第305話 ライトニングブレイク
ススム出発前のイヴの部屋。
ススムはイヴに向かって言った。
「俺が中央大陸に行っている間にイヴに出す課題が有る。」
「はい、何でしょう?」
イヴの声は少し弾んで居て嬉しそうだ。
ススムから課題を言って貰えるのが初めてだからで有る。
今までは自分から聞いたり自分で試したりして居たがススムから言って貰えると信頼されている様な気持ちになるのだ。
「イヴのサウザンド・ライトニング・ブレイクだがやはり使い勝手は悪い。しかしファイブライトニングスピアーでは魔人兵にはあまりダメージが通らないだろう。」
ファイブライトニングスピアーは7レベルなので魔人のシールドも貫く可能性は高いが威力強化がされているわけでは無いので、当たっても魔法防御力の高い魔人兵では大したダメージにならないのだ。
「確かに、そうですね。」
頑張って身につけた技が通用しない事にイヴは少しシュンとなる。
「そこでイヴへの課題は、ライトニングブレイクを単体で撃てるようになる事だ。」
「はい?」
私のその時の表情はちょっと言葉では表せない様な物だっただろう。
実はその事は最初の頃、考えて無かった訳では無い。
しかし、それが難しいのだ。
ダウングレードだから割と簡単に出来る様に思えるのだけど……。
ファイブライトニングアローやスピアーはあくまでもライトニングアローやスピアーの魔法をサウザンドライトニングブレイクを応用して多重化したもので有り、魔法自体はライトニングアローやスピアーなのだ。
しかしライトニングブレイクと言う魔法は実は無い。
サウザンドライトニングブレイクと言う魔法はあくまでイヴのユニークスキルなのだ。
故にそこからライトニングブレイクと言う魔法を切り出すと言う事はグレードダウンでは無く新たに魔法を作り出すのとほぼ同じなので有る。
「出来るでしょうか?」
イヴは自信が無いのかとても弱気だ。
しかしススムは自信ありげに
「確かに今のままでは難しいだろう。しかし……スキルレベルは確かに上がっている。多分あと一つヒントと言うかイメージがあれば出来るだろう。」
「えっ、本当ですか?」
イヴは目を丸くして驚く。
そこでススムはアイテムボックスからとあるスーパーロボットアニメのDVDボックスを取り出した。
「この主役ロボットの必殺技で研究するんだ。そうすれば出来る様になるだろう。」
勿論イヴの部屋にも大型テレビとメディアプレイヤーは置いてある。
イヴはその『グレート○ジンガー』とタイトルが書かれたDVDボックスを持って唖然とするのだった。
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とにー




