で葬り去る事が出来るほどのエネルギーが有るはずなのだが……
まだ何かが足りない……
イヴは意気消沈して部屋に戻りまたアニメを見始めた。
ススムがこれを見れば解ると言うからにはここに正解がある筈なのだ。
アニメの出来はとても良く前作からの引き継ぎシーンも熱くなるものだ。
主人公は前作よりも人間臭く無いが戦いにおける苦悩もよく書かれて居て最終戦闘は熱くなるシーンが多い。
そんな映像を見ながらイヴは寝落ちをしてしまった。
「やだ、寝ちゃった。」
ソファーで朝目覚めたイヴは少し頬を赤らめると意を決してシャワーを浴びる。
そして意識をハッキリさせて特訓場所で有る階層まで移動した。
と、そんなイヴに向かってくる一台のドローンが有った。
ドローンの腹にはアームが付いていてそこに50センチ位の長細い箱を抱えていたのだ。
イヴはどの箱をドローンから受け取る。
イヴが箱を開けるとそこには一本の杖が入っていた。
杖の先端には紫色の宝石が付いている。
「アメジスト?」
「これを使って魔法を撃つと言うことかしら?」
確かにアメジストは雷撃系の呪文を高める効果があるがその効果はそれほど高いものでは無い。
これを持って呪文を唱えたところで威力が三割上がるかどうかと言ったところだろう。
しかしイヴがその杖を持った時に昨日のアニメがフラッシュバックした。
あの巨大ロボットは必殺技をどうやって放っていたか?
雷を敵に直接落としていたか?
いや違う……
雷が落ちるのはロボットの方だ。
その雷を避雷針の様な装置で受け止めてそして放っていた。
「それだわ……」
イヴは的となるアースドレイクを見つけると集中する。
そして雷を自分の頭上に落とした。
元々帯電体質を得ていたイヴに特大の雷が舞い落ちる。
イヴはその雷を右手に持つ杖で受け止めた。
そして呪文を唱える。
「ライトニングブレイク」
雷鳴の杖と呼ばれるアメジストの宝飾された杖から眩い雷撃が放たれた。
そしてその雷撃は雷系に耐性のあるアースドレイクを一瞬で灰にしたのだった。
「ススムさん……」
イヴは紫色に輝く杖を抱えて穏やかに微笑んだ。
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とにー




